PEOPLE 社外広報社員インタビュー
信頼を獲得し、選ばれ続ける会社を目指して。
社外広報の垣根を超えて、
新たなコミュニケーションに
チャレンジする。
社外広報
コーポレートコミュニケーション推進室
コーポレートコミュニケーション1部
コーポレートコミュニケーション2グループ
安永 さとこ
Satoko Yasunaga
個を尊重する風土や「皆経営者主義」のもと、
大きな裁量を持って仕事ができる。
リクルートに、どのような魅力や可能性を感じて入社したのですか?
前職は総合電機メーカーで、コーポレート広報の仕事をしていました。リクルートに転職する直前は、自社の人事制度やDEI(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)といったテーマの担当でした。
一般的に、社外広報の主な業務は外部の報道機関(マスメディア、記者)とのコミュニケーションであり、それは前職でも同様でした。しかし、オウンドメディアやSNSなど、ステークホルダーとコミュニケーションを取ることのできる手法はたくさんあります。広報活動の目的や対象者もさまざまなので、それに応じて、まったく違う業界で、多様な広報の手法にチャレンジしたい、という気持ちを持つようになりました。
そんな中でリクルートに転職したのは、会社として次々と新しいことにチャレンジする風土が魅力的だったからです。リクルートは社会に対して大きな影響力を持つ、新しいメディアを作ってきた会社です。そんな会社であれば、コーポレートコミュニケーションの幅を広げ、新しい仕事に挑戦できる環境があるはずだ、と考えました。
また、前職で人事制度やDEIに関する社外広報を担当していたこともあり、他の環境に身を置くなら、リクルートのようにユニークな人材マネジメントをする企業で働いてみたいという思いもありましたね。
入社して感じたのは、個人の考えややりたいことが強く問われると同時に、それがとても大切にされ、大きな裁量を与えてもらえること。社外広報においても、担当するテーマに応じて一人ひとりが戦略・戦術を立案し、上長だけでなく同僚にも共有し、皆からフィードバックをもらいながらブラッシュアップし、実行に移していきます。
所属組織としての大目標はあるものの、方針が妥当である根拠を十分に提示できれば、どこをゴールに設定し、どの媒体に、どのくらい露出するのかも、自分で決めることができる。これは、リクルートの「皆(かい)経営者主義」という考え方や、創業当時から大切にする価値観「個の尊重」が継承され、あらゆる企業活動の基盤になっているからだと感じています。
前職における私個人の働き方は、上長がある程度の方向性を定めてくれた段階で仕事を任され、それをどう実行していくかに頭を使うことが多かったです。ですので、リクルートに転職したばかりの頃は戸惑う事も多く、戦略立案の段階から裁量を持って進める仕事の難しさを痛感することも多かった。しかし、自社理解も完全ではないような、入社間もない時からテーマを丸ごと任され社外広報戦略を考えて実行に移すというのは、とても貴重な経験になったと思っています。
リクルートの姿を正確に伝え、
ステークホルダーの信頼を得ていく。
社外広報の役割とミッションを教えてください。
社外広報の主な役割は、社外のステークホルダーの方々に、ポジティブなことだけではなくネガティブなことも含めて、リクルートのことを正確に理解してもらえるように伝えていくことです。
企業活動にかかわる説明責任を果たすことはもちろん、会社や事業の価値を正しく伝えていくことでリクルートへの理解を促進し、さまざまなステークホルダーの「信頼」を獲得する。その先に、リクルートと取引したい人やリクルートのプロダクトを使いたいと思ってくださる人、リクルートで働きたい人が増えていく。これが一番のミッションです。
信頼される会社としてステークホルダーから選んでいただける会社になることで、サステナブルに成長し、事業を通じて社会に良いインパクトを与えていく。それが、リクルートの経営理念でもある、ステークホルダーの方々の意思決定を後押しすることにつながっていくはず。リクルートでは、社外広報を含めてアウターコミュニケーションにかかわるメンバー全体で、この考え方が共有されています。
「リクルートの姿」がきちんと伝わるにはどうしたらよいか。伝わった先に、社内外にどんなインパクトを生みたいか。社外広報のメンバーは皆、日々緊張感と想像力をもって、発信の方法を考えています。特に、社外広報で中心となる報道機関とのコミュニケーションにおいては、報道するかしないか、どのように報道するかは、報道機関が決めることです。報道機関は個別の企業のために報道しているわけではないですよね。だからこそ、私たちが発信したリクルートに関する情報が、報道機関に「社会的にも価値がある」と判断され、正確に報道され、結果として社内外のステークホルダーがリクルートへの理解を深めてくれることを目指しています。さらにそこからリクルートへの信頼や応援の気持ちを持ってくれる人が増えたら、これほど嬉しいことはないですね。
対象者によって、リーチする方法もさまざま。
目的にあわせた広報戦略でメッセージを伝える。
リクルートで働く面白さはなんですか?
いつも驚かされているのが「業務の幅広さ」です。主務で所属する組織の業務以外も複数兼務している人がとても多いですし、一つひとつの業務においても多種多様な仕事ができます。
私はリクルートのDEI、サステナビリティ、自動車事業に関する社外広報を担当しながら、リクルートの親会社であるリクルートホールディングスのサステナビリティに関する社外広報も担当しています。また、2022年10月からは、人事部門のDEI推進室で社内向けの意識醸成施策の企画推進業務も兼務することになりました。
社外広報として担当するテーマの広さはもちろんですが、実現したい目的や、社員の成長に必要な機会であれば、組織や職種の垣根を軽々と越えて業務を経験させるのはリクルートらしいなと思います。
社外広報の業務の中でも、従来のやり方や自分の所属チームに閉じない新しい挑戦に皆が取り組んでいます。
社外広報活動はこれまで外部報道機関とのコミュニケーションが中心でしたが、近年はマルチチャネルでのコミュニケーションを考えることも増えてきました。対象者や目的を踏まえてメッセージを作り、アーンド(報道)、オウンド(コーポレートサイト、コーポレートブログ等)、シェアード(SNS)、ペイド(広告記事等)の最適な組み合わせで情報発信することが求められています。
例えば「リクルートグループのサステナビリティ」をテーマに、投資家を想定した情報発信をする場合は、国内外のリクルートグループの取り組みを踏まえ、報道機関の経済部やESG担当の記者も意識したコミュニケーションを行います。「リクルートのDEI」がテーマの時には、採用ブランディングも重要な目的になってきますので、報道機関向けのコミュニケーションにとどまらず、コーポレートブログやSNSなど、求職者に向けてダイレクトに情報を届けられる手法を設計します。
自動車事業領域でも、情報を届けたい対象者は「中小規模の自動車販売事業者」「自動車を探している一般生活者」「採用候補者」「業界関係者」と、多岐にわたります。自動車販売事業者向けの業務支援プロダクトであれば専門媒体向けに、対して一般生活者向けのプロダクトであれば、より読者層が広い全国メディアへのアプローチや、SNSで直接リーチすることも選択肢に入ってきます。
リクルートでは社外広報、SNS、コーポレートブログ等、それぞれを担当するチーム間の垣根が低く、日常的に連携して情報を発信しています。社外広報からSNSやコーポレートブログ担当者に企画を提案して、一緒に発信内容を作りこんでいくことも多い。
このように、社外広報一つとっても、業務には大きな幅があります。自分の所属に閉じずに、新しいことに取り組むことが推奨されるリクルートだからこそ味わえる醍醐味かもしれませんね。
広報活動を通して、社内外の意識を変えていく。
一気通貫でコミュニケーション戦略を組み立てる。
特定のテーマに入り込み、戦略から実行まで行った取り組みについて教えてください。
2022年3月8日の「国際女性デー」をフックに、リクルートがジェンダーのDEI実現に向けて真剣に取り組んでいる姿を社内外に伝えようと、マルチチャネルでの広報活動を行ったことです。
リクルートグループでは、2030年度までにグループ全体で、取締役、上級管理職、管理職、従業員、それぞれの男女比を50%にするという、世界的に見ても高い目標に取り組んでいます。しかし2021年に発表した当初は、社外はおろか、社内でもあまり認知されていない状況でした。社内では、知っていても「なぜやるのか」「なぜ数値目標が必要なのか」といった疑問の声もあった。創業当時から「個の尊重」を大切にしてきたリクルートとしてこの状況に危機感を感じ、社内外の一人でも多くの人にリクルートがジェンダーのDEI実現に取り組む理由と、その本気度を伝える必要があると感じました。
そのためにはまず、社会的にもジェンダー問題に関心が高まる「国際女性デー」の時期に合わせた広報活動を通じて、皆が自分の問題として真剣に考える機会を作りたいと考えました。
しかし、タイムリーに広報発表できる案件はなく、「ニュース」という形で報道される可能性はほぼありませんでした。また、多くの記者の反応は「リクルートは昔から女性が活躍している特殊な会社なので、他の企業が参考にできることはなさそう」というもの。
そのため、対象者に向けてメッセージを届けることを目的に、マルチチャネルでのコミュニケーションを設計しました。
まず、ジェンダーのDEIをテーマに役員と社員の鼎談を企画。その内容や、社外の有識者をお迎えして実施した社内の啓発イベントの様子をコーポレートブログで公開し、SNSや社内広報チャネルでも継続的に発信していきました。特に、社内イベントのブログ記事は2022年上期のコーポレートブログ記事で2番目に多くの反響があり、報道機関記者や投資家からも「面白かった」「課題も含めて包み隠さずに社外に伝えている姿勢はリクルートらしくてよい」とのコメントを複数もらうことができました。
次に、報道機関の記者に対しても、リクルートの取り組みに関心を持ってもらうことを目的に、メディアキャラバン等を通じてコミュニケーションを続けました。
ジェンダー問題に関する社会的な動向を踏まえ、多くの企業と同じようにリクルートも頭を悩ませ、試行錯誤している状況や具体的な取り組み事例を織り交ぜながら「リクルートの取り組みが、社会的にはどういった意味を持つのか」をご理解いただけるように努めました。結果としてリクルートの取り組みが、DEIのテーマとしては珍しく、ある経済メディアで複数回連載の大型企画につながりました。
その数か月後にも大きな報道につながり、それをきっかけに、DEI推進担当部署に対して社外からの講演やヒアリングの依頼が急増し、社内からもこれまでにないほど多くの反響があったと聞いています。
ジェンダー問題への取り組みに対しては、いまだにさまざまな議論や意見があると認識しています。しかし、今回の社外広報活動を通じて、社内も含む社会にインパクトを出せたことは、大きな意義があったと感じています。
自分の役割に閉じず、越境できるカルチャーで
業務や自分の可能性を広げていく。
これからの目標を教えてください。
「社外広報の効果測定は永遠の課題」と言われることが多い中で、その活動を数値化し、活動の量と質から認知へのインパクトをより精緻に測れるよう、室を挙げて取り組んでいます。
冒頭でお話したとおり、社外広報を含むコーポレートコミュニケーション全体で、まずは「信頼」を獲得すべくさまざまな施策を実施しています。しかし、それを数値化するのはとても難しく、どんな記事をどれだけ出せばよいか正解が見えているわけではありません。そんななかでも、室全体で、そして各テーマの担当者それぞれが仮説を立て、それに基づくKPIやKGIを設定しています。
この取り組みはまだ始まったばかりですが、一般的に科学しにくいものをいかに科学するのかを皆で知恵を絞って挑戦できるのは、リクルートの社外広報の難しさであり、面白さでもあると思います。
また、リクルートは、1960年の創業時から大きな変貌を続けてきた会社です。特にこの20年は紙媒体が中心だった時期から、Webのマッチングプラットフォームにシフトし、そこからさらに、SaaS型のプロダクトを通じてクライアント企業の業務・経営支援も行う会社になりました。
この変化に伴って、コーポレートコミュニケーションのステークホルダーも大きく広がっています。さまざまなステークホルダーに、リクルートの企業活動やその価値を理解いただき、まずは「信頼」を獲得する。そこから、リクルートを応援してくださる方を一人でも増やしていきたい。そのためにも、社外広報の仕事を通じて、社内外にインパクトを与えていきたいと思っています。
リクルートは、自分の役割のみに閉じることなく、職種、業務、組織の枠を超えた挑戦を大切にするカルチャーがあり、そうやってイノベーションを創出してきました。私自身も可能性を拡げながら、これまでにないアウターコミュニケーションを模索していきたいです。
記載内容は取材当時のものです。