コーポレート法務 コーポレート法務室
グローバル法務グループ
宇納 明香 Sayaka Uno

当事者としてビジネスに寄り添いたい。
事業の幅広さに惹かれ、リクルートを選択。

どのような魅力と可能性を感じて、リクルートを選んだのでしょうか。

リクルートを選んだ理由は「事業の成長に直接的に貢献したい」という想いを実現できる場所だと確信したからです。

もともと私は大学で法律を学び、その面白さに惹かれたと同時に、人の役に立つ仕事がしたいという想いから弁護士を志しました。弁護士登録後は、地元岐阜県の小規模な法律事務所に勤務し、医療関係の紛争を中心に、一般民事、刑事、家事、破産など幅広い業務に従事。
その後、かねてからの夢だった海外生活を実現するためロンドンに渡り、日中韓系の在英企業をクライアントとする法律事務所で働く機会を得ました。企業の法務サポートを通じて、企業活動に貢献する弁護士業務の面白さを実感すると同時に、英語を使って仕事をすることの楽しさを知りましたね。
日本帰国後は、海外経験を活かしながら企業を支える法務としての専門性を高めるため、東京の外資系法律事務所へ転職。そこでは、一般企業法務や金融規制関連の業務に従事し、日本の法律を海外の企業に説明するなど、法律を介した異文化の橋渡し役を担いました。国ごとに異なる法体系を理解し、比較しながら説明するスキルは、この経験で磨かれたと思います。

これらの経験を重ねる中で、「もっとビジネスの近くで、プロジェクトの生まれる瞬間からそれが実を結ぶ過程に直接関わりたい」「弁護士の専門知識は、ビジネスの現場で活かされてこそ意味がある。事業内容を深く理解した上で、最適な法的見解を提供したい」という想いが強くなっていき、事業会社で働くインハウスローヤーへの転身を決意しました。

そこで、私が選んだのがリクルートです。
その理由は三つあります。
一つ目は、非常に多岐にわたる事業を展開していること。
私は単独の事業を突き詰めるよりも、ジェネラリストとして幅広くさまざまなことを知り、経験したいタイプです。その点リクルートは事業ポートフォリオも常に変化し、拡大しています。法務として関わる業務も、事業ごとに異なる法的論点やリスクが存在するため、常に新しい知識や発想が求められ、飽きることがありません。
リクルートの多様な事業展開は、まさに私の志向に合致していると感じましたね。

二つ目は、面接などを通じて、ボトムアップな環境があると感じたこと。
これまでの経験から、決められたルールに従ってマイクロマネジメントされるよりも、自分で考え、行動することが推奨される環境の方が、自分には合っていると感じていたので、この点も魅力でした。

三つ目は、グループ全体でみると、想像以上にグローバルレベルが高い環境だったことです。
リクルートは国内企業のイメージが強かったのですが、調べてみると親会社であるリクルートホールディングスは海外の大型買収を積極的に行っていることが分かりました。また、過去10年ほどで海外売上比率が急激に上昇し、現在ではグループ全体の半分以上を占めています。もともと海外志向が強かったので、海外の案件にも関わり、経験の幅を広げたいという思いが、リクルートグループへの入社を後押ししましたね。

数千人を動かす組織再編から海外M&Aまで、
ダイナミックでスピーディな業務が自己成長を加速。

現在の仕事内容について教えてください。

主に三つの仕事を担当しています。
一つ目は、2025年4月に予定されている組織再編プロジェクト(※1)。このプロジェクトは、国内HR事業の組織移管という、リクルートグループ全体を巻き込む大規模なものです。

私はこのプロジェクトにおいて、数千人の従業員に影響を及ぼす、転籍・出向に伴う複雑な法的手続き、および事業移管に伴う契約書の移管方法の検討とその実行を担当しています。このプロジェクトは、2024年3月に正式にキックオフされ、2025年3月までに完了させる予定という非常にタイトなスケジュールで進行しています。このスピード感が実現できているのは、プロジェクトに携わるメンバーの高い専門性と処理能力、そしてトップの迅速な意思決定と明確な目的意識の共有、さらには変革を恐れず新たな価値創造を目指す企業文化があってのことだと日々実感しています。

二つ目は、国内外事業の買収・売却に絡む案件や、リクルートグループのコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)出資案件などへの関与です。具体的には、リクルートグループが保有する事業や子会社を他社へ売却する場合などにおいて、法務の立場からサポートを行っています。
さらに、CVCを通じた、将来有望なスタートアップ企業への少額出資案件にも携わり、契約書の作成や法的リスクの精査などを通じて、グループの将来的な成長に向けた投資活動も支えています。これらの案件は、それぞれ異なる法的課題やビジネスモデルを有しており、幅広い知識と経験が求められると同時に、常に新しい学びと成長の機会に恵まれています。

三つ目は、兼務しているリクルートホールディングスの法務として、ホールディングスの資本市場政策やIR関連の法務業務を担当することです。リクルートホールディングスは上場企業であるため、金融商品取引法等に基づく開示義務を負っており、私はその一環として、四半期報告書や決算短信などの法定開示書類のレビューや作成に携わっています。また、適時開示・任意開示情報のレビューや、投資家とのコミュニケーションにおける法的アドバイス(インサイダー情報の管理を含む)も重要な業務の一つです。

リクルートのコーポレート法務メンバーは、リクルートホールディングスの法務を兼務することがほとんどです。兼務のタイミングや割合は状況によって異なりますが、私の場合は入社時からリクルートホールディングスの法務を兼務しており、今はリクルートの業務の割合が70%、リクルートホールディングスの業務は30%くらいです。これまでの経験を活かす業務もあれば、全くの未経験分野の業務もあります。
両方の仕事を兼務することで、日々専門性を高めるとともに、リクルートグループの持続的な成長と企業価値の向上に貢献できている実感がありますね。

あらゆるリスクを、ビジネス視点で捉え直す。
経営層との議論で高まった当事者意識と行動力。

これまでの経験の中で印象に残っているエピソードを教えてください。

ある海外子会社の組織再編プロジェクトにおいて、現地法令の適用有無が論点となった際、担当者として主体的に調査・検討を行い、最も合理的と考えられる結論を導き出し、プロジェクトを円滑に進行した経験についてお話しします。

プロジェクトに着手した当初、依頼していた現地の弁護士から「この組織再編を行う場合、現地法令を適用しなければならない可能性が高い」との見解が示されました。しかし、その法令が適用される前提に立つと、非常に重い手続きが必要となり、プロジェクト全体のスケジュールに大きな影響を及ぼす可能性がありました。

私は、弁護士の見解に対して、「このケースで本当にこの法令の適用が必要なのか?」「法の趣旨が妥当しないケースなのではないか?」という純粋な疑問を抱きました。そこで、解釈の余地がないかを改めて確認するために、自ら関連法制度について徹底的に調査。さらに、当初依頼していた弁護士とは別に、セカンドオピニオンを取得しました。その結果、その弁護士からは「難しい判断だが、法令適用は不要と考えることもできる」との意見を得ることができました。

さらに自らでも調査を重ね、調査結果と自らの見解を経営層に報告しました。
そこでは現地法令を適用することによって起こり得るリスク、しないことによって起こり得るリスクをつぶさに洗い出したうえで、自らの見解を述べました。
漠然としたリスクであれば、経営層は「回避したい」と考えるのは当然のこと。
「リスクをのむ」という判断をするのであれば、それによる影響をできるだけ精緻に見通せることが重要だと考えたのです。

議論を重ねた結果、最終的に「現地法令の適用は不要」との判断に至りました。この判断により、スケジュールに大きな影響を及ぼすことなく、プロジェクトを円滑に進行することができました。

このように私が主体的に行動を起こすことになったきっかけは、当初依頼していた現地の弁護士から受けた説明に対して、完全には納得しきれず、疑問が残ったことです。
当初は正直「現地の弁護士に言われたのだからやるしかない」と考えていたのですが、自らの疑問を当時のマネージャーに伝えたところ、「あなたはどう思うの?」と問われたのです。
担当者としてもう一歩踏み込んで考えるよう助言を受けたことで、改めて調査に積極的に取り組む決意を固めました。

この経験を通じて、専門家の意見であっても、全てをそのまま鵜呑みにせず、常に「なぜ?」と疑問を持ち、自ら考えて出した結論をもとに、経営層と議論することの大切さを改めて実感しました。

プロダクトとビジネスを世界市場へ。
多様な才能とともに、リクルートの未来を創る。

リクルートのコーポレート法務で働く魅力と、これから挑戦してみたいことについてお聞かせください。

最大の魅力は、常に進化し続ける組織の変革に、法務の専門家として最前線で関与できることです。

リクルートは創業以来60年以上にわたり、時代の変化を先取りし、人材をはじめとして、住まいや美容、旅行などさまざまな領域で革新的なビジネスを創造してきました。その過程で、ビジネスモデルや組織構造は絶えず変化し、現在も大規模な事業部再編プロジェクトが進行しています。
このようなダイナミックな変化が起こり続ける理由の一つとして、リクルートには、「変化は成長の機会である」という考え方が根付いています。変化に対する抵抗感が極めて少なく、「新しいビジネスを生み出すためには、既存の枠組みにとらわれず、必要な変化は積極的に取り入れるべき」という共通認識のもと、スピーディな意思決定と実行が実現されていると感じています。
このダイナミックな変化の中で、コーポレート法務は、法的リスクの管理者に留まらず、ビジネスの成長を加速させる戦略パートナーとしての役割を担います。M&A、事業提携、新規事業の立ち上げなど、重要な経営判断に関わる法的支援を行い、時にはビジネスモデルの構築にも深く関与しているのです。

また、リクルートのコーポレート法務は、多様な専門性と経験を持つメンバーが集まる、刺激と学びの宝庫です。キャリア入社者が多く、大手法律事務所出身者、小規模事務所出身者、企業法務経験者など、そのキャリアパスは実にさまざま。リクルートは、出身事務所や前職にこだわることなく、「価値観に共感し、ともに成長を目指せるか」という点を重視して人材を採用しています。そのため、メンバーはそれぞれの専門分野において深い知見を有しているだけでなく、異なる視点や価値観を持ち寄り、互いに刺激を与え合っています。

最後に、個人の適性や志向を最大限に尊重したキャリア形成が可能な点も大きな魅力です。
「個人の成長が、組織の成長につながる」という考えのもと、画一的なキャリアパスではなく、一人ひとりの強みや希望にあわせて、最適な業務をアサインする「オーダーメイド」のキャリア支援が行われています。
例えば、M&Aに強くなりたい方には、国内外のM&A案件を積極的にアサインし、専門性を磨く機会を提供します。一方、私のように幅広い業務を経験したいジェネラリスト志向の方には、契約法務、コンプライアンス、紛争対応など、さまざまな業務に携わる機会を提供します。さらに、データ関連法務など、新しい分野への挑戦も積極的に支援しています。

これらから、リクルートのコーポレート法務は「変化の最前線で、新たなビジネスチャンスを生み出す組織づくりに貢献したい」「自身の専門性を高めながら、幅広い業務を経験し、インハウスローヤーとして成長したい」という方にとって、この上ない成長機会とやりがいを得られる環境だと感じていますね。

私が今後挑戦してみたいと考えているのは、リクルートのプロダクトやビジネスを海外市場に展開するプロジェクトを法務の立場からサポートすること。そのなかでより能動的にビジネスに関与し、リクルートの成長に貢献したいという強い想いを抱いています。
自社のプロダクトやビジネスが、国境を越えて世界中のユーザーに利用され新たな価値を生み出していく過程に、法務の立場から貢献できることは、非常にエキサイティングな挑戦であり、大きなやりがいを感じられると確信しています。
これまでの経験を通して培った、現地の商慣習や文化への理解、語学力、クロスボーダー案件の経験を活かし、リクルートのプロダクトやビジネスの海外展開を強力にサポートしていきたいですね。

(※1)詳しくはこちらをご覧ください。

記載内容は取材当時のものです。

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