婚活サービス利用者は、恋人への満足度が高い?「婚活実態調査2024」をリクルートブライダル総研が解説

婚活サービス利用者は、恋人への満足度が高い?「婚活実態調査2024」をリクルートブライダル総研が解説

リクルートの調査研究機関『リクルートブライダル総研』は2016年から、婚活における実態と動向について調査する「婚活実態調査」の結果を発表しています。本調査の背景にある思いや2024年度の婚活におけるトレンドについて、リクルートブライダル総研 研究員の熊谷拓也に聞きました。

婚活サービス利用者の約2人に1人が結婚? 最新調査から見える兆し

― リクルートは2016年から「婚活実態調査」の結果を発表していると聞きました。こちらはどのような調査でしょうか。

熊谷:「婚活実態調査」とは、婚活における実態と動向を把握した上で、ポジティブな兆しや可能性について発信し、マーケット活性化を目指すものです。調査を通じて婚活の構造、現状の課題を整理し、事業者・自治体・行政の方々に対する提言やコンテンツ提供へとつなげています。

― 今年も調査が発表されましたが、2024年発表版で見えてきたことはあるのでしょうか。

熊谷:まずは婚活サービスを通じて結婚した人の割合が長期的に伸長しているという点ですね。2023年婚姻者のうち婚活サービスを利用していた人は32.3%。婚活サービス利用者のうち婚活サービスを通じて結婚した人の割合は47.4%となっています。つまり、婚活サービスを利用していた人の約2人に1人が結婚に至っていたんです。婚活サービスには「周囲の人が利用していると自分も使ってみようと思う」と安心感が波及していく特徴があるため、今後も需要は高まっていくことが見込まれます。

※結婚相談所、ネット系婚活サービス(恋活・婚活サイト・アプリ)、婚活パーティー・イベント

「婚活実態調査2024」より婚活サービス利用者のうち婚活サービスを通じて結婚した人の割合
「婚活実態調査2024」より婚活サービス利用者のうち婚活サービスを通じて結婚した人の割合

― 確かに、身の回りにも婚活サービスの利用者が増えた気がします。この背景には、何か理由があるのでしょうか。

熊谷:ふたつの理由があると捉えています。ひとつめは、「今の人間関係への配慮」です。今の20代以下を中心とする若い世代は周囲の人の目を気にする傾向があると言われており、「もし別れたら、周りに気をつかわせてしまうのではないか」などと心配することがあります。婚活サービスで出会う方は、基本的に自身の所属する職場やサークルから外れており、日常の人間関係に影響を与えないため、一歩踏み出す安心感があるのではないでしょうか。

リクルート ブライダル総研 熊谷拓也
リクルート ブライダル総研 熊谷拓也

熊谷:ふたつめは「合理性」です。婚活サービスのユーザーには、結婚するために出会うという明確な目的があります。お互いが相手に求める条件を意識しながら、恋人としての相性の良さを判断するため、条件をすり合わせる期間も短く済むでしょう。また、スマホの普及に伴い、場所・時間を問わずアプリやサイトを閲覧できる点も、サービスの利用に拍車をかけています。

― いつでも・どこでも利用できるネット系婚活サービスは、多様なライフスタイルとの相性も良さそうですね。

熊谷:ネット系婚活サービスを通じて結婚した人の割合は11.4%と過去最高で、20・30代を中心に需要が高まっています。一度に多数の人とコミュニケーションを取れる点も、時間の有効活用という観点で支持されていますね。一方で、結婚相談所には独身証明書が提出必須となっている安心感があったり、婚活パーティーにはリアルで多くの人と会うことでコミュニケーションスキルを上げられるなど、婚活サービスにはそれぞれに特徴・強みがあるんです。

「婚活実態調査2024」より「結婚相談所/ネット系婚活サービス/婚活パーティー・イベントなどの各婚活サービスを通じて結婚した人の割合」
「婚活実態調査2024」より「結婚相談所/ネット系婚活サービス/婚活パーティー・イベントなどの各婚活サービスを通じて結婚した人の割合」

― ほかに調査から分かったことはありますか?

熊谷:婚活サービスを利用して恋人ができた方は「現在の恋人との関係に対する満足度」が、婚活サービス以外での出会いに比べて高い傾向にあります。恋人を探す過程で相談員にヒアリングされたり、アプリ上の質問に回答することで、相手に求める条件や大切にしたい価値観から、理想の住まいやキャリアプランといったライフデザインに関わる内容までがクリアに。自己理解が深まった上で恋人になっているので、一定の条件を互いに満たした人同士がマッチングしていると考えられます。

「自分の選択に納得できる社会」を目指して

― ブライダル総研では「結婚総合意識調査」「ゼクシィ結婚トレンド調査」など結婚に関するさまざまな調査を実施していますが、なぜ結婚前の「婚活」の段階でも調査を行うのでしょうか。

熊谷:情報を点ではなく線で捉えて社会の構造を整理し、早期の課題発掘・新たな価値提供の可能性を探るためです。現状への打ち手を考えることも重要ですが、これから結婚に臨む方々の価値観を一足先に捉えることで「将来の結婚観はこのようになる見込みである。だから今から○○を提供しておけば、これから結婚しようと思っている人々がより幸せになれるだろう」と事業者・自治体に提案することができます。

リクルート ブライダル総研 熊谷拓也

熊谷:「結婚」にも法律婚だけではなく事実婚、同性婚など多様なパートナーシップの形がありますし、結婚する/しないも多様。昭和、平成、令和と時代が移り変わるにつれて価値観の多様化は加速していますが、そのなかでブライダル総研が大切にしているのは、全ての方が人生において自分自身の選択に納得できること。

例えば、若年層に自律的な人生設計のきっかけを提供する「ライフデザイン講座」を10年以上前から開催していますが、これも未来の「生き方」を支えていくための一環です。今までは専門学校・大学の学生さんに場を提供していましたが、現在は行政・自治体と連携しながら中高生や社会人の方にも講座を提供しています。

― そんな活動もしているんですね。

熊谷:誰かとふたりで生きる。ひとりで生きる。たくさんの人と生きる。現代社会には数えきれない生き方の選択肢があるからこそ、時に人は不安になると思います。だから私たちは、正しい情報や機会の提供を通じて、“結婚”というカテゴリーにとどまらず、個人のウェルビーイングに寄り添えるようになっていきたいです。

登壇者プロフィール

※プロフィールは取材当時のものです

熊谷拓也(くまがい・たくや)
株式会社リクルート Division統括本部 マリッジ&ファミリーDivision 営業推進部 マリッジ&ファミリー総研グループ

大手酒類メーカーの広報を経て2016年に入社。ゼクシィ営業職では全国大手法人や地場会場のマーケティング支援、社内横断プロジェクトの推進などに従事し、2022年より現職。未婚者の専門家として「婚活実態調査」「恋愛・結婚調査」などを中心とした調査研究を行っており、日々マーケット活性のための提言などを実施。GOOD WEDDING AWARDの運営責任者として企画の全体設計や各社主催のAWARDにおける審査員などを担当する

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