RECRUIT STORY 仕事を知るストーリースタッフ統括本部 経営管理 リスクマネジメント室
リスクマネジメントの先駆者に。
好奇心と問題解決力を発揮し、
事業部門の戦略パートナーとして活躍。
スタッフ統括本部
経営管理
リスクマネジメント室
室長
羽村 友城
日系大手保険会社にて経営企画、リスク管理、経理、商品開発等を歴任したのち、2014年より外資系大手保険会社においてチーフ・リスク・オフィサー・ジャパン(CRO Japan)、2018年12月よりアプリケーションを提供する日系IT企業にてチーフ・リスク・オフィサー、および取締役を歴任。2020年4月より現職。
マルチレベルの事業リスクに対処。
リスクマネジメント室に委ねられたミッション。
―リスクマネジメント室について教えてください。
リクルートのコーポレート職はスタッフ統括組織に所属しています。スタッフ統括組織は、経営企画・経営管理・ビジネスディベロップメント・人事・広報/渉外・サステナビリティ・ワークス研究所というように、経営を支援する7つの専門組織から成り立ちます。その中でも私たちリスクマネジメント室は経営管理に属しており、リクルートの事業である、HR・販促・SaaS全てを横断的に捉えながら、日々事業を支援しています。
企業にとってのリスクとは、法令やコンプライアンスの違反、システム障害など事業戦略や活動を妨げる要因などが挙げられます。リスクマネジメント室では、事業に影響を与えうるリスクをいち早くとらえ、適切に対処していく活動をしています。
リスクマネジメント室は、全社的なリスクマネジメント活動の強化を図っていく組織や、事業と向き合いながらインシデント等に対応する組織、テーマ別に将来起こり得るリスクを予想し対策を講じる組織などが所属しています。例えば、リスクマネジメント活動の強化を図る組織では、リスクとリターンのバランスを取りながら、会社が健全に成長していくためにどのような施策が必要なのかを企画したり、会社全体を俯瞰してリスクに対する感度を高めていくための各種施策の設計を担っています。事業に対峙する組織では、事業領域ごとに寄せられる日々の相談やインシデントに対応したり、潜在的なリスクを見つける仕事を担当しています。また、テーマに応じたリスクマネジメント企画を担う組織では、事業継続高度化(BCP)プロジェクトやデータガバナンスなど、多岐にわたる議題に対してリスクを先読みし、あらゆる対策・施策を検討する役目を果たしています。
よろず相談から危機対応まで、
マルチレベルの事業リスクに対処。
―リスクマネジメント室の仕事内容について教えてください。
一つはインシデントへの対応です。私たちが対峙するインシデントのレベルは、部門内で完結できそうなものから、クライアントやカスタマーへ影響が出得るものまで多岐に渡ります。レベルに応じて、リスクマネジメント室のリーダーやメンバー自らがプロジェクトマネジメントオフィス(PMO)のサポートに入ることもあります。各部門と伴走しながら、会社全体で事態に際していち早く対処し、さらに、発生原因を特定して再発防止策を構築します。次への学びに活かすことは、まさにリスクマネジメント室に委ねられたミッションです。
もう一つはリスクを回避するための活動です。リクルートでは、事業領域を跨いだプロダクト開発や施策を活発に展開しています。『ホットペッパービューティー』にHR事業のマッチングプラットフォームを実装したり、『じゃらん』の決済機能を拡充したりと、市場や顧客ニーズをいち早く捉え、スピーディに事業を実現しています。そこで、リスクマネジメント室では、事業の動きを捉えて並走しながら、組織や事業で起こり得るあらゆるリスクや相談に対して、「よろず相談屋さん」のような立ち位置でヒアリングを行い、解決策を見出します。案件によっては、法務部門やセキュリティ部門、審査部門といった専門組織と協業して進めることもあります。
私が入社した2020年には、リスクマネジメントを担当するメンバーが、様々な組織に散らばっていましたが、現在では全社を横断的に取りまとめ、全体最適観点で設計していく組織へと進化しています。
リスク分析に必要な「虫、鳥、魚」の視点。
リスクマネジメントの一員として働く醍醐味。
―リスクマネジメント室で働く面白さ・魅力について教えてください。
リクルートのコーポレート職のスタッフは、様々な経験を持つメンバーが集い、お互いの強みを活かしながら働いています。リスクマネジメント室にも、専門的知識を持って活躍するメンバーもいれば、全く異なる業界・業種から参画し、経験を積みながら仕事を推進していくメンバーがいたりと、それぞれのバックグラウンドや個性を活かして「One Team」で活動しています。実際には、元電車の運転士やスキューバダイビングのインストラクター、看護師資格保持者など、多種多様なバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。
リスクマネジメントの仕事を進める上で大切なことは、メンバーに寄り添い、じっくりと傾聴できることや、「どのようなプロセスで解決しようか」と問題解決のシナリオを描き、プロセスを追求することに、好奇心を持てること。また、「人の役に立つ」、「信頼を築いていく」ことにモチベーションを感じられることも大切だと考えます。
また、リスクマネジメント室は、学ぶ機会も充実しています。定期的に「リスカン塾」と呼んでいる寺子屋式の勉強会を開催しており、例えば「リスクコミュニケーション」に関する勉強会では、「人はどのように意思決定をするのか?」「信頼はどのような方程式で導き出されるのか?」という人の思考や心理のメカニズムを学べます。このような学びを踏まえて、各メンバーが自分なりの「信頼の築き方」を確立し、業務に活かせるところは、リスクマネジメント室で働く面白さだと思います。
また、会社の中長期戦略はもちろんのこと、各領域の事業計画などに対する知見を深めることも重要です。経営陣や関連部署など多くのステークホルダーと密に連携するため、広い視点で大きく物事を捉えながらも、個々の課題に対峙していく、「虫の目」「鳥の目」「魚の目」が必要です。例えば、プロダクトの制作に関する相談があった場合、そのプロダクトに接近して法的観点など複眼的にリスクを見ていくことが「虫の目」だとすると、世の中の流れを俯瞰で捉えて、社会や経済情勢を先読みしながら事業への影響を見ることが「鳥の目」、変化する世の中の動きや流れを掴んでリスクを管理することが「魚の目」です。
リスクマネジメントは難解で刺激がないと誤解されがちですが、創造力を求められますし、常に複眼を意識してリスクに対峙していけることも、面白みがあると思います。その他にも、検討や意思決定のスピードが速い事業部門に伴走し、よき相談者として攻めの姿勢で協働できることも、リクルートのコーポレート職、またリスクマネジメント室で働く醍醐味だと思います。
リクルートを「解剖」し、リスクテイクを論議。
スローガン「Pioneer」に込めた革新の想い。
―今後の挑戦・実現したいことを教えてください。
大きく3つあります。一つ目は、リスクマネジメントという仕事の大切さを、社内へ伝えていくことです。リクルートのように常に新しいことにチャレンジする会社こそ、リスクは対峙していくべき重要なファクターです。だからこそ、リスクを意識してもらえるよう、相手の心に訴えかけることが必要だと考えています。
二つ目は、リクルートのリスクマネジメント室の活動を通して、日本企業におけるリスクマネジメントの仕事のプレゼンスを高めていくことです。欧米企業におけるリスクマネジメントは、経営者の右腕として活かされるケースや、この経験を積んだ上で経営者や役員になるキャリアパスも多い領域です。私は、メンバー一人ひとりのWillを大切にし、希望や夢を叶えたいと思っています。その選択肢の一つにリスクマネジメントがあってほしい。リクルートは起業家を多く輩出していますが、リスクマネジメントを経験したメンバーの中からも、社内外でキャリアを開き、活躍していってほしいと思います。
三つ目は、信頼の構築です。信頼があればこそ人や企業は協調できますし、ひいてはリスクを取り、弱みを晒すこともできます。自分の良心に忠実であり、他人に対する思いやりを持って関係を構築し、社会、ステークホルダー、一緒に働く仲間と正直にまっすぐ向き合える、温かい組織であることを大切にしていきたいです。
今後のリスクマネジメント室の展望ですが、現在、「リクルートとしてとるべきリスク、取らざるべきリスクを言語化する」取り組みを継続していきたいです。企業のDNAや思想を解明せずして、ルールを決めてもワークしません。そこで、「リクルートは社会に何を貢献しているのか」というところまで掘り下げ、歴史や文化を紐解くところからスタートしています。胸を張って安心・安全なサービスを世の中にお届けするために、どのようなリスクをテイクし、また、回避・軽減していくのか、論議を続けていきたいです。
私たちは、「Be a Risk Pioneer - we are on the journey to build strategic partnership with the business」というスローガンを掲げています。「Pioneer」は先駆者という意味ですが、リスクを管理する人ではなく、リスクを扱う先駆的な人でありたいという思いを込めました。このスローガンの通り、リクルートの事業成長を力強く支援できる、戦略的なパートナーでありたいと思っています。そのためには、とにかく事業部門に足を運び、傾聴し、建設的な論議をリードする活動を重ねながら、事業のそばに寄り添い、周囲から信頼される組織であり続けたい。「この人と、この組織と一緒に働けてよかった」と思われるような、価値ある組織でありたいです。
記載内容は取材当時のものです。