リクれぽ Vol.4:今年のインターンシップについて、いまお伝えできること
※以下、表記に不備のある箇所がありました。訂正してお詫び申し上げます。
- 公益社団法人全国求人情報協会の表記
- 緊急事態宣言の範囲が全国に広がった日付
『リクれぽ』は、リクルートキャリアの新卒領域に特化した活動レポートです。学生の意見や、就職活動での悩みなど「声」を明らかにしながら、当社サービスの実態をご報告。今後のお知らせも発信してまいります。
PDF版はこちらをご覧ください。
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『声』を聞く
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、2022年卒の学生を対象としたインターンシップについても、今後スケジュールの変更をはじめとした影響が出てくることが予想されます。当社では、これから就職活動の準備に入る学生の皆さま(以下、学生)につきましても、その不安の声に向き合い、情報発信してまいります。
一方で、3月19日、当社が加盟する公益社団法人全国求人情報協会などは、「学修経験時間の尊重に向けたインターンシップの取り組みについて」の共同声明を宣言し、インターンシップにより、学生の大切な学修時間を阻害することがないよう、指針が発表されました。当社では、この共同声明に賛同し取り組みを推進していくとともに、『リクナビ』でのインターンシップの掲載のあり方につきましても、学生の学修時間の確保を軸にして事業を推進してまいります。
インターンシップに関する学生の声
「今年のインターンシップどうなるの?」 「学業とインターンシップの両立に不安」という声が多く聞かれます
- インターン参加は人材系10社。学校の合間とか、1日だったりする。ただ、学業を考えると、出来れば休日がよかった。働いている人も休日に働くことを考えると仕方がない部分があるというのは理解できる。(私立大、3年生)
- 大学の通常講義期間にも関わらず、平日の昼間にインターンシップが設定されていることに疑問を抱きます。(もちろん企業の方にも事情があることは承知していますが)大学の「就職予備校化」が進む一因になっていると感じます。(私立大、3年生)
- (インターンシップで)複数人の社員さんとお話する機会がほしい。職種や年次の幅もあると、詳しい仕事やキャリアの話も聞きやすい。(国立大、3年生)
- (就職活動、インターンシップなどのオンライン化は)進むことはいいと思うが、まだ通信が安定しないなど不安要素が多い。発言が途切れることでリズムが壊れてしまうこともあり不安に感じている。(私立大、3年生)
- インターンシップでは、OBOG訪問、オフィス見学などと同じで働いている人を見れるという意味で重要な機会だと思う。コロナの影響で、今回できないかもしれないとなると、感情論になってしまうが残念だと思う。働いている人を実際に見る前にいろいろと決めなければならないことになり不安。(私立大、4年生)
- 都内のインターンに参加しようとすると、地方の学生は移動の時間も考慮しなければならない。実際に先輩方が夜中に移動したりして対応しているのを見てきている。大学も、インターンや就職活動をしてもいいと言っているが、教授は理解してくれるものの、いい顔はしないので難しいと感じる。(国立大、4年生)
- 実務は学問ではないという雰囲気が日本にはある。学業とインターンシップなどの実務はどうしても対立してしまう傾向にあるのが本来おかしいと思うが・・・。学業は大切だが、インターンも社会の現場を知るという面において大変重要であると思う。ただ、理系学生にとって、平日は授業がある。そのため、これまで平日開催のものは授業があるからと行かない選択をしてきた。土日祝で被るリスクはあるものの、そこでいままであきらめていたものに参加できる可能性が出てくるので嬉しいと思う。(私立大、4年生)
- 平日開催は基本的に賛成だが、土日祝のみに開催すると(開催が)被る企業が多くなるのではと不安もある。インターンシップに参加できる数が減るのではと。授業には出たいがインターンシップでの話は聞いてみたい。重要な機会だと思うので。(私立大、3年生)
※インターンシップ経験のある大学4年生の方へもヒアリングを実施しております。
就職活動・新卒採用の現場から
2022年卒のインターンシップ実施 学生は「人事も手探り状態」と認識を
就職みらい研究所 増本 全
2021年卒の就職活動が進むのと並行して、2022年卒の学生の皆さま(以下、学生)や、大学関係者の皆さま(以下、大学)から、新型コロナウイルス禍でのインターンシップ開催の目途や、企業様(以下、企業)の意欲について問われる機会が増えてきました。
4月16日に緊急事態宣言の範囲は全国に広がりました。今後いつかは分かりませんが、事態が一応の収束を見ても、目先の経済動向はなかなか読めません。そうなれば、インターンシップ実施の判断や時期も変わるでしょう。
しかし、見通しは定かでなくとも、現状の検討状況は把握しておきたいところ。そこで、就職みらい研究所が人事担当者を対象に実施した3月6日から8日時点の「緊急調査」(※1)と、3月27日から29日時点の「緊急調査第2 回」(※2)を用いて、2022 年卒のインターンシップの実態を紐解いていきます。
※1 【緊急調査】2021年卒採用活動プロセスの見直しの現状ー3月6~8日時点人事担当者対象調査ー
※2 【緊急調査第2回】2021年卒採用活動プロセスの見直しの現状ー3月27~29日時点人事担当者対象調査ー
■実施を「検討中」か「わからない」が半数
2022年卒のインターンシップ実施状況について聞いたところ、以下のグラフのようになりました。
「実施する」企業は緊急調査(3月6日から8日時点)の35.7%から緊急調査第2回(3月27日から29日)には16.8%に半減してはいます。必ずしもやめると判断したわけではありません。「実施しない」の増加幅は22.9%から29.9%と7.0ポイントである一方、「検討中」と「わからない」を足した数字は41.4%から53.3%と11.9ポイント上昇しています。学生は大前提として、企業も手探り状態だという事実を知っておいてください。
その上で、緊急調査第2回で、2022年卒向けのインターンシップを「実施する」と回答した16.8%の企業を参考に、コロナウイルス禍での対応の変化をみていきましょう。
■実施企業は回数を維持も、開催は遅らせる傾向
まずは実施回数です。
「減らす」と回答した企業は8.0%とわずかでした。「同じ」が46.8%で「増やす」も16.4%でした。
ここでも検討中が過半数を占めますが、現時点において「増やす」の割合が「減らす」の割合よりも倍近く高く、近年インターンシップへ注力する割合が高まっている影響も感じられます。
続いては時期についてです。
募集開始時期は、「同じ」45.8%を軸に、「前倒す」が10.4%、「後ろ倒す」が17.9%とやや遅らせ気味の傾向に見えます。では実施時期はどうでしょうか。「前倒す」が9.0%なのに対して、「後ろ倒す」は20.4%と、募集開始時期よりも遅らせる向きが強そうです。
昨年度までの先輩たちがインターンシップに参加した時期を見ると、大学3年生の8月が最も多いと分かります(※3)。就職活動で現行のスケジュールが採用された2017年度と比べると、8月よりも早い時期に分散している傾向がありましたが、今年はこの潮流が変わるかもしれません。
繰り返しになりますが、不測の事態で状況は日々移り変わっています。本「リクれぽ」で紹介した傾向でさえ、発行時には動きがあるかもしれません。誰にも読めないからこそ、丁寧に情報収集して、変化に対応していくことが重要です。ただ、大きな視点に立てば、2022年卒の学生には、入社日から逆算してまだ2年間あります。焦らず冷静に状況を見極めながら、「働くこと」の意味や「どんな人と働きたいか」の考えを深めてみましょう。就職みらい研究所でも、市況の変化をできるだけ素早く皆さんにお伝えしてまいります。
新卒事業の現場から
公益社団法人全国求人情報協会の「学修経験時間の尊重に向けたインターンシップの取り組みについて」に関する共同声明を受けて
当社は、当社が加盟する公益社団法人全国求人情報協会が発表した「学修経験時間の尊重に向けたインターンシップの取り組みについて」の共同声明に賛同し取り組みを進めます。今後も学生の皆さま(以下、学生)に希望と納得感をもって将来を決められるよう、日々事業を推進してまいります。
賛同方針については、下記になります。
- 学生の学修経験時間を担保するため、インターンシップは学事日程に影響を与えないよう原則、「⾧期休暇」「土日祝」を中心に開催することを推進する。(※1、※2)
- 単なる企業説明会や会社見学会が大半を占めると指摘される「ワンデーインターンシップ」という表記を使用しない。
※1 「学修経験時間」とは、授業等の学修時間をはじめ留学や課外活動など、学生が多様な経験を積む時間
※2 ただし、正課の教育活動として実施しているインターンシップは除く
学業と就職活動の両立に向けて、『リクナビ』も変わります
新卒事業統括部 統括部⾧ 大家 純一
■インターンシップに参加か、授業に参加か、のどちらかではない
2017年から2019年の3年間、大学関係者の皆さまと仕事する機会が多く、「就職活動(以下、就活)のあるべきカタチ」について議論を繰り返していました。その時によく耳にしたのが、「インターンシップの広がりに伴い、それが実質の就活開始となり、学生の授業の欠席や公欠希望が目立ってきた」という大学の悲痛な叫びでした。
インターンシップは、学生が「働く」を知る機会として、非常に有効かつ有意義だと考えます。それと背中合わせで、企業様(以下、企業)にとっては学生に自社の仕事や雰囲気を知ってもらう好機となり、インターンシップの実施はやがて「当たり前」になりました。その結果、企業が限られた学生の時間を他社と奪い合う構造になり、大学の授業時間と重なる平日開催も常態化してしまっていたのです。大学生活で、学業に打ち込めるのも学生の特権です。その機会を奪っているのであれば、就活に関わる大人たちが一線を引き、学修時間を確保できる枠組みが必要と考えていました。
この問題と向き合い続けてきた結果、全国求人情報協会で共同声明を出せたことは、とても意義深いと考えています。一社単体で「学業第一」や「インターンシップ平日開催NG」などと叫び続けるのでなく、業界団体や関係団体と手を取り合って行動しなければ、現状は変えられません。
■『リクナビ』が貫く「学生が使いたくなるサービスへ」、企業側にもぜひご理解を
『リクナビ』は、就業体験を伴わないインターンシップは掲載をいたしません。十分な就業体験を伴うプログラムにのみ、「インターンシップ・1day仕事体験」という総称を適応いたします。その上で、『リクナビ』が定めた特定期間を除く平日開催の「インターンシップ・1day仕事体験」を禁止とし、『リクナビ』上に掲載する「インターンシップ・1day仕事体験」は夏季休暇や冬期休暇などの期間と、土日祝日のみの開催に限ります(※3)。さらに、学生が実際に参加した「インターンシップ・1day仕事体験」を評価できる仕組みも整えました。学生に選ばれる質の高い「インターンシップ・1day仕事体験」がより可視化され、学生がプログラムを選ぶ際の参考になるのと同時に、企業はプログラムの設計や改善の材料とすることが可能です。企業と共に、学生が納得のいく進路選択をできるよう、推進していければと考えています。
繰り返しになりますが、「インターンシップ・1day仕事体験」は学生が社会を知り、自身の将来を真剣に考える大切な機会です。しかし、学生としての時間は、就活のために過ごすのではありません。学業に留学、部活動、サークル、友人と語り合う時間、これら広義の「学び」の延⾧で、キャリアは形成されていくと信じています。『リクナビ』は学生一人ひとりが自分らしいキャリアを選択できる環境づくりの一助となるよう、これからも支援を続けてまいります。
※3 学生の学修時間を確保するため、「複数の大学の休暇情報などをもとに、『リクナビ』が定めた特定期間または土日祝日」開催分のインターンシップ・1day仕事体験・説明会・面接のみ掲載可能です。
お知らせ
内定取消や退職勧告を受けた20卒の皆さまへの相談窓口を4月20日(月)に開設
新型コロナウイルス感染症の影響は経済にも波及しています。今春から社会に出る予定だったにもかかわらず、現在も不安を感じながら就職活動を続けている方もいらっしゃると思います。『リクナビ就職エージェント』では、2020年卒の皆さまを対象に、電話による就職活動を支援する取り組みを開始いたします。
入社前の内定取消や、入社後の退職勧告に見舞われた2020 年卒の皆さまへ
新型コロナウイルス禍にある就職や雇用の情報を集約した特設コンテンツ「いま知ってほしい『働く』のこと」を4月16日(木)に開設
未だに収束の目途が立たない新型コロナウイルス感染症の影響下で、企業の採用活動も先行き不透明な状態です。その中で当社が提供できる今だからこそ役立つ情報を共有し、学生の皆さま(以下、学生)や企業が変化に対応できるよう特設コンテンツを立ち上げました。就職や新卒採用に関する情報はもちろん、転職やもっと広い「働く」に関する情報を順次、更新していきます。
「就職準備ガイダンス」をオンライン化して、大学向けにサービス提供
新型コロナウイルス感染症の影響で、従来は対面で実施していた大学内でのガイダンスは、中止や延期せざるを得ない状況にあります。この時期は多くの大学が、2022年卒の学生向けのインターンシップや就職活動準備のためのプログラムを予定していました。そこで当社では、「就職準備ガイダンス」をオンライン化して、無償で提供するサービスを開始しました。サービス内容は主に2 つ。ひとつは「リアルタイムで配信するオンライン説明会」で、もうひとつは「録画した動画でいつでもどこでも視聴できる説明会の配信」です。両方を組み合わせることも可能で、各大学のニーズに合わせて提供いたします。
『リクナビ2022』から始める「インターンシップ・1day仕事体験」に関する施策
掲載するインターンシップは、「特定期間・土日祝日のみ」の開催です
インターンシップは企業やそこで働く人たちを知り、自分がどのような仕事をしたいか考える大事な機会です。ですが、インターンシップへの参加が、学業の阻害につながるのであれば本末転倒です。当社では、「学修経験時間」の確保を最優先に考慮し、夏季休暇や冬期休暇などの特定期間や(※1)、土日祝日の「インターンシップ・1day仕事体験」のみ『リクナビ2022』上に掲載いたします。
※1 特定期間は、当社が独自に複数の大学の休暇情報などを取得し、規定をした期間になります
「1day(ワンデー)インターンシップ」の呼称を廃止します
学生の就職活動準備で、インターンシップが一般化してきた昨今、「1日開催のプログラムで、本当に就業体験を積めるのか?」という議論が繰り返されてきました。一概にその是非は決められないですが、『リクナビ2022』からは、インターンシップは2日以上のプログラムに限ります。従来の「1dayインターンシップ」は呼称を変え、すべて「1day仕事体験」と名称を変更します。名称は変わりますが、1日開催であっても、掲載規定はこれまで通り、「就業体験ができるもの」と定めます(※2)。『リクナビ2022』上での総称は、「インターンシップ・1day仕事体験」といたします。
※2 「就業体験」とは、「仕事の実際を知ることや職業観の育成等のため、企業における業務の従事、課題の解決等を体験すること」と社会の実情に照らし幅広く捉え、例えば、社員の基幹的・補助的業務の一部を経験することや、自社の課題解決に取り組む体験(ワークショップ、プロジェクト等)等をいうものとする。(「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」より抜粋(平成26年文科省、厚労省、経産省)平成27年12月10日改定)
PDF版はこちらをご覧ください。
20200424_01.pdf(1.7MB)