森 高史
顧客接点
飲食営業の常識に挑戦し続ける
この道一筋の
プロフェッショナル
- 学生時代
- 特技も趣味もマーケティングといえるくらい、起きている間はずっと考えていた。人の心を豊かに悩ませる広告やメディアの存在が、人の生活に仮説と判断を生み、消費・購買や選択・行動を繰り返す楽しみを与えている仕組みが好きで、マーケティングイベント会社を起業。
- 1〜2年目
- 『ホットペッパーグルメ』の営業に配属。西新宿エリアでの新規獲得営業およびルート営業。
- 3年目
- 同飲食事業の法人営業グループの立ち上げに配属。商業施設ディベロッパー担当。
- 4〜7年目
- 大手全国チェーンクライアントの渉外営業を担当。20名の組織のチームリーダーに。
- 8〜9年目
- 法人営業グループのマネジャー。大手全国チェーンクライアントを担当する50名の組織を担当。
- 10〜12年目
- 法人営業部総合企画グループのマネジャーとして、販促支援の枠を超え、経営支援の体系化とメンバー育成を担う。
- 13年目(現在) ※2020年時点
- 飲食事業の総合企画部を発足し部長を務める。経営支援の体系化とメンバー育成の規模を拡大。
キャリアパス・現在の仕事内容(1)
飲食事業を販促から経営までリードする。
現在は『ホットペッパーグルメ』の法人営業を担当しています。全国にお店をチェーン展開している外食企業(クライアント)に対して『ホットペッパーグルメ』の予約システム、広告の枠を通じて送客をするというのが基本的な業務内容です。こちらに加え、法人営業として業務支援や経営支援等も行っています。クライアントの会社規模や課題に合わせて、事業成長に必要な課題設定からソリューションのご提案、企画というところまでを一貫してご提供することもあります。例えば、業態開発も行っていて、クライアントの資金や物件に対して、「この立地でこの予算ならこういう事業計画が想定できる」「何の業態で初期費用がいくらで収まれば、8か月で回収できる」といった、経営に触れる部分のご提案もしています。
現在はコロナ禍で飲食業界に大きな変化が起きています。外食が控えられる中、我々が担う販促活動自体の優先順位が下がっているケースも多い状況です。クライアントは販促活動以前に、家賃の支払いや従業員の雇用を維持しなければならないという厳しい現実に直面されています。この1年間、販促活動以外の業務改善や、コロナ禍でもお客様に来てもらうための業態の開発、閉店の判断というお話が増え、クライアントからも期待、信頼、感謝はいただくのですが、まだまだ業界的に厳しい状況は変わりません。前例のない状況なので、忙しさと思考の難易度が上がっているなと感じています。
キャリアパス・現在の仕事内容(2)
偶然の着想からつながったTOPGUN受賞。
これまでで印象に残っている仕事としては、販促企画と連動したメニュー開発をしてクライアントにご提案したことです。販促にかなり予算を割いていただけるクライアントがいらっしゃったのですが、言い換えると競合サイトや従来の『ホットペッパーグルメ』を含むペイドメディア依存になっている、とも言える状況でした。私は販促のお手伝いをすることが仕事ですが、一方でこの先も事業運営を継続的にしていただくためには、販促に依存するのではなく、オペレーションやメニューにも注力する必要があると思っていました。
そこで提案したのが、あるドリンクを開発して、それをSNSで拡散すること。ドリンクと企画のパッケージで、新規のお客様の来店動機につなげるという企画です。リクルートがそれまでクライアントにご提供していたのは、『ホットペッパーグルメ』での予約による月々の来客数(数百名)×コース料金(数千円)だったんです。ここに当日ドリンクの売上数百円が加われば、クライアントにも利益が生まれ、我々もサービスとしての提供価値の幅が広がる。こういう施策がクライアントサイドに浸透すれば、企業として一歩先に進んでいただけると考えましたし、実際にこのセットのご提案はクライアントにご好評をいただきました。
もともとドリンクをセットにするというアイデアは、クライアントとの雑談から着想を得ています。社内で流行っている言葉があるという世間話だったのですが、そこから「日本中の居酒屋でこの言葉を乾杯の時に言っていたらおもしろいな」「そうなると乾杯のドリンクがあった方がいいな」「乾杯ドリンクならこういうものにして、当日に予約料金とは別で売上になるものがいいな」などと徹底的に飲食店の立場になって考えてゆき、最終的に、SNSを通じて、それまで接点の無かったお客様とお店が出会うことと、その単価を上げることがセットになった提案が生まれました。結果としてこの提案によって私はTOPGUN※に選出されました。ビジネスのアイデアや着想は、どこに転がっているかわからないのでおもしろいです。
※TOPGUN:社内表彰イベント『FORUM』の1つで、顧客接点部門の表彰。顧客接点を通じた課題解決から、新たなソリューションやプロダクト開発の兆しを創出した案件から選ばれる。
キャリアパス・現在の仕事内容(3)
8年越しの悲願。総合企画部を自ら立ち上げ。
2020年に飲食領域で初めての総合企画部※を自ら発足しました。立ち上げの理由は大きく二つあります。一つ目はマーケットの変化に対応するため。10年ほど前から、不景気の影響で、さまざまな産業が消費者の日常消費の可処分所得を奪い合うような状況になってきました。こうした流れの中で、飲食店の売上・店舗数も、総じて厳しい状況に。さらにスマホの普及によって、あらゆるものがネットで気軽に買えるようになり、人々が今まで外食に使っていたお金を他のものに使うということが増えるなど、刻々と変化するマーケットに対応したいと思っていました。二つ目はクライアントに対する想い。マーケットの変化により、世の中での外食の魅力が日常消費の中で相対的に下がっていると感じていたのですが、我々なら外食企業に他領域の競合と戦うための武器をご提供できるのでは、と思いました。他領域に負けないよう、世の中に対して「外食って楽しい」という魅力を、我々のような第三者的な業種から主導してアピールしたかったんです。
こうした二つの理由から発足させたのが総合企画部で、クライアントの事業成長のために価値を提供したいという想いが根底にあります。このチームを母体に結果を出す中で、グループ、部とだんだん組織が大きくなり、今に至るというのが経緯です。
※総合企画部:既存の広告商品に留まらず、クライアント課題に沿って独自の企画提案から営業までを行う営業部
職種ならではのおもしろさ
「トップライナー」の視座で、クライアントの事業成長に貢献。
部のメンバーには常日頃から「マーケターであれ」と伝えています。目の前にある販促の成果やクライアントからの発注を物差しにするのではなく、常に他領域との競争と、外食の消費者・クライアントを中心とする食マーケットに対して目線を向けることは部の方針として大事にしています。もう一つ伝えているのは「トップライナーであれ」です。御用聞きの最前線、クライアントが考えたことに寄り添うだけの「トップパートナー」ではなく、クライアントの経営陣が考えている、その成長線の上側を導く位置を目指しており、総合企画部では「トップパートナー」の一つ上のランクを「トップライナー」と定義して、クライアントの経営判断といった深い部分にまで関与する存在になることを目指しています。
また、ライフスタイル領域における顧客接点の仕事は取り組みの結果が出るまでのスピードが早いのも特徴です。わかりやすくいうと、Aというお店をその日何名がどういう予約をしてくれたかがすぐにわかる。マーケットや経営課題という抽象的で幅広いことを思考しながらも、例えば、「企画をやってみたものの全然予約が入らない」というようなフィードバックをタイムリーに得ながら、手触り感を持って日々仕事に取り組めるのはこの仕事ならではのおもしろさだと思います。
大事にしていること
どんな状況でも、好奇心のアンテナを張り続ける。
常にいろいろな方向にアンテナを意識的に広げる好奇心を大事にしています。先ほどの「どこにアイデアが転がっているかわからない」という話ともつながるのですが、私はどんなことでも気になったことがあれば、「あれは何だ」「これは何だ」という疑問を自分の中に蓄えていくんです。そういった好奇心のアンテナをどんなに忙しい状況でも張り続けて、興味を起こし続けます。そうするとそこから発見が生まれて、その発見をカタチにするためにまた迷いが増えて、迷うからこそ考え、知識も増えていきます。このサイクルをどこかで安定させるのではなく、常に回し続ける。落ち着かないといえば落ち着かないのですが、このサイクルが回っている状態が自分にとっては楽しいんです。悩ましくも楽しいといった感じでしょうか。
リクルートらしい「機会」
先輩からの指名で、飲食領域の最大手クライアントを担当することに。
入社4年目で、全国大手の居酒屋チェーンなどを担当する法人営業組織に異動。そこで当時最大手だったお客様の担当に抜擢された経験が、リクルートらしい機会だったと思います。このお客様との年間取引額は、その直前まで私が担当していた20の商業施設を合わせた額の10倍以上。事業上絶対に失敗の許されないお客様であるのにも関わらず、上司は大手法人営業の実績がない私の可能性に賭けて任せてくれました。
後から聞いた話ですが、上司は異動する前から私の仕事に注目をしてくれていたそう。どんな顧客に対してもリクルートのメディア商品を提案するのではなく、販促支援以前の経営課題から企画を考えて提案することにこだわっていたその姿勢を見ていただき、実績のない私でも任せてくれたようです。
とはいえ、並々ならぬプレッシャーの中でお客様に向き合うのは一筋縄ではいきませんでした。引き継ぎのご挨拶の時にいきなりお客様からオーダーいただいたのは、既存の集客プランとは別に新規売上を創出する集客施策の提案でした。その日から毎日、新しく居酒屋のカスタマーになりそうなターゲットや彼らに刺さるプランを考え、さまざまなアイデアを出しては再検討を繰り返す日々。最終的には、草野球などの草スポーツコミュニティ向けに、練習や試合帰りの昼飲み打ち上げ企画を提案し、お得なドリンクメニューをつくるなどの商品提案も行って、新たな顧客層を開拓することに成功しました。
今思い返してみても、プレッシャーも業務負荷も高い時期だったと思います。でも、それがあったからこそ、今の自分がいる。実は若いころの自分は「リクルートは3年で卒業して次の環境に飛び込む」ことも考えていました。その節目の時期だったのでこのまま営業を続けることへの迷いがあったのも事実。でも、せっかくの機会を逃さず向き合ったからこそ、まだまだリクルートには挑戦のチャンスがあることを見出せた。それが今のキャリアにつながっています。
機会を得るための「マイルール」
好奇心×探求心×ちょっとした“遊び心”を持ち続ける。
子どものころから好奇心旺盛で、気になることは何でも手を出したり、探求心を持って調べたりすることが好きでした。そうした気持ちをベースにしながら、特に社会人になってからは、自分の価値観が凝り固まらないように、あえて興味のないことや好きではないことにもアンテナを張るようにしています。
例えば、私は学生時代までずっとサッカーをやっていたので、サッカービジネスやファン心理については詳しいのですが、あるときはあえてプロ野球チームのファンクラブに入り、シーズンチケットを購入。新しい情報にアンテナを張るために、野球ファンになりきってみました。他にもコンビニで商品の陳列を眺め流行の移り変わりを見たり、雑誌コーナーで女性誌を手に取って裏表紙に掲載されている広告の商品・企業をチェックしたりして、情報を集めています。自分の好き嫌いは関係なく、マーケティングのヒントとして意味があると思って続けていますね。
また、遊び心を持って仕事をするのも大事にしていることの一つ。働いていれば、途方に暮れるくらい難易度の高い仕事や、日々の繰り返しで単調な業務など、たしかに辛いこともあります。でも、そんな中で関わる仲間やお客様には「大変だけど、楽しいよね」と思ってもらいたい。成果を出すまでのプロセスを楽しみ、一緒に苦労を乗り越えることで何かしらの成長を感じてもらえるよう、自分の行動や発言を意識しています。
こんな風に、私は自分自身がワクワクしながら仕事を楽しむことで、さまざまな機会をいただいてきました。ただ、そうやって巡ってきた機会に相手の期待通り対応するのではなく、自分なりの目標やありたい姿を定めて突き進むことも大切。訪れた機会を活かして、自分自身がどう成長するかを意識することが、リクルートらしい機会の使い方だと思います。
リクルート流「週休“約”3日制」の過ごし方
自分の会社でプロデュースしている宿泊施設やキャンプ場のメンテナンスをしたり、三児のパパとして平日に有給休暇を活用して学校行事に参加しています。また、空いている平日を狙って長女とお台場までドライブして二人で映画を観たりもしています!
MY FAVORITE:
Saint-Louis社製の
手造りグラス
実はお酒は全然飲まないのですが、リモートワークしながらオン・ザ・ロックでコーラを飲んでいます。お気に入りはSaint-Louis社のトミーというシリーズです。