2021年12月4日(土)、埼玉県宮代町が共生社会推進を目的にパラスポーツ体験イベントを実施しました。パラリングは、イベントにプログラムを提供した『上智大学 ソフィア オリンピック・パラリンピック学生プロジェクト Go Beyond』*(以下Go Beyondという)を通じて、『パラスポーツを擬似体験できるVR(360°)動画』および、動画をより臨場感をもって視聴できる紙製オリジナルスコープを提供しました。
*東京2020大会をきっかけに、共生社会の実現を目指して活動している上智大学の学生プロジェクト
『Go Beyond』が提供したプログラムでは、様々な人が違いを越えて一緒に楽しむことができるパラスポーツを通じて、共生社会の実現に向けて一人ひとりができることを考えてもらうコンテンツが設けられていました。コンテンツの中では、『パラスポーツVR(360°)動画』で多様なパラスポーツに触れてもらう場面や、パラリンピックの正式種目である『ボッチャ』を楽しむ場面もありました。
「パラスポーツって楽しい!」から「共生社会」の理解につながる気づきを
『Go Beyond』の加藤 愛梨紗さんは「宮代町の担当者の方々がプログラムを任せてくださったので、パラスポーツを通じて誰もが輝ける共生社会を推進していくにはどうしたらいいかを考えながら企画・運営しました。ただ『楽しかったね』で終わらないよう、実施後にご家庭で振り返ってもらえるような資料も配布しました。実際に参加してくださった方からは『パラスポーツの存在は知っていたけど、まったく想像できていなかった。自分たちの日常にも取り入れていきたい』などお声がけいただき活動の意義が感じられましたし、東京2020パラリンピックでパラスポーツの大ファンになったというお子さんが大喜びしてくれたのも励みになりました」と語ってくれました。
『パラスポーツVR(360°)動画』については、試した方の反応が良くて盛り上がったとのこと。『Go Beyond』の加藤さんは「大人も子どもも歓声をあげて、なかにはアスリートの動きにあわせて動き出す子どもたちもいました」と話してくださいました。そして「パラスポーツに触れる機会がなかなかつくれない、道具がない、といった環境にも、パラスポーツの楽しさや共生社会への気づきを届けることができます。もっといえば、わたしたちが物理的に出向くことができなくても想いを広めていけます。東京2020パラリンピックが終わったことで、パラスポーツに対する世の中の熱が冷めてしまい、共生社会に向かう足が止まってしまうのではないかと感じています。『パラスポーツVR(360°)動画』などを上手に活用しながら、より強く、熱く、推進していけたらと思いました」と活動に注ぐ想いを語ってくださいました。
共生社会を推進するロールモデルに
『Go Beyond』を誘致した宮代町『子育て支援課』の伊藤 遼平さんと『福祉課』の菊地 秀さんにもお話を伺いました。
もともとプロスポーツ団体に所属されていた伊藤さん。スポーツに大きな可能性を感じながらも、その恩恵が都内を中心としたエリアに限定されていることがもどかしく、地元近隣の宮代町の職員に転身し、スポーツの力を地域づくりに活かす取り組みをさまざま企画されています。
「スポーツを通して人は笑顔になるという実感があり、なかでもパラスポーツには大きな可能性を感じています。障がいの有無や年齢の違いを越えて一緒に楽しむことができるからです。今回はコロナ禍でスポーツが不急とされるなかで『Go Beyond』と出会ったことを機に、行政としては珍しい課を横断したイベントへと発展させながら、子育て世代の親子を対象にしたことでより多くの方にスポーツの可能性を届ける挑戦が実現しました。印象的だったのは、足が動かなくなる進行性の障がいを抱えているお子さんが参加してくれたこと。サポートしている方が、今回のイベントでパラスポーツと出会えたことはこの子の未来の希望になると。ほかの子と一緒に遊んでいる姿を見られて、今日は本当に嬉しいとおっしゃってくださったんです」と伊藤さん。
伊藤さんの話にうなずく菊地さん。「福祉課では、これまで障がいのある方の絵や工芸を展示する企画展などを実施してきましたが、障がいを抱えている方や、もとから関心のある方しか足を運んでもらえないもどかしさがありました。今回のイベントでは、組織を越えたつながりで共生社会を推進する取り組みが実現できました。まさにお互いの立場や価値観を尊重しながらのコラボレーションは共生社会のあるべき形を象徴するようで、大きな意義を感じました」と話してくださいました。
そうしたイベントのなかで『パラスポーツVR(360°)動画』が貢献できたことを尋ねると、パラスポーツという共通の喜びで違いを越えることのできるツールだとおっしゃってくださいました。「嬉しいことに今回のイベントは、宮代町外の周辺エリアからもご参加をご希望される声をたくさんお寄せいただいたんです。でも、行政の管轄を越えることが難しくお断りせざるをえなかったので、せめて『パラスポーツVR(360°)動画』だけでも視聴してもらおうと周辺エリアのデイサービス事業所などにお届けしたところ、本当に喜んでいただけました」と伊藤さん。さらに「わたしたち行政だけだと越えられない壁も、リクルートのような民間企業の支援で突破できると感じました。宮代町は、暮らしている方も共生社会を推進しようと情熱を持っている方が多いので、今回のイベントで得た気づきをより良い地域づくりに広げるとともに、わたしたちの町をロールモデルに周辺のエリアにも輪を広げていけたらと思います」と話してくださいました。
『Go Beyond』の加藤さん、宮代町の伊藤さん、菊地さんとの出会いに、『つながりの輪』が広がっていく実感を得ることができました。パラリング はこれからも、さまざまな機会を通じて、誰もが輝くことのできる共生社会を推進していきます。
パラリングでは、パラスポーツの魅力を体感・理解していただくことを目的とした動画を無償提供しています。
公開しているYouTube動画へアクセスいただき、どなたでもご活用いただけます。
紙製VRスコープや動画アクセスへの二次元コード一覧チラシの提供も行っております。
ご興味のあるかたは、下記ご案内・活用事例をご確認ください。
『考え方を変える=パラダイムシフト』で『つながりの輪を広げる』パラリングは、これからも障がい者理解のための プログラムを通して誰もが自分らしく生きる社会づくりに貢献します。
<お問い合わせ先>
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パラリングとは?
「パラリング」とは「パラダイムシフト(考え方の変化)」と「リング(輪)」の造語で、障がい者理解を広めていくリクルートの活動です。リクルートは障がいの有無に関わらずそれぞれが活躍できる社会の実現を目指して活動をしています。