ジェンダー平等ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンの推進
Concept リクルートグループ全体で目指すジェンダー平等
ジェンダー平等の実現は、DEIの重要なステップと位置づけ、国内外のリクルートグループ全体で取り組んでいます。2021年度には、「2030年度までに、リクルートグループ全体で、上級管理職、管理職、従業員それぞれの女性比率を約50%にする」という目標を公表しました。社会構造上、日本はジェンダーギャップが大きい国ですが、リクルートでは、これまで働きがいと働きやすさのある環境づくりに注力してきた結果、さまざまな成果が出始めており、取り組みをさらに加速しています。
- 数字で見るジェンダー平等
- これまでの歩み
- 2021年から取り組んでいること
- 全社横断の取り組み
- リーダーのコミットメント
- 社会のジェンダー平等に向けた貢献
- STEM分野のジェンダー平等に向けた取り組み
- 社外からの評価
数字で見るジェンダー平等
リクルートでは、従業員数、採用人数、平均勤続年数での男女差が小さいことが特徴です。管理職全体における女性は32%(2024年4月時点)と、管理職の約3人に1人が女性ですが、従業員の女性比率である47%からは乖離があります。各階層の女性管理職比率を女性従業員比率と同等に高めていくことを注力テーマとして、働きがいと働きやすさの推進をこれまで以上に加速しています。また、この取り組みはジェンダーペイギャップ解消にもつながると考えています。
なお、女性活躍推進の状況については、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」においても公表しています。
管理職に占める女性比率 | 32%(女性619人、合計1,909人) |
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役員に占める女性比率 | 9%(女性1人、合計11人) |
エグゼクティブ職*1に占める女性比率 | 13%(女性16人、合計122人) |
部長職に占める女性比率 | 24%(女性76人、合計315人) |
課長職に占める女性比率 | 36%(女性527人、合計1,472人) |
従業員に占める女性比率 | 47% |
男女別平均勤続年数 | 男性5年、女性6年 |
男女別雇用形態の転換実績 (契約社員から無期雇用への転換) |
男性94人、女性137人 |
採用における女性比率*2 | 44% |
キャリア採用の実績 | 男性927人、女性809人 |
特別な記載がない限り、本表データは、株式会社リクルート単体の無期雇用従業員(期間の定めのない従業員)を対象としています。また、定点データは2024年4月時点、期間データは2023年度を対象として集計しています。
- *1当社において、経営の意思決定に関与している者。
- *2無期雇用、新卒・キャリア採用合計値
これまでの歩み
2006年にDEI専任組織を発足し、「働きがい」と「働きやすさ」の両輪でDEIを推進してきました。その結果として、2024年4月には女性課長比率は36%と2006年に比べて3倍以上、女性部長比率は24%と約6倍、女性役員・エグゼクティブ比率は13%と2倍以上に増加しています。管理職全体に占める女性の割合は32%と、厚生労働省が全国の企業を対象に行った調査結果13%*と比較すると高い水準になっています。従業員の女性比率と管理職の女性比率が同等水準となるよう、より一層取り組みを推進していきます。
- ※出典:厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査」従業員が10人以上いる全国の企業6000社を対象に行った調査において、課長相当職以上の、管理職に占める女性の割合は12.7%
2006年以降のDEI推進テーマ
2006年 | 長時間労働の改善 |
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2008年 | 安定的に働ける環境整備を進めるため、事業所内保育園の設置など、育児との“両立支援”を開始 |
2010年 | 両立支援に加え、管理職など、経営の意思決定層に女性を任用する“活躍支援”を重点テーマに設定 |
2013年 | 経営戦略会議における議論・承認を経て、女性管理職の任用目標を設定し、社内外に公開 |
2015年 | リモートワークの導入など、本格的なワークスタイルイノベーションに着手 |
2018年 |
ジェンダーを問わない仕事と家庭の両立支援、介護、セクシュアルマイノリティなど、多様な事情やライフスタイルを持つ従業員が活躍できる環境づくりを推進 社会課題解決の一歩として、「働く環境を変える」ナレッジを社外にもシェア開始 |
2021年 |
「2030年度までに、リクルートグループの合計で、上級管理職・管理職・従業員、それぞれの女性比率を約50%にすることを目指す」というサステナビリティへのコミットメントを公表(リクルートホールディングス) これまでのDEI推進をさらに加速し、より多様なリーダーの創出に取り組む |
階層別 女性管理職比率の推移
- ※2012年まではリクルート単体、2013年以降は国内グループ会社、2022年以降は株式会社リクルート単体を対象に4月時点実績を集計しています。
- ※年度ごとの対象会社
- [2022年度以降] リクルート単体
- [2021年度] 国内グループ4社(リクルートホールディングス、リクルート、スタッフサービス・ホールディングス、リクルートスタッフィング)
- [2020年度] 国内グループ10社(リクルートホールディングス、 リクルートキャリア、リクルートジョブズ、スタッフサービス・ホールディングス、リクルートスタッフィング、リクルート住まいカンパニー、リクルートマーケティングパートナーズ、リクルートライフスタイル、リクルート、リクルートテクノロジーズ)
- [2013~2019年度] 国内グループ11社(上記10社およびリクルートコミュニケーションズ)
- [2012年度以前] リクルート単体
- ※役員+エグゼクティブ相当とは、2012年度までは株式会社リクルートの執行役員以上、2013年度以降は国内グループ会社の役員または同等の権限を保有している事業会社の執行役員相当以上の職位、2022年度以降は株式会社リクルートの役員・エグゼクティブ相当の職位を対象に集計しています。
2021年から取り組んでいること
リクルートグループは、2021年に「2030年度までに、リクルートグループの合計で、上級管理職・管理職・従業員、それぞれの女性比率を約50%にする」という目標を公表しました。
当社リクルートでは、DEI専任組織が主導する全社横断の施策に加え、事業長が中心となり組織ごとに「DEI推進の3か年計画」を策定。組織特性に合わせた取り組みを自律的に推進しています。
全社横断の取り組み
無意識バイアス排除の仕組みづくり「管理職要件の明文化」
管理職に対する無意識バイアスを排除し、従業員一人ひとりの強みや能力に基づいて管理職候補者の選出・育成議論を行えるよう、管理職に求める要件を明文化しました。導入した組織では、課長職候補者が女性で約1.7倍、男性で1.4倍に増加(2022年9月末時点)。無意識バイアスを排除すると管理職候補者が多様化することが明らかになりました。2023年度からは全社的に導入しています。
女性従業員のキャリア形成支援研修「Career Cafe 28」「Career Cafe Next Step」
ライフイベントの影響を受けることの多い女性従業員を対象に、年代別にキャリア形成支援研修を行っています。28歳前後の女性従業員が対象の「Career Cafe 28」(2012年度開始)は、自分の強みを把握し、キャリアを前倒しで構築することを学ぶ場です。公募で1,900人以上(国内グループ会社含む、2012年度から2023年度の累計)の女性が参加し、キャリアを前向きに考えるきっかけの場となっています。また、2022年度には、30歳代の女性従業員向けに、キャリアオーナーシップの発揮を支援する「Career Cafe Next Step」を開始し、2年間で70人以上が参加しています。
管理職へのマネジメント支援研修「Career Cafe for BOSS」
女性をはじめとする多様な従業員一人ひとりの活躍を推進するために、人材育成を担う管理職への支援も行っています。2015年度に開始した「Career Cafe for BOSS」では、DEI推進の意義、ライフイベントの影響を受けやすい女性従業員をはじめとして、多様なメンバーの成長を加速させるために現場で実践できるマネジメント手法を外部講師から学びます。2023年度には、在籍管理職約1,800人のうち、80%が受講を完了。「女性の能力を引き出すコミュニケーションについて、学んだことをすぐに実践した。マネジメントで大事にすべきことを学べたので全管理職に受けて欲しい」といった声が寄せられています。
階層別スキル研修
女性従業員を主な対象として、管理職に必要なスキル習得の研修を、階層ごとに実施しています。例えば、ロジカルシンキングをテーマとした研修では、物事を体系的に整理し、筋道を立てる論理的思考を学ぶプログラムを実施。日々の業務で実践し、上司・講師と三位一体で一人ひとりの成長を支援できるよう、受講者それぞれの育成計画に接続する仕立てとしています。育成加速により、任用時期が想定より早まる事例も出始めています。
管理職向けの勉強会・発信
管理職がDEIへの理解を深めることができるよう、社長からのメッセージ発信や勉強会の機会を提供しています。
2022年10月には、国連事務総長 特使で米テスラ社 社外取締役(肩書は当時)の水野弘道氏をお招きし、管理職向けのDEI勉強会を開催。「ジェンダー平等が企業の成長になぜ必要か~ESG・SDGs時代の企業の成長戦略とは」をテーマに、リクルート代表取締役社長の北村との対談形式で学びを深めました。
またリクルートの全管理職向けの経営情報配信動画「Recruit Update Channel for Leaders」で、社長自らリクルートがDEIを推進する意義・目的を発信。「ジェンダー平等の目標の本質は、これまでの定説や常識を見直すこと」「カスタマーやクライアントもこれまでにないほど多様になっていくなかで、私たち自身も多様化していくことが必要」と伝えています。
関連リンク
リーダーのコミットメント
2022年度には事業長が中心となり、組織ごとに「DEI推進の3か年計画」を策定しました。個人と組織が持続的に進化し続けるために、ジェンダー平等をはじめとするDEIを自組織戦略においてどのように実現していくのか。組織特性に基づく課題設定を行い、具体的な行動計画を策定しました。「DEI推進の3か年計画」を策定したリーダー達が、「なぜDEIが重要なのか」「どのように取り組むのか」「自分たちのチーム、メンバーに期待すること」などを、自らの言葉で語ったメッセージの一部をご紹介します。
順不同で掲載しています。動画内の肩書は2023年4月時点、内容は2022年12月~2023年2月時点のものです。
Movie
多様なメンバーの「想像力」は、
多様な顧客ニーズに応えるプロダクトを生む
牛田 圭一
株式会社リクルート 執行役員 プロダクト統括本部
SaaS事業領域担当
SaaSソリューションAir ビジネスツールズを担当する牛田圭一は、「多様なニーズに応える必要がある同事業において多様性は不可欠」と語り、メンバーに対する「想像力」を働かせることを大切にしています。DEIやジェンダー平等を推進する上で大切なのは、自分とは異なる状況にある相手のことについて、「知ったかぶりをしないこと」と語り、分からないからこそ、理解しようと努め、対話が生まれることの大切さを伝えています。
Movie
多様なリーダーの存在が、
変化への対応力を高める
加藤 剛史
株式会社リクルート Division統括本部 HR本部
HRサービスDivision Division長
営業組織を率いる加藤剛史は、「VUCAの時代においては、あらゆる変化に適応できるよう、常に人材の多様性を高めておくことが必須」という課題感を持ち、多様性を阻む無意識のバイアスを排除するため、管理職要件の明文化に取り組んだリーダーのひとりです。「同質性の高い組織は、大きな環境変化が起きたときに対応が遅れがち。多様な人材がモザイクのように活躍していれば、大きな変化があっても、その変化に強みを発揮できる人が出てくる」と力強く語ります。
Movie エンジニアはジェンダーに関わらず活躍できる仕事
李 石映雪
株式会社リクルート プロダクト開発統括室
HR領域データソリューションユニット ユニット長
エンジニア組織の管理職として活躍中の李石映雪は、「エンジニアは、実はワークライフバランスが取りやすい仕事」と、エンジニアという仕事と、働き方へのニーズとのフィットを語ります。さらに「ジェンダーに関わらず、STEMをはじめそれぞれが関心を持つ領域で活躍することで、本来社会が持っている力をもっと発揮できると思っています」とその効果について語りました。
社会のジェンダー平等に向けた貢献
リクルートのジェンダー平等への取り組みは、自社に限ったものではありません。「個の尊重」に代表される創業当時から大切にしてきた価値観は、常に企業活動を通じ社会への提案として表出してきました。 例えば、女性の転職や就職に特化した求人メディア『とらばーゆ』を発行したのは、男女雇用機会均等法制定5年前の1980年です。社会全体のジェンダー平等実現に向けて、積極的に社会との対話や協働を進めています。
リクルートワークス研究所
リクルートワークス研究所は、「一人ひとりが生き生きと働ける次世代社会の創造」を使命として、人と組織の「新しいコンセプト」を提起する研究所です。女性の働き方、男性の育休取得など、ジェンダー平等についても調査研究や発信を継続的に行っています。
WOW! BASE
「人生と、社会課題が、出会う場所。」をコンセプトに、学生と社会人が垣根を超えて出会い、多様な社会課題に向き合うプロジェクトやイベントを実施しています。2022年度には、女子高生が直面することの多い、キャリア選択におけるジェンダー格差や地域間格差を解消するためのアイデアソンイベントを開催しました。
全国から50人以上の高校生や大学生が参加し、リクルートの新規事業提案制度のノウハウを活用しながらアイデアを立案。参加者からは、「地方の一女子高生として地域間格差の解決は難しいと感じていたが、共有されたアイデアを見て希望を感じた」といった感想が寄せられました。
STEM分野のジェンダー平等に向けた取り組み
日本のSTEM(科学・技術・工学・数学)分野に占める女性の少なさが課題となっています。リクルートは、「すべての人々が最新の情報や工学の実践的スキルを獲得して夢を実現できる社会の実現」を目指す東京大学「メタバース工学部」の趣旨に賛同し、プラチナ法人会員として参画。メタバース工学部の情報発信支援として、コンテンツ検討や、ウェブサイト運営に携わる学生を対象としたワークショップを行っているほか、女子中高生向けのイベントに理系出身の当社従業員が登壇し、多様な進路選択を後押しする啓発活動にも参加しています。
また、リクルートの従業員もメタバース工学部の講義で学んでいます。
関連リンク
社外からの評価
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2014年
「ダイバーシティ経営企業100選」に選定(経済産業省) -
2016年
「2016 J-Winダイバーシティ・アワード 企業賞 アドバンス部門 準大賞 および個人賞 経営者アワード」を受賞(特定非営利活動法人ジャパン・ウィメンズ・イノベイティブ・ネットワーク <以下、NPO法人J-Win> ) -
2017年
「2017 J-Winダイバーシティ・アワード 企業賞 アドバンス部門 大賞」を受賞(NPO法人J-Win)
- ※2008年と2014年に企業賞大賞、2013年に準大賞を受賞
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2018年
「2018 Gender-Equality Index(2018年 男女平等指数)」に選出(ブルームバーグ) -
2024年
「PRIDE指標」(任意団体work with Pride)で最高評価「ゴールド」を取得
- ※2018年~2023年まで6年連続で「ゴールド」を取得
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