若手の中途採用・転職意識の動向 【企業】社会人経験1年未満者の採用企業は約8割 【20代転職者】ライフフィット×成⾧機会を求める傾向
株式会社リクルートキャリア(本社:東京都千代田区、代表取締役社⾧:小林 大三)は、転職市場の動向データをまとめましたのでご報告いたします。中途採用を実施する企業の人事担当者・転職経験者へアンケート調査を行い、人事担当者732人、転職経験者(直近1年以内)1056人から回答を得ました。このたび若手の中途採用と転職者の状況について考察いたしましたので、結果をご報告いたします。
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本リリースのサマリー
- 企業の動向
- 量の変化
20代の中途採用の伸び、過去5年で2倍超え -
質の変化
社会人経験1年未満者の採用実績がある企業は約8割
第二新卒の定義自体も広がり、「30歳まで」と回答した企業は21.3%に上る
- 量の変化
- 若手転職者の動向
- 20代の転職理由は「精神的なゆとりを求めて」が最多
-
20代の仕事をする上での重視項目は「プライベートの時間を十分に確保できること」
20代の転職先への入社の決め手で最も重視したことは「やりたい仕事ができる」
- HR統括編集⾧ 藤井 薫による解説
- 企業は、在籍年数や経験年数等、従来の個人を見極めるための基準を見直し始める兆しがある
- 若手個人はライフ重視傾向かつ、成⾧を求める傾向。企業の採用戦略が試される
1. 企業の動向
- 量の変化:20代の中途採用の伸び 過去5年で2.43倍になっている
『リクルートエージェント』の転職決定者数の推移をみると、2009年度~2013年度の転職決定者平均人数を1としたときに、20代の転職は2.43倍へ増加している。特に、20代前半の増加率は著しく、3.82倍にも上る(図1)。
- 質の変化:社会人1年未満経験者の採用、約8割の企業は採用実績がある。
20代前半かつ社会人経験1年未満の採用実績がある企業は78.1%にも上ることが分かった(図2)。 - 質の変化:第二新卒を「30歳まで」と定義をしている企業は21.3%に上る
これまで第二新卒とは、概ね社会人経験3年以内を指す意味で言われることが一般的だった。人事担当者向けに行った「『第二新卒』についてご自身の会社で何歳までと定義されていますか」という質問に対して、「25歳まで」23.4%に次いで、「30歳まで」と回答した企業が21.3%に上った(図3)。
2. 若手転職者の志向
- 20 代の転職理由は「精神的なゆとりを求めて」が最多
20 代の転職理由(複数回答)の傾向をみると、「精神的なゆとりを求めて」が35.0%で最多となった。20 代と全年代との比較をすると、「精神的なゆとりを求めて」が8.7ポイント高く、「上司と合わなかったから」が6.3ポイント、「働き方が合わなかったから」が7.0ポイント、「社風や会社の雰囲気が自分に合わなかったから」が6.1ポイント高くなっている。
- 20代の仕事をする上で重視することは、「プライベートの時間を十分に確保できる」こと
20代の仕事をする上で重視すること(上位3つ回答)は、「プライベートの時間を十分に確保できる」が39.4%で重視されている結果となった。全年代と比較しても10.7ポイント高い。
- 20代の転職先への入社の決め手で最も重視したことは「やりたい仕事ができる」
転職先への入社の決め手で最も重視したことは「やりたい仕事ができる」が21.1%で最多であった。次いで「勤務地・勤務時間など勤務条件がよい」17.9%、「給与・福利厚生など待遇が良い」17.1%という結果であったが、それぞれ全年代を下回っていた。
3. 解説:HR統括編集⾧ 藤井 薫
「20代・社会人経験1年未満の積極採用」「30歳まで第二新卒扱いとして採用」。企業の採用動向からは、若手をめぐる中途採用戦略の質的な転換が見えてきました。もはや「新卒入社後3年以内に辞める若手を企業は忍耐力が低いと敬遠する」「新卒はポテンシャル重視、中途は専門性重視」という通説はなくなっていると言えるでしょう。人材獲得競争の激化、事業変革の加速。そうした背景の中で、企業は、「前職の在籍年数、経験年数」といった従来の個人を見極めるための基準を見直しているのです。
一方で働く個人側、20代の転職意識からも、質的な転換が見えてきました。転職理由は「精神的なゆとりを求めて」、仕事をする上での重視項目は「プライベート時間の確保」。転職の決め手は「やりたい仕事ができる」。こうした若手のライフフィット志向かつ仕事への成⾧意欲の深層心理には、仕事の進め方や、生活のリズムへの裁量権の希求があります。
「企業寿命と職業寿命の逆転」は、働く個人に「終身雇用」より「終身成⾧」への欲求を駆り立てます。その成⾧機会を担保する、仕事や人生の裁量権を、若手は痛切に求めているのではないでしょうか?在籍年数や経験年数といった採用基準の再定義を行い、かつ階層的年功的な風土を脱却し、若手に権限移譲や自主選択の機会を提供できるか?ライフフィット環境と終身成⾧機会を提供できるか?企業は、人生100年の時代を生きるライフオーナーシップの高い若手に、その採用戦略と組織風土を試されています。
調査概要
- 実施期間
2019年9月25日~9月27日 - 調査対象
人事担当者、直近1年以内に転職した方 - 回答数
人事担当者732名 直近1年以内の転職経験者1056名 - 調査方式
インターネット調査
調査結果の注意点
%を表示する際に小数点第2位で四捨五入しているため、単一回答の合計値が100%に一致しない場合があります。差分の算出には小数点第2位を四捨五入する以前の数値を用いており、表示されている%で差分を算出した際と数値が一致しない場合があります。
また、文中と図4~図6の「全年代」とは20代を含む全体を表します。
データ集
図4の選択肢一覧
図5の選択肢一覧
図6の選択肢一覧
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