次世代HR企画 人材・組織開発室
次世代HR企画グループ
松田 今日平 Kyohei Matsuda

人材・組織開発で企業の成長に貢献したい。
リクルートのアセットと文化に魅力を感じた。

どのような魅力と可能性を感じて、リクルートを選んだのでしょうか?

新卒で大手メーカーに入社し、経営企画やマーケティングを経験しました。しかし、規模の大きな事業会社では1社員の考えた戦略をスピーディに実行まで持っていくことは難しい。そこで、コンサルティングファームに転職し、クライアント企業の経営戦略支援を手掛けることに。そんな中、営業部門のモチベーションを高めるプロジェクトを担当し、半年間現場に貼り着いて結果を出すことになりました。個々の営業パーソンとじっくりコミュニケーションしていくと意欲は高まり、業績に跳ね返り、そして顧客から「ありがとう」の声をもらう成功体験につながり、本人も事業も成長していく好循環が生まれた。変わりゆく個人と組織を見て「企業における最も重要な戦略は人ではないか」と実感し、より人事・組織関連の戦略にコミットしていける仕事がしたいと考えました。
リクルートに転職を決めた理由は、まず、純粋にそのアセットに魅力を感じたからです。資本体力を含め、多様な成長事業を展開するポートフォリオ経営をしていて、人材のバリエーションも豊富。そして何より、規模の大きさですね。従業員1万人を超える規模のダイナミズムに惹かれました。また、面接の際直感的に「面白そうな会社だな」と思ったことも大きいですね。面接担当者と対話の中「君はどう思う?」と聞かれ、「こう思います」と答えると「それ、いいね!」が返ってくる。そんなサイクルが何度もあり、自由な発言を歓迎し、新しい視点を肯定してくれるカルチャーがあると感じました。さらに、リクルートがテクノロジーに主軸を置く方向に転換する時期であり、採用の方向性も大きく変化するタイミングだと知り、そこにジョインすることで面白い挑戦もできそうだと思ったのです。

前人未踏の人事戦略を構築し、
HR領域のリーディングカンパニーとして社会に価値を還元していく。

仕事内容とミッションについて教えてください。

入社後はIT人材の採用/配属に関する仕組み構築、社員のエンゲージメントサーベイやパフォーマンスの計測手段の開発を行ってきました。そういった活動を通して、世の中の働く人々のエンゲージメント向上を目指すチャレンジがメインミッションとなっていき、2021年に人材・組織開発室のR&D企画組織のマネージャーに就任しました。
現在のミッションは2つあります。1つ目はリクルートにおける今後の人事戦略の方向付けです。2021年に分社化していた組織を統合し、これから事業転換期を迎えるため、次の戦略実行に向けて人事戦略の側面から支援していきます。2つ目は、「社員がいかんなく個々の能力を発揮していける場をつくること」で、さまざまな研究やソリューション開発に取り組んでいます。組織における人材の流動性を高める研究や、異動が社員にどのような影響を与えるかを明らかにし、社員一人ひとりの意思に基づくキャリア形成の機会を提供していけるよう、新たな制度や仕組みを実現している最中です。現在までに、「ジョブボード」プロジェクトとして、社内向けのキャリア情報のプラットフォームを作り、オンライン上で領域や職種をまたいだ異動希望を出せる「キャリア申告制度」の仕組みや、他領域のプロジェクトに参画する機会を提供する「プロジェクト兼務型公募」の制度などを実現しました。
このほかにも、グローバルな人事トレンドをキャッチアップしつつ、組織開発の理論研究や人的資本の情報開示検討なども進めています。海外にはエンゲージメントの高い企業が多くありますが、国内においては、リクルートは「熱量の高いハイエンゲージメント人材が多く活躍している企業」と言えるでしょう。社員がいきいきと働ける制度・環境のメソッドをはじめ、HR領域のリーディングカンパニーとして社会から期待されていることは非常に多いと感じます。多様な挑戦の成果を世の中に還元していくためのアプローチを重ねていきます。

ゼロイチでスタートし、実行現場に伴走できる。
自ら考えた戦略の結果は、次の戦略に活かせる。

仕事のやりがいについて教えてください。

第一に、社会的インパクトが大きいことですね。リクルートにおける社内横断的な人事戦略は多くの企業から注目されるため、世の中に及ぼす影響力の大きさを常に実感します。ですから「HR領域で社会を変えるような大きな改革をしていく」というやりがいのあるミッションを掲げることができるのです。
また、人事領域のみに閉じることなく、アナリティクスやプランニングの能力を発揮することができ、ほかの領域にも越境していけることも面白いです。プロジェクトのPDCAサイクルを自ら回していけるので、役割範囲を分断されることもない。特にHR領域はゼロからスタートするプロジェクトがほとんどなので、データ収集から戦略や企画の立案と実現、実行後の分析と振り返り、さらには来期の戦略にどう反映するかまで手掛けていきます。実行の現場に伴走し、社員や組織の成長過程と並走しているような感覚があるのです。最初から最後まで実践し、その先の未来につなげていける面白さを感じますね。
また、自分が手掛けたことに対して結果が明確な数字で返ってくるので、そこにもやりがいや面白さを感じています。先ほどお伝えした「ジョブボード」プロジェクト内の「CO-EN Map」という社内向けの組織・仕事紹介のページのPV数は月間1万以上を叩き出し、キャリア申告制度を活用した社員の満足度も99%以上という大きな反響を得ることができました。また、キャリアや社内異動をテーマにオンライン広報イベントを開催した際には、過去最大級の参加者数となり、世の中が関心を持っていることを実感できました。結果として数字が返ってくることが、何よりもの癒しになっています。

社員の意思で異動できる機会を提供したい。
5カ月掛けて根拠を集め、実現に成功。

これまでの経験の中で印象に残っているエピソードを教えてください。

「横断的な人材の流動性を高めよ」というミッションを受け、領域をまたぐ異動を可能にする「キャリア申告制度」を実現したことです。組織の硬直化を防ぎ、進化を続けていくためには人材の流動による良質なカオスを生み出す必要性があります。リクルートでも実践されてきましたが、2012~2020年は事業領域ごとに分社化していたこともあり、領域を超えた異動は多くありませんでした。しかし、異なる領域からやってきた者は新たな視点をもたらしてくれます。また、意思を尊重した異動は本人の意欲を高め、逆に、異動しないことによってモチベーションが低下し転職に活路を見出す可能性があることは、インタビューや過去の知見からも明らかになっています。これらを踏まえた上で、分社化していたリクルートが統合されたことを機に社員にフレキシブルな異動の機会を提供していこうと考えたのです。
まずは、社内の職種や領域からどのような機会があるのかを理解できるよう、組織の情報を開示する社員向けプラットフォームを作り、異動の希望を出せる仕組みや、「この領域のこの人と直接話してみたい」「こういう悩みがあるから面談してほしい」などのキャリア面談希望を出せる仕組みを付加することにしました。
しかし、各領域のトップに「個々の意思を尊重する異動機会を増やしたい」という話をした当初、思想については賛同していただきつつも、事業計画や社員一人ひとりの育成計画への影響など、現実的な課題も見えてきました。そのため、まずプロジェクトの意義をファクトとして提示し理解を得たうえで、課題を解決していく必要があると考えました。5カ月掛けて「人材が流動化していない現状」「流動化をしないことの弊害」「組織の硬直化で社員の機会がどう狭まり、それがどの程度の離職につながっているのか」などの根拠を集めていきました。また、領域トップと役員を訪ねて回り、ローテーションや育成の課題ついてインタビューすることも並行しました。領域のトップを集めるワークショップも開催し、「横断的に異動させることで、人材の育成力が高まる」というカルチャーを醸成していったのです。
働く環境と上司を変えることは個々の能力をストレッチできる機会であり、人が大きく成長できる機会です。また、同じ組織、同じミッションでは飽きてしまい、退職する人もいるからもったいない。それらのファクトを示し続けた結果、推進支援をしてくれる役員が現れ、ようやく今期から動き出すことになりました。社員の過去の異動実績を解析することは非常に大変なため、これまで誰も手を出していなかったのですが、しっかりとした根拠をクリアに示したことが功を奏したと感じます。チームのメンバーの功績や各領域の人事担当者の働きかけがあってのことなので、「皆で力を合わせて山を動かした」という一つの達成感を味わうことができました。
とはいえ、まだまだ道半ば。まずは1サイクル動かしてみて実績を見たうえで、人材・組織開発におけるアナリティクスの知見が深いグループ企業とも共同で検証を進め、人と仕事のマッチングにおける再現性をより高めていきます。最終的には、誰もが自分の転機を見極め、自己認知を高めながら「意思を持ってキャリア形成できる環境」を作ることが目標です。

個々の意思を尊重する文化と豊富なアセットで
長期的に自分の戦略を実行・検証できる。

リクルートで働く魅力と、今後の目標について教えてください。

リクルートの特徴は、社員の知的好奇心が起点になって、新たな社会的価値を創造できる点だと感じます。その背景には、個人の意思や主張、選択を重んじる文化と、個々が自律的に機会を獲得できる環境があります。私個人としても非常に面白いキャリアを描けていますし、社員視点で施策や物事を考えることが許される環境があるからこそ、働く人々を支援する社会的意義のある取り組みを実現できています。
また、リクルートには長期的な視点で大きなプロジェクトに挑戦できるアセットがあります。その中でも私が一番大きなアセットとして感じているのは、人ですね。旧リクルートキャリアのHR担当者やグローバルにおけるHRの調査担当者、データサイエンティストにリクルートワークスの研究員など、さまざまな知見を持つ人々から話を伺うことで、実に多様な角度の知見を一気に学ぶことができました。現在でも、国内においてリクルート以上にHR領域の豊富な知見を持つ組織はないだろうと思いますし、多様な事業領域と連携できるところも強みですね。また、資本体力があることも得難いアセットだと感じます。かつてスタートアップやベンチャーの支援を経験した際、資本体力が続かないケースが多く、社会を変えるような大きな仕組みを実現することは難しいと実感しました。私のチームには、プロジェクト型の新しい社内公募のあり方を企画したり、エンゲージメントを高めるために必要なマネジメント行動の研究をしたりなど、これまでにないチャレンジを続けるメンバーがいます。リクルートにはベンチャーのようにチャレンジできる風土がある一方、長期的な戦略にも取り組める環境があるのです。
今後の目標としては、まずはジョブボードプロジェクトを通してあらゆる社内の仕事情報を可視化して、自己選択できるようにしていきたいですね。私自身、リクルートに入社してから働くことが楽しくなったんです。それまでは自分の市場価値を高めるために仕事をしていましたが、今は仕事が面白いからどんどんのめり込んでいける。キャリア選択の機会を提供していくことで、個々が自分にマッチする仕事を発見し、そこに向き合う面白さを味わうことができるではないかと考えています。また、将来的には、企業における働き方をもっと自由なものに変えていく仕組みを生み出していきたいと考えています。正社員などの垣根をなくし、1年ごとに自分にフィットする雇用形態を選択できるような、より自由に仕事を楽しめる世界を実現できたらと思っています。

記載内容は取材当時のものです。

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