共生社会の実現を目指す『パラリング』では、学校向けに、障がい者への理解が深まる教材を無償でご提供しています。
障がいの有無に関わらず、誰もが活躍できる社会の実現を目指す『パラリング』では、障がい者への理解が深まる教材を制作し、全国の学校に無償で提供しています。2023年6月現在、全国70校を超える学校に教材を提供しました。
一人ひとりの状態にあわせた合理的な配慮がある体制づくり
2023年4月、佐賀県立小城高等学校にて『パラリング』の教材『障がいの社会モデルを学ぼう!』を取り入れた授業を実施いただきました。全学年の生徒と全教職員、600名ほどが参加され、各教室をオンラインでつなぎ、グループ討議なども取り入れながら能動的な学びを実現されたとのこと。本レポートでは授業を発案され、指導にも当たられた吉永先生にインタビューをさせていただきました。
小城高等学校では、共生社会に向けて、一人ひとりの状態や状況に合わせた合理的な配慮がなされる体制づくりに取り組まれてきたそうです。例えば生徒たちは基本的に学校内では階段を使います。ただし、体の状態によっては、エレベーターを使うことが認められていて、エレベーターを使う生徒のことを周囲の生徒が自然と受け入れられる。そうした体制づくりです。しかし、配慮を受ける当事者にとっては、周囲から特別な目で見られる経験もあり、周囲の理解や共感が追いついていないという課題があったといいます。
吉永先生は「当校の生徒たちは、優しくて。例えば登下校で自転車を使う際、歩いて通っている近隣の小学生と時間帯が重なるときは、事故を避けて自転車を押して歩くルールを自分たちで提言するほどなんです。正しく理解さえできれば、共生社会につながる行動も進んで起こし、周囲に良い影響を広げてくれる確信があります。それができていないのは、指導する側の責任。そうした思いから九州大学と3年間の連携協定を締結し、一緒に共生社会について学ぶ機会をつくることにチャレンジしています」と話してくださいました。
そうした中で『パラリング』の教材をご活用いただいたきっかけや、教材に期待したことを伺うと「大学との取り組みを推進するに当たり、共生社会に関する学びの導入に使える教材を探していました。最初は外部講師によるセミナーなども検討したのですが、いろいろと調べる中で『パラリング』の教材と出会ったんです。内容がとても分かりやすく、学びを深めていく素地づくりに最適だと感じました。取り寄せてみると思っていた以上に使いやすく、視聴という受動的な授業にとどまらず、グループ討議を取り入れた能動的な学びを設計することができました」と話してくださいました。
先生の理解が深まり、自信を持って指導できる状態に
実際に活用いただき、吉永先生にとって印象的だったことを伺うと「生徒以上に教職員が学べた実感があります。これまで頭では理解しているけれど、どう指導に反映してよいか分からないという声があったのですが、きちんと理解できたことで自信を持って指導に当たれるとの声が上がっています」と吉永先生。特に障がいは個人ではなく、社会や環境の在り方、仕組みが生み出しているという考え方である『障がいの社会モデル』に触れたのは初めてで、大きな気づきだったといいます。生徒たちも同様だったようで「自分にとっての当たり前が、誰かにとっての壁になっている可能性に気づくことができた」といった声や、「障がいは個人が抱えているものではなく、社会の構造的な課題。違いを超えて一緒に生きていく環境や制度はつくれるはず」という声が上がっているとのこと。指導する側と受ける側の間で共通認識ができたことで、共生社会に向けた理解の素地をつくるという試みは大成功だったようです。
共生社会についてもっと学びたい!主体的に広がる学びの輪
授業を実施後には、共生社会への理解につながる授業をもっと実施して欲しいという声が生徒たちからあがったそうです。それに対し吉永先生は「共生社会についての学びは、高校で谷間ができている印象があります。小・中学校では力を入れていて、大学でも専門的な知識も含めて学ぶ機会が用意されていますが、進路指導やキャリア教育に意識が向きがちな高校は谷間となりやすい。そうした中、生徒自身が共生社会について学びたいという声をあげてくれたことが嬉しいです。本当に良い機会となりました」と話してくださいました。
最後に、吉永先生に『パラリング』をはじめ民間企業ができるサポートについてご意向を伺うと「これからは本人も含めて理解が難しく、配慮が行き届いていない発達障がいや精神障がいなどについてもケアしていきたい。理解が深まる良い教材との出会いを期待しています」とおっしゃってくださいました。
子どもたちに、障がいについて考えるきっかけを提供できればという想いから、学校の授業で活用いただける、障がい者理解を目的とした教材を製作し、無償提供しています。
教材の提供については、下記ご案内よりご確認ください。
『考え方を変える=パラダイムシフト』で『つながりの輪を広げる』パラリングは、これからも障がい者理解のための プログラムを通して誰もが自分らしく生きる社会づくりに貢献します。
<お問い合わせ先>
パラリング事務局よりご連絡させていただきます。
パラリングとは?
「パラリング」とは「パラダイムシフト(考え方の変化)」と「リング(輪)」の造語で、障がい者理解を広めていくリクルートの活動です。リクルートは障がいの有無に関わらずそれぞれが活躍できる社会の実現を目指して活動をしています。