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『SUUMOリサーチセンター』、IoTセンサーで室内環境を数値化

MUJI HOUSEなどで室温や騒音を測定、住まい選びの新基準に

株式会社リクルート

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株式会社リクルート(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:北村 吉弘、以下リクルート)の住まい領域の調査研究機関である『SUUMOリサーチセンター』は、2017年から東京大学大学院 情報理工学系研究科・山崎研究室(以下、「東京大学 山崎研究室」)や北海道大学大学院工学研究院 建築都市部門 先端空間性能分野・建築材料学研究室 (以下、「北海道大学 北垣研究室」)、株式会社フューチャースタンダードと共同で、住宅の室内環境を定量的に評価する実証実験を実施しています。4者で研究開発したIoTセンサーを、パートナー会社(株式会社エフステージ、株式会社インテリックス、リノベる株式会社、株式会社MUJI HOUSEなど)が保有する中古マンションの住戸に設置し、室内外の温熱・音環境などを測定しています。これらの数値データは、住まい選びの新たな基準としても期待できます。このたび、可視化できた成果をお知らせします。
実証実験の様子

1. 取り組み背景と概要

日本の住宅選びでは、間取りや駅までの距離などの条件や、耐震などの「災害に対する性能」が長らく重視されていました。一方で、部屋の暖かさや、静かさなどの室内環境については、実際に住んでみなければ分かりませんでした。『SUUMOリサーチセンター』が入居後の居住者にアンケートを取ると、「部屋が暑い・寒い」「近隣の生活音がうるさい」といった内容が上位に不満として挙がっており、生活者の知りたいニーズは顕在化しています。
そこで、『SUUMOリサーチセンター』は、実証実験を実施する運びになりました。具体的には、温度や音などを測定できるIoTセンサーを住戸の室内と室外に設置し、遠隔で数日間の温度、騒音などのデータを取得します。そのデータを分かりやすく見える化し、該当住戸の室内環境がどの程度快適かが分かる資料を作成します。例えば省エネ改修を実施した場合、その改修の前後で測定、比較することで改修の効果を分かりやすく可視化できます。2024年4月より「省エネ性能ラベル」の、11月より「省エネ部位ラベル」の表示がスタートした中、この体感値に近い指標を合わせて使用すれば、より省エネを身近に感じて住まい探しができるようになります。

2. 取り組みの詳細と結果

パートナー各社(株式会社エフステージ、株式会社インテリックス、リノベる株式会社、株式会社MUJI HOUSE)の保有する住宅における実証実験の結果は以下の通りです。
なお、株式会社エフステージと株式会社インテリックスとの取り組みは、国土交通省の「次世代住宅プロジェクト2023」の第1回事業者に選ばれました(詳細はこちら)。


株式会社エフステージ(東京都文京区)
・測定期間:2023年2月24日(金)~2023年2月27日(月)
・実証実験を実施した戸数:関東の中古マンション3戸
・代表的な実証実験のデータ(下図、東京都、築25年、リノベーション済み、専有面積約74㎡)

株式会社エフステージの測定結果※環境基準:環境省が定めており、日中(9-21時)は55dB以下、夜間(21-9時)は45dB以下(以降、同様)

株式会社インテリックス(東京都渋谷区)
・測定期間:2024年1月18日(木)~2024年1月21日(日)
・実証実験を実施した戸数:関東の中古マンション14戸
・代表的な実証実験のデータ(下図、神奈川県、築10年、リノベーション済み、専有面積約63㎡)

株式会社インテリックスの測定結果※温熱計算:インテリックスグループの株式会社TEI Japan
 
リノベる株式会社(東京都港区)
・測定期間:2024年2月9日(金)~2024年2月11日(祝)
・実証実験を実施した戸数:関東の中古マンション5戸
・代表的な実証実験のデータ(下図、神奈川県、築43年、リノベーション済み、専有面積約67㎡)
 リノベる株式会社の測定結果※ZEH‐oriented設計協力・温熱計算:積水化学工業株式会社

株式会社 MUJI HOUSE(東京都文京区)
・測定期間:2025年1月27日(月)~2025年1月30日(木)
・実証実験を実施した戸数:関東の中古マンション5戸
・代表的な実証実験のデータ(下図、東京都、築42年、リノベーション済み、専有面積約61㎡)
株式会社MUJI HOUSEの測定結果※環境設計協力:株式会社エヌ・シー・エヌ

3. 『SUUMO』編集長 兼 『SUUMOリサーチセンター』センター長 池本 洋一からのコメント

「見えにくい性能」の可視化で、省エネが皆に価値ある世界へ

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これまで「見えにくい性能」だった温熱環境や音環境などを、生活者の感覚に近い形で示すことにこだわりました。これが新たな指標の一つとなり、性能の高さ(住み心地の良さ)が物件の価格や賃料に適正に反映される世界の実現を目指しています。性能の良い物件ほど高く販売・賃貸でき、生活者からも支持されるマーケットにならなければ、事業者の皆さまも本気で取り組みにくい。事業者、生活者双方にとって分かりやすい物差しを提示することが、住まい探しのプラットフォーマーである『SUUMO』が担う社会的役割だと思っています。


参考
・ 本取り組みを紹介した当社のWebサイト
https://www.recruit.co.jp/sustainability/service-housing/0009.html

・本取り組みを紹介した『SUUMOリサーチセンター』のWebサイト

https://www.suumo-research.com/work/iot

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