2024.12.20しごと
ワークス採用見通し調査(新卒:2026年卒)新卒採用の増勢はやや鈍化も、2026年卒も高い採用意欲
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しごと
株式会社リクルート
株式会社リクルート(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:北村 吉弘、以下リクルート)は、転職支援サービス『リクルートエージェント』の転職決定者分析(2009年度~2020年度)を行い、転職市場の動向をまとめました。以下、結果の概要をご報告いたします。
2009年度~2020年度の転職決定者分析から、中途採用市場は「異業種×異職種」への転職が年々増加している様子がわかります。2009年度の時点では、「異業種×異職種」の転職は、「異業種×同職種(37.2%)」「同業種×同職種(27.9%)」に次ぐ24.2%でしたが、2020年度では36.1%となり、他の3つの転職パターンを上回っています。
具体的には、2016年度から2017年度にかけて、「異業種×異職種」の割合が「異業種×同職種」の割合を上回り、現在の構造に変化したことがわかります。「異業種×異職種」の割合が年々増加する一方で、「同業種×同職種」の割合は減少の一途をたどっています。「同業種×同職種」は、2009年度は27.9%でしたが2020年度は19.6%まで減少しました。
グラフは2020年度の年代別の状況を示しています。全体で最も割合が大きかった「異業種×異職種」は、20~24歳で52.0%と特に割合が大きく、年代が上がるにつれて割合は減少しています。一方で、「異業種×同職種」および「同業種×同職種」は20~24歳で最も割合が小さく、年代が上がるにつれてこれらのパターンの割合が増える傾向がみられます。
20代を中心とした若手では「異業種×異職種」への転職が顕著で、年代が上がるにつれて職種の経験やスキルを軸にした「異業種×同職種」や「同業種×同職種」への転職がメインとなっています。ただし、「異業種×異職種」の転職パターンの増加は30代以上でも起きており、今後20代と同様に、より一般的な転職パターンとなる可能性を示唆しています(p.5参考情報参照)。
経験職種別に「異業種×異職種」の2020年度の状況をみると、「接客・販売・店長・コールセンター」が特に高い割合を示しています(65.4%)。また、「マーケティング(49.7%)」、「オフィスワーク事務職(46.8%)」、「経営企画・事業企画・業務企画(43.4%)」もそれぞれ約半数近くが「異業種×異職種」への転職であることがわかります。一方で「機械エンジニア」「電気エンジニア」「建設エンジニア」「SE」「インターネット専門職」といった技術系職種は、比較的「同業種×同職種」の割合が高く、それぞれ30%前後が「同業種×同職種」への転職であることを示しています。
ここ10年間の『リクルートエージェント』の転職決定者分析、業種・職種の越境転職状況。そこで見えてきたのは、中途採用市場の構造的な変化です。特に注目したいのは、以下の三点です。
こうした越境転職が主流となってきた中途採用市場。そこには二つの背景があります。一つには、すべての産業・企業がビジネスの在り方を変革するIX、CX(*)の動きがあります。すべての産業が、自らの業種や職種を再定義する時代。それに呼応して、異業種・異職種の異能人材を積極的に中途採用しているのです。
もう一つの背景は、働く個人の意識の変化です。人生100年時代を生きる働き手は、企業寿命と個人寿命の逆転で、終身雇用より終身成長を望み出しています。これまでの業種や職種経験にとらわれず、自らの成長機会を提供してくれる成長産業や成長企業に越境し出しているのです。
いまや「同業種×同職種」転職は、市場全体のわずか2割です。今後、企業は、即戦力人材の定義を見つめ直すと同時に、業種経験・職種経験の有無に依存していた採用時の人材評価も、より細かい粒度の適応スキルやポータブルスキルの評価へと再定義を余儀なくされるでしょう。
個人も、前職の業種・職種にとらわれず、異なる世界に出会いの機会を求めて越境する。そのためにも、自らのスキルの棚卸しをし、ポータブルスキルを整理する。
中途採用市場の構造変化の時代こそ、新たなキャリア戦略、採用戦略が求められています。
*IX=インダストリアル・トランスフォーメーション (産業変容)
*CX=コーポレート・トランスフォーメーション (企業の根幹からの変革)
藤井 薫(ふじい・かおる)
株式会社リクルートHR*統括編集長
プロフィール(略歴) 1988年、リクルート(現 株式会社リクルートホールディングス)に入社。以来、人と組織、テクノロジーと事業、今と未来の編集に従事。『B-ing』、『TECH B-ing』、『Digital B-ing(現『リクナビNEXT』)』、『Works』、『Tech総研』の編集、商品企画を担当。TECH B-ing編集長、Tech総研編集長、アントレ編集長・ゼネラルマネジャーを歴任。 2016年、リクナビNEXT編集長に就任(現職)、2019年にはHR統括編集長を兼任(現職)。
*HR=Human Resources(人的資源・人材)
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