リクルートテクノロジーズ、未来のスマートホーム技術を実証実験。標準規格「Physical Web」でスマートコントローラを実現 ~デザイナーも開発可能に!? Webブラウザ×Bluetoothの新たな可能性示す~
株式会社リクルートテクノロジーズ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:中尾隆一郎、以下:リクルートテクノロジーズ)の研究開発機関アドバンスドテクノロジーラボ(以下、ATL)は2015年10月、IoT技術研究の一環としてPhysical Web(※1)を活用。URLを発信する家電型ビーコンデバイスを想定し、それに対応するスマートコントローラを開発。デモを実施しました(※2)。
ユーザーはスマートフォンのWebブラウザ上でURLを受信し、コントローラとして家電を操作することが可能です。また、Physical Webが普及した未来を想定し、独自のコンポーネントライブラリを提案。コーディング等の技術に馴染みがないデザイナーでも、簡単にコントローラを開発することが可能になります。
※1 Physical Web
グーグルが公開する、Web技術を利用してIoTでモノと対話できる仕組みをつくることを目的としたプロジェクト。中核であるURIビーコン(URLおよびuuidを発信するビーコン)の仕様は、2015年7月に発表されたビーコン規格「Eddystone」においても「Eddystone-URL」として採用されている。
※2 W3Cでの実験デモ
国際Web標準化コミュニティW3C(World Wide Web Consortium)が開催するDeveloper Meetupにおいて、先鋭的な取り組みとして下記の実験デモを実施。
①リクルートテクノロジーズが “Physical Web” に注目する理由
ATLは、世の中の先進的技術からソリューションを作り出し、将来のサービスへの接続を模索する先端研究組織です。これまで提唱してきた「Physical Webが実現する世界観(※3)」に関連して、「家の中でPhysical Webを活用したらどんな体験が可能か?」を実証実験するため、本取り組みに至りました。
※3 Physical Webが実現する世界観
「バス停に着いたら次のバスがいつ来るかわかる」、「レストランに着いたらメニューを閲覧できる」など、“今必要な情報は周りに落ちている”という新たな情報消費スタイルを実現する技術として、Physical Webに注目。2015年3月に、独自のビーコンとアプリを開発し、デモを実施しました。
■iBeaconに対抗する標準規格、Physical Web
ビーコンを活用する技術としてはPhysical Webの他に、アップル社が提供する「iBeacon」が存在します。 Apple社が決めた規格をiOSのSDK(ソフトウェア開発キット)を通して利用するiBeaconに比べ、Physical Webはオープンスタンダードな標準規格のため、「誰でもビーコンやサービスを開発できる」可能性を秘めています。そのため、Physical Web普及後にどのような体験が可能になるかを実証・提唱することにより、Physical Webの標準化を促進できればと考えています。
■Physical Webが開く、スマートホームの可能性
Physical Webを通じて、「今、この場で必要な情報」を取得可能です。こうした“近くのものとつながる”特性の応用として、家の中の生活がどのように変わるかに注目。家電がURLを発信するビーコンとして機能した場合を想定し、デモを実施しました。
②家電型ビーコンを想定し、Webブラウザ上で機能するスマートコントローラを開発。デモを実施
以下の家電型ビーコンを想定し、対応するコントローラを開発しました。これにより、“家の中でスマートフォン(Physical Web対応ブラウザ)を見ると、周囲の家電のコントローラがリストアップされ、そのまま操作可能”という体験が実現できます。
【仮想テレビ】 動画ページを切り替えて表示できるアプリで、スクリーンの上に並んだチャンネルボタンで表示する動画ページが切り替わります。
【仮想エアコン】 エアコンのディスプレイを模したアプリで、現在の気温や、設定温度を編集することが可能です。
各デバイスはPhysical Webのビーコン(Eddystone-URL)として振る舞い、URLを発信します。Bluetooth Low Energy(BLE)のサービスを提供しているため、スマートフォンが近づくとPhysical Web対応のブラウザ上に一覧画面を表示させることが可能です。
■技術的な意義
【動的なリモコンを実現可能】 リアルタイムで最新番組や室温が表示されるなど、Webならではの情報を付加した次世代型リモコンを容易に作成可能です。
【Webブラウザ×Bluetoothの活用可能性を示唆】 現状、Bluetooth APIが整備されたWebブラウザは、特殊な条件以外では存在しませんが(※4)、Physical Web対応ブラウザが普及した近未来においては、WebとBluetoothを連動させるインフラが整備され、IoT分野の技術が大きく広がる可能性があります。
※4 Web Bluetoothを利用可能なブラウザ
現在はiOS/Android上のSafariやChromeなどでWeb Bluetoothを利用できないため、今回のデモにおいては、最低限のBLEのブリッジ機能を搭載したWebViewアプリケーションを開発し、JavaScriptから利用した。
③独自のコンポーネントでデザイナーでも開発できるインターフェースを提案
今回使用したテレビ向け・エアコン向けのコントローラ(Webページ)のHTMLソースは、事前に用意した独自のWeb Components(※5)を利用。複雑なBLEの仕様について知識がない開発者であっても、下図のような短いHTMLを書き込むだけでPhysical Webと連動して機能するコントローラを作成することが可能となっています。
上記のようなサポートを通じて、“デザイナーでもコントローラを作れる”など、新しい技術の普及促進にも貢献していきたいと考えています。
※5 独自のWeb Components
Web ComponentsのラッパーライブラリであるPolymerを利用し、Custom Elementを作成。HTML Importsを使って、作成したコンポーネントを読み込んでいる。
お問い合わせ先
株式会社リクルートテクノロジーズ PR 事務局 池田(イケダ)・濵西(ハマニシ)
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