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個人のキャリアに関する日米比較 ミドル世代の状況とキャリア自律の効果

株式会社リクルート

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株式会社リクルート(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:北村 吉弘、以下リクルート)は、日本の労働市場の課題を明らかにするため、リクルート・Indeed「グローバル転職実態調査2023」のデータを用いて、追加の分析を行いましたのでご報告いたします。今回は、日本の労働市場で多くの割合を占める40歳~59歳の「キャリアについて考える機会」に注目しました。今後、労働力人口が減少していく中、40歳以上の比率は高まっていくことが予想されます。社会の変化に伴い終身雇用・年功序列といった制度や価値観が揺らぎ、個人が主体的にキャリアを築いていく必要性が認識され始めています。
(このリリースでは、40歳~59歳の方をミドル世代とします。)

解説:HRエージェントDivision Vice President 近藤 裕

『リクルートエージェント』では、転職やキャリアについてのご相談を日々多くの方からいただきます。「漠然と、定年まで処遇がどう変わるのか、定年後も働き続けるかも決めておらず不安がある。でも、人事や上司にはちょっと相談しづらい」「役職定年が近くなり、今のうちに次にどんな選択肢があるか見ておきたい」「今まで頑張って働いてきたが、このままこの仕事をし続けるか漠然と悩んでいる。ただ自社で培った経験は他社では生かせないのではと思ってしまい、どうしたらいいか分からない」など、ミドル世代の方々からはさまざまな声が寄せられます。キャリアアドバイザーが今までの仕事についてお伺いしていくと、自分では気づかないうちに培われてきたスキルが見えてくることがたくさんあります。自社でしか通用しないと思っていたスキルが異業界で求められていることを知り、自信を持ってキャリアの選択をされたり、本当にやりたいことの言語化ができ、現職で新たなチャレンジをされたりするケースもあります。

人生100年時代といわれ、定年の延長などの動きもある今、ミドル世代が社会人になった頃とは大きく状況が変わっており、不安が大きくなるのも当然です。これまで、ミドル世代の方の転職やキャリア選択のご支援をしてきた中で、転職するしないに関わらず、キャリアについてできるだけ早い段階で考えている方のほうが、キャリアの選択肢が広がる傾向にあると感じていました。今回の調査では、ミドル世代のキャリアに関する取り組みや考える機会などがこれまでにあったかどうかなどを、アメリカの状況と比較分析しました。キャリア自律ができている方ほど、その後のキャリアの満足度が高いという傾向が分かりました。現在、日本の労働市場が変化し、35歳転職限界説といった言説も古くなり40代・50代の転職も増加しています。一方で、特にミドル世代では、今までキャリアについて考える機会がなかった人が多いことも分かりました。労働市場におけるミドル世代の重要性がますます高くなっていく中で、企業にもキャリア支援の取り組みが求められ、働く個人もキャリアを主体的に考えていく必要性が高まっています。少しでも不安やもやもやすることがあれば、自分で考えることはもちろん第一歩ですが、家族や友人、同僚など、第三者に相談をしてみると、思いも寄らない選択肢や機会が見えてくるかもしれません。

日本の労働力人口のうちミドル世代は約4割

日本の労働力人口のうち40歳~59歳は44.2%であり、少子化が進む日本では、今後この割合は上昇していくと考えられる。

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※いずれも総務省統計局「労働力調査2023年」より

『リクルートエージェント』では、40代・50代の転職は増えている。50代の転職者数は、2014年度比で約9倍になっている。転職者数の伸びが示すように、実際転職する人もいれば、キャリアについての悩みや不安はあるが動けていない人が一定数いると考えられる。ミドル世代はどのようにキャリアについて考えているのか、調査結果を分析する。

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キャリアに対する取り組みを日米比較すると、将来のキャリアに対して取り組んでいることがないミドル世代の割合は日本では約5割に上り、アメリカとの差は38.6pt

「将来のキャリアに対して取り組んでいること」を聞いた結果、全体的に日米で差が大きい結果となった。特に、次に示すグラフの通り、日本のミドル世代は47.1%の人が取り組んでいることがない一方で、アメリカのミドル世代では8.5%となっており、差は38.6ptと大きく開いている。具体的な取り組みで差が大きかったものは、「キャリアプランの明確化と目標設定」(日本12.0%、アメリカ44.2%:32.2pt差)、「ネットワークを広げてつながりを築く」(日本14.1%、アメリカ39.9%:25.8pt差)といった項目だ。

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※将来のキャリアに対して取り組んでいること(複数回答)を聴取した際に「将来のキャリアに対して、実施していることはない」と回答した人の割合

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キャリアについて考える機会も日米で差が顕著。ミドル世代ではキャリアデザインに関する教育・研修等を「学生時代に受講したことがない」という割合は日本で80.0%、アメリカでは38.1%で差は41.9pt

「キャリアデザインに関する教育・研修等を受講したことがありますか」という質問に対しても、日米で大きな差が出る結果となった。アメリカでは、学生・社会人のいずれでも、キャリアデザインに関する教育・研修を受講したことがある人が多かった一方、日本では受講したことがない人が多かった。日本とアメリカのキャリアに対する取り組みの差の背景の一つには、学生・社会人問わず「キャリアについて考える機会」が日本は不足していることがあると言える。特にミドルでは、キャリアデザインに関する教育・研修等を「学生時代に受講したことがない」という割合は日本で80.0%、アメリカでは38.1%で差は41.9ptであった。終身雇用や年功序列といった、日本型雇用慣行が見直されている中でミドルがキャリアについて考える機会にいかに触れられるかが重要になるのではないだろうか。

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※受講した経験のあるものを複数回答で聴取し、4つに分類して集計した

日本では、キャリアのアドバイスをもらえる機会が少ない

「勤務先の上司(※)は、仕事やキャリアのアドバイスをしてくれますか」と聞いたところ、日本では、「仕事がうまくいくよう助言や支援をしてくれる」の割合がアメリカよりも高かったが、それ以外の項目ではアメリカの方が高い結果となった。日本のミドルでは、「仕事やキャリアのアドバイスはもらわない」の割合が29.3%となり、日本の20歳~39歳と比べても高い結果となった。職場の上司や人事から仕事やキャリアについてのアドバイスをもらう機会を意識的に増やす必要があるかもしれない。

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※「勤務先の上司」について英語では「Superiors at work」 として質問

日本でキャリア自律できている人の状況は?

キャリア自律ができている人とできていない人で、働くことに関してどのような差が生まれるのかを分析した。ミドルのキャリア自律できている人では、「現在までの自身の職業キャリアに満足している」割合は61.0%に上り、20歳~39歳や、同じミドルでキャリア自律できていない人よりも高い結果となった。その他、「会社では自分のスキルと才能が尊重され、生かされている」「環境変化が起きても、これからの人生やキャリアを前向きに切り開いていける」も高い結果となっている。

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また、キャリア自律できているかどうかと、キャリアに関する満足度等の設問の回答傾向についても分析した。総じて、キャリア自律できている方が、仕事やキャリアにとどまらず人間関係などについて前向きな傾向があった。

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調査概要

■調査対象
フルタイム勤務者で直近に転職を経験している者
週労働時間:35時間以上 これまでに勤めた企業数:2社以上 現在の会社の勤務年数:2年未満
■有効回答者数 
 アメリカ 1248  
 日本   1248 
■調査期間 
 アメリカ 2023年 10月 20日~11月 2日
 日本   2023年 10月 10日~10月 25日

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