リクれぽ Vol.10:2022年卒の就職活動スタート 市況と進め方を理解する
『リクれぽ』は、リクルートキャリアの新卒領域に特化した活動レポートです。学生の皆さま(以下、学生)の意見や、就職活動での悩みなど「声」を明らかにしながら、当社サービスの実態をご報告。今後のお知らせも発信してまいります。
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『声』を聞く
3月1日を迎え、今年も本格的な就職活動シーズンが到来しました。2022年卒の学生たちも、新型コロナウイルス感染症の影響が引き続き残る中で、就職活動に臨むことになります。学生から寄せられた声に耳を傾けると、何かつかみどころのないような不安に駆られる様子がうかがえます。
学生の声: 経験したことのない環境での就職活動に不安
- 戦後最大の就職氷河期と言われているため、希望する企業に入社できるか不安。
- どのくらいの学生を取ってくれるのか不安。コロナの影響もあり、内定取り消しになった話や、内定率が減った話も聞くので不安になる。
- 完全Webでの開催のため、戸惑っている(周りの状況がわかりにくい、手ごたえが感じられないなど)。 一方で就活に伴う移動が少ないのは楽だし、様々な企業の情報を広く集めやすく感じる。
- コロナ禍により、昨年と比べてどの程度採用人数が減るのかわからず、そのような状況の中で内定をいただくことができる企業があるのか不安に感じています。
- 対面のインターン・説明会は一回しか行ったことがありません。また、オンライン授業により大学で友達と会う機会が減ったので相談や情報収集がしにくかったと感じています。
- 対面でのインターンシップや説明会があまりないため、企業の雰囲気を肌で感じることができないのは、企業選びを難しくしていると感じます。
就職活動・新卒採用の現場から
【データで解説】 22年卒も企業の採用意欲は変わらず 学生は冷静な行動を
新型コロナウイルス禍での就職活動は、どうしてもネガティブな憶測を呼びます。本リクれぽの「学生の声」にもありますが、企業が新卒採用を一斉に抑制する「就職氷河期」がやってくるのではないかと不安に思う学生がいるようです。他には、就職活動の方法やスケジュールについて心配する声も聞かれます。しかし、学生には正しく状況を理解し、冷静に就職活動に臨んでほしいと考えています。そこで今回はデータを使って、同じように新型コロナウイルス禍で進められた21年卒の就職活動を振り返り、22年卒の展望についても解説します。
リクルートキャリア 就職みらい研究所 所長 増本 全
21年卒の進路確定率や就職先への納得度は、例年とほぼ同水準
21年卒の先輩たちを採用した企業の採用活動を見ると、20年卒と比べ、「採用充足した」と答えた企業は、増えているのです。コロナ禍以前の採用できない状況から変化が起きています。その一因として、例年と比べて、学生たちがより積極的に活動していたこともあげられます。21年卒の学生側の活動を見ると、「プレエントリー(採用情報・資料の請求、企業への個人情報提供)をする」「エントリーシートなどの書類を提出する」「適性検査・筆記試験を受ける」などが20年卒と比べて増えています。このデータから、先輩たちが新型コロナウイルス禍で例年に増して入念に準備し、就職活動に臨んでいた事実が浮かび上がります。
こうした企業と学生の動きを受けて、結果的に学生の進路確定率は例年とほぼ変わらず、80.0%(前年-0.9ポイント)となり、確定就職先への納得度も77.8%と昨年とほぼ変わりませんでした。
21年卒の就職活動/採用活動のポイント
- 企業は21年卒採用では採用充足したと捉えている
- 学生は例年よりも活発に活動した
- 就職が決まった学生は例年並み
22年卒も企業の採用意欲は変わらない 学生は活動量と早めの準備がカギ
22年卒の企業の採用予定数は24.8人で、21年卒の24.7人と同水準で全体としては大きな変化はないと見て取れます。ただし、個別の業界や企業では採用意欲にバラつきがあるので注意が必要です。また、もう一つのポイントは選考プロセスのスケジュール感です。22年卒の新卒採用も引き続き、3月1日に採用広報が、6月1日に面接が開始される全体スケジュールは変わりません。しかし企業に聞くと、一部の企業では、面接や内定出しなどのピークが21年卒よりも早まる傾向がありそうです。これは採用活動のWeb化が定着したことに起因します。企業は対面での選考ができなくても、採用活動を止めなくてすむのです。2021年2月時点の内定率を見ても、新型コロナウイルス感染症の影響が出る前の21年卒と同水準の9.9%でした。Web上での就職活動も、「Web上での面接を受けた」「個別企業の説明会・セミナーのうち、Web上で開催されるものに参加した」などが大きく伸びています。
ここまで21年卒の学生と企業の活動を振り返り、22年卒向けに企業の採用活動を展望しました。新型コロナウイルス禍でも、「就職氷河期」のような就職難に陥る可能性は極めて低いですので、過度に心配する必要ありません。Webを多用するなど、企業の選考方法は例年と異なる場合も多いでしょうが、採用意欲や選考の基準などは例年と変わらないと認識しておいてください。
その上で22年卒の学生は、21年卒の先輩たちを見習って「企業の情報収集」などの活動量を増やす意識を持ってみてください。結果的に、自分に合った一社に出会う確率が上がるはずです。そして、企業によっては選考プロセスを早める可能性もありますので、こまめな情報収集を心掛けてください。
22年卒の就職活動/採用活動のポイント
- 企業の採用数を21年卒と大きく変わらない
- 企業によっては、昨年と比べて採用スケジュールが前倒しになる場合も
- 学生は、企業の情報収集を増やし、早めの準備を
就職活動・新卒採用の現場から
就職活動が本格化する「今」できる準備とは
就職活動が本格的に始まりました。今年は新型コロナウイルス感染症の影響もありますが、過度に不安になる必要はありません。まずは情報を集め、準備を一つずつ進めていきましょう。『リクナビ』編集長の長谷川晃一より、具体的にご紹介いたします。
『リクナビ』編集長 長谷川 晃一
「就職活動の準備が十分か不安です」「これまで準備を全くしてない。どうすればいいか?」私は、しばしばこのような質問を学生から受けます。その時に、私は迷わず「大学のキャリアセンター(※1)を訪ねてみてください」と回答しています。キャリアセンターには、就職支援の経験と知識が豊富な職員・スタッフが集まっています。そのため学生は、友人や先輩とは違った観点でアドバイスをもらえますし、各大学に集まる求人も紹介してもらえる場合も多いです。また、エントリーシートの添削や模擬面接のなどのサポートプログラムを用意されている大学もあります。新型コロナウイルス感染症の影響で、以前のようにキャンパスに行く機会は減っていると思います。そうなれば、キャリアセンターへの足取りも重くなりそうですが、最近は電話やオンラインで相談できる大学も多く見かけます。各大学のホームページ等で確認の上、まずは早めに相談してみてはいかがでしょうか?
※1:大学によっては呼称が異なる場合があります。
さてここからは、自宅でも進められる準備について解説します。大きくは「企業発見」「企業接点」「自己分析・選考準備」「身の回りの準備」の4つがポイントです。
POINT①「企業発見」
何をやりたいか分からなければ、どんな働き方をしたいか考えてみよう
学生の中には、すでに志望する企業や職種を決めている人もいるでしょう。必ずしも決めないといけないわけではありませんが、多数の企業の中から選ぶ上では、どう絞り込むか?が定まっていた方がスムーズですし、入社後にその選択に対して後悔するリスクも抑えられるでしょう。「Do(何をやりたいか)」よりも、「Be(どうありたいか、どうなりたいか)」から考え始めてみることをお勧めしています。中には、やりたいことが思い浮かばない方もいらっしゃると思います。その場合は、例えば10年後の自分に会えるとしたら、どんな大人になっていてほしいでしょうか。思い描いた像が「Be」であり、企業・職業選びはそこに近づくための「Do」の一つなのです。就職情報サイトでの企業探しでも「Be」にこだわった検索が可能です。例えば『リクナビ2022』では、「平均残業時間」や「育休取得率」、「新卒採用者の定着率」など、入社後の働き方や制度で検索する機能があります。具体的に興味のある業界や職種は決まっていなくても、社会に出てどんな働き方をしていたいかは何となく思いつくはずです。「残業は少なく自分の時間を確保していたい」「一つの企業にずっと勤めているイメージはない」など、何でもよいのです。フリーワードで検索する機能もありますので、思いつく条件を入力してみて、合致する企業を選ぶのも一つのやり方でしょう。このやり方は、合同企業説明会やWebセミナーなどに参加して企業を探す場合でも、同じように「軸」として機能するはずです。
POINT②「企業接点」
気になる企業には幅広くプレエントリーして情報をリアルタイムに把握しよう
興味のある企業が見つかったら、まずは幅広く「プレエントリー」してみることをお勧めします。プレエントリーは『リクナビ』上の言葉で、就職情報サイトによってはエントリーなど別の用語が使われる場合もありますが、つまりは「御社に興味がありますという意思表示」を指します。就職情報サイトに限らず、企業のサイトから直接、応募する場合も同様です。プレエントリーすると、その企業から説明会日程などのスケジュールや選考情報が送られてきますので、企業と接点を持つ第一歩を踏み出せるでしょう。一点、注意事項があるとすれば、新型コロナウイルス感染症は、未だに収束のめどが立っていませんので、選考のスケジュールや方法が変わる可能性もあります。企業から通知があるはずですが、気になる企業の採用サイトは自ら定期的に確認し、最新の選考情報を得るよう心掛けましょう。
POINT③「自己分析・選考準備」
「ガクチカ」に悩んだら、身近な経験で行動に至ったプロセスを分解してみよう
いよいよ選考段階になると、エントリーシートを提出して面接に臨みます。それに向けて、エントリーシートを作成し、面接の準備に取りかかるわけですが、例年、学生の頭を悩ますのが「学生時代にがんばったこと」、いわゆる「ガクチカ」です。その理由をひも解くと、多くの学生が、何か特別な経験やスキルを語れなければならないと考えているためです。でも安心してください。留学経験や資格などがなくても、十分にエピソードは磨けます。
例えば、自分が大学に受かるために努力した体験をネタにした学生がいました。「なぜ受かりたいと思ったのか」「どのような方法で取り組み」「どのような困難をどう克服したのか」など、行動に至ったプロセスを分解し、言語化することで、自分が何をモチベーションにどうがんばれる人かを証明したのです。こうした身近な何気ない経験で十分なのです。大事なのは、すごいエピソードを書くことではなく、一つのエピソードから皆さんの特徴を抽出し、伝えることです。どういうシーンにおいて、その状況をどう捉え、それに対してどうしたいと考えたのか?そして、どういう行動や工夫をしたのかを伝えてほしいと思います。
POINT④「身の回りの準備」
かかる費用やオンラインツールなど、何に準備が必要なのかを把握しておこう
最後に「身の回りの準備」についてです。2020年9月に就職みらい研究所が実施した「就職プロセス調査」で、21年卒の学生に就職活動全体にかかった平均金額を聞きました。すると、2020年卒と比較して平均金額が4万円ほど減少していました。選考のオンライン化が急速に進んだことで交通費を中心に、学生の負担が軽減したことが要因だと推察しています。新型コロナウイルス禍で、今年もオンラインでの選考の機会に多く遭遇すると予想されます。状況としては、2021年卒と同様に負担は軽くなる結果になりそうですが、どの程度の費用を見込むべきなのか、その費用の準備をどうするのかなどを、検討してみてもよいかもしれません。
またオンラインでの選考を見据えて、できるだけストレスなくコミュニケーションを図るために、イヤホンなど必要な備品を可能な範囲でそろえるのもよいでしょう。他にも、就職活動で使う服装の準備もやれることの一つかもしれません。
3月に入って企業の動きは慌ただしくなり、就職活動に臨む学生の皆さんも忙しくなってくると思います。新型コロナウイルス禍でもありますので、健康に気をつけながら、納得できる就職活動をしてもらいたいと思います。
『リクナビ』に関わる全員で、皆さんの就職活動を心より応援しています。
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