サンカク通信 Vol.1:今だからこそ挑戦したい「オンラインディスカッション」

『サンカク通信』は、リクルートキャリアが提供する、会社を越えて企業に参画できるサービス『サンカク』に特化した活動レポートです。『サンカク』が提供する社会人インターンシップやスポットディスカッションから見えるトレンドや副業の実態など、参加者の声と合わせてご報告。今後もタイムリーに副業・社会人インターンシップなどの情報を発信します。

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『サンカク』の社会人インターンシップとは

『サンカク』が提供する社会人インターンシップは、大手企業からベンチャー企業まで企業規模や業種に関わらず様々な企業が事業課題に関するテーマを掲げ、それらに興味を持ったユーザーがディスカッションを重ねてアイデアや解決策を提示していくサービスです。キャリアアップを目指すディスカッション参加者は、参加後に企業から副業や転職のオファーが届く可能性もあります。2020年5月時点で、登録ユーザー数は累計5.2万人、社会人インターンシップのサービスをご利用いただいた企業は延べ約280社になります。

社会人インターンシップが支持される背景として、近年では働く個人の成⾧や、より良いキャリアを実現するための副業に対する興味の高まりから、セミナーや勉強会など、社外での成⾧機会獲得へのニーズが増加していることがあげられます。また、終身雇用の概念も大きく変化しており、変化の激しい社会への対応人材を育成する専門職大学等の設立なども話題になりましたが、社会人になってもなお知識・能力を磨き続けるための「リカレント教育」の重要性も高まっています。社内外での活動においてスキルを磨くことで働く個人が成⾧していく。この姿勢こそが、ウィズコロナのニューノーマル時代を生き抜く社会に必要なのかもしれません。

『サンカク』の現場から

変わる"大人の"インターンシップ
オンラインディスカッションに「新しい成⾧モデル」の創出を

株式会社リクルートキャリア 事業推進室 古賀 敏幹

新型コロナウイルス感染症の影響により、様々なリアルイベントが延期や中止となっています。2020年4月16日に政府により全国に発令された緊急事態宣言は解除されましたが、以前のような「日常」に戻るのは難しいのが現状ではないでしょうか。

これまでリアルな場、かつ首都圏を中心に開催していた『サンカク』の社会人インターンシップも例外ではなく、2月末よりリアルでの開催は軒並み中止となりました。この環境下においても、講演やセミナーといった双方向のコミュニケーションが発生しない参加型イベントについては、オンライン開催にスムーズに移行しています。一方で、「ワークショップ」「ミートアップ」「ハッカソン」といった双方向のコミュニケーションが求められる参加型イベントについては、なかなか開催が広がっていません。何故でしょうか?

「ハードルが高い」と思われがちなオンラインでのディスカッション

『サンカク』が提供している社会人インターンシップなど、議論を交わしながら新しいアイデアを導き出す「参加型イベント」は、参加者同士の双方向のコミュニケーションが求められます。オンライン上での双方向のコミュニケーション、つまりディスカッションは、参加者が同時に発言をしたり、言葉を重ねたりすることが機能上難しいことがあるかと思います。また、相槌をうったり、表情を確認したりする非言語コミュニケーションが取りづらいことも重なり、ディスカッションのオンライン化のハードルは高いと感じられているようです。しかしながら、新たな領域に挑戦する、自己成⾧の機会を提供し続ける『サンカク』では、オンラインでのコミュニケーション領域における論文等を参考に、この時期だからこそ、オンラインでの参加型イベントの開催を実現。オンラインでも満足度の高い体験ができることが分かってきました。

新たな生活様式を取り入れながらも「自己成⾧の場」を諦めない

3月末日に実施されたオンラインディスカッションには、ご応募いただいた80名近くの方の中から19名の方が参加。IT業界、製造業、不動産・金融業、製薬業界、広告業界...など幅広い業界の知見が集まりました。テーマは「企業の事業変革期において、どんな組織づくり、人材育成を行うべきか」。13時~17時というオンラインでの開催としては異例の⾧さでしたが、集中が途切れることなく活発な議論が交わされました。

オンラインディスカッションにおいて一番重要な工程は、事前のファシリテーション設計です。活発な議論を誘発できるよう、この日は「意見が対立」するような仕掛けを施し挑みました。結果、リアルイベント開催時の満足度は5段階評価で平均して4.3ですが、今回は4.4と、オフラインでの開催と同様満足度も高く、「今後もオンライン開催での社会人インターンシップに参加したいと強く思う」と答えた方は58.3%と半数を超える結果に(※1)。企業からも、「オンラインであり、かつ初対面ということで参加者としっかりとコミュニケーションが取れるのか不安だったが申し分なくできて楽しかった」「ワークシートがあったため一人ひとりの考え方が分かった」など、オンラインでの開催に対し高評価をいただきました。参加者からは、オンラインだからこそ「議論に冷静に向き合える」という意見や、「場所と時間にとらわれずディスカッションできるのがいい」という声が寄せられました。

オンラインディスカッションの課題は「コミュニケーションの活性化」

満足度が高い一方で、課題も見えてきています。それは、参加者同士のコミュニケーションの活性化です。非言語コミュニケーションがない分、受け身になってしまう瞬間があるとの声も。自分自身の表現ができなかったり(25%)、自分の居場所を感じることができなかったり(16.7%)という不安の声は出ています(※1)。ディスカッション中、ビデオ画面はONにしてお互いの表情は確認できる状態にしたり、音声に加え、チャットやオンライン上で利用者が同時に編集することができるWebアプリケーションツールなどを活用したりするなど工夫をしていますが、まだまだ検討は必要です。今後も実践を繰り返しながらより良いディスカッションの方向へブラッシュアップしていきます。

冒頭でお伝えした通り、以前のようなリアルイベントの開催は難しいと思います。「新しい生活様式」がスタンダードになっていくこの環境下だからこそ、オンラインディスカッションの経験を重ね、オンラインでの参加型イベントを「日常化」していきたいと思います。そうすることで、新型コロナウイルス禍における対策という側面だけでなく、これまで参加が難しかった地方の方々や、海外からの参加もできるようになるなど、より多くの方の自己成⾧の機会が広がっていくことでしょう。

参加者の声(実施後のアンケートより抜粋)

  • 「一定距離があることで、議論に冷静に向き合える。オフラインで会いたいという気持ちが高まりました。」
    (人事育成業界 20代男性)
  • 「ひとりひとりの話が聞きやすかった。」
    (IT系代理店営業 30代男性)
  • 「物理的な距離という障壁は突破できるので、地方の人なども今後格差なくこういったイベントに参加できるようになるのでは?と思えた。」
    (デジタルマーケティングプランナー 20代女性)
  • 「オンラインディスカッションだと、住まいや時間の制限を受けにくいため、より多様な方々と交流することができ、刺激の幅が広がると感じました。」
    (不動産・金融業界 30代男性)
  • 「実際に集まるよりも全員が等しく発言していた気がしました。」
    (製薬業界営業 30代女性)
  • 「このような状況下でも場所と時間関わりなくディスカッションできるのが良い。」
    (IT業界営業 30代男性)

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3月29日開催のオンライン社会人インターンシップの様子

※1|3月29日開催のイベントにおける参加者への簡易アンケート調査(リクルートキャリア社外広報)

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