残されたものを活かし、全身を使って泳ぐ「パラ競泳」とは
リハビリやレクリエーションなどをはじめ、水泳は障がいを持つ人にも広く親しまれています。競技として行われる競泳では、世界パラ水泳連盟のルールに則り、男女別・クラス別(障がいの種類や程度によって分けられる)でタイムを競います。
種目は主に自由形、背泳ぎ、バタフライ、平泳ぎ、個人メドレー、リレーなどがありますが、クラスによっては行われない種目もあります。また、同じクラスでも腕や脚の切断や脳性まひなど、さまざまな選手が所属しています。
障がいにより飛び込みスタートができない選手には水中からのスタートが認められていたり、スタートの合図音が聞き取れない聴覚障がいの選手には身振りやシグナルで伝えたり、障がいに合わせたさまざまな工夫が凝らされているのもパラ競泳ならではの見どころ。
一人ひとり障がいの種類や程度も違うため、それぞれの選手が自分に合った泳ぎ方を見つけて練習を重ねています。選手ごとに泳ぎ方も強みも変わるのが、パラ競泳のおもしろさのひとつともいえるでしょう。
パラスポーツを疑似体験!パラアスリートの泳ぎを動画でお届け
動画では、2013 アジアユースパラ競技大会で金メダル3個、銀メダル1個の獲得をはじめ、数々の受賞歴をほこる鎌田 美希 さんの泳ぎをVRで紹介。
両脚を切断している鎌田さんは脚で推進力が得られないため、上半身の動きでしっかりカバーしているのだとか。平泳ぎのときは脚を動かすと逆に抵抗になるため、手でしっかり掻いてテンポを上げてスピードを出すなどの工夫をしていると語ります。
普段は義足をつけて生活をしているけれど、水の中では義足を外して自由に動かせるのが楽しい。たとえ障がいがあっても自由に身体を動かせるということを、子どもたちに伝えていきたいと考えているのだそうです。
水に抵抗がある人も、まずは水の中で楽しく遊ぶことから始めてみるといいかもしれません。ぜひ、動画で鎌田さんの泳ぎをご覧ください。
パラ競泳ならではの工夫や見どころ
障がいによっては、競技中にケガをしてしまう可能性も。そのため、パラ競泳には競技を支えるさまざまなサポーターがいます。
たとえば動画内でも紹介されている「タッパー」も重要なサポーターです。視覚障がいの選手はプールの壁を視認しづらいため、ターンやゴールの際にぶつかってしまう恐れが。そこで、釣り竿の先にスポンジを装着したような「タッピングバー」という棒を用い、ターンやゴールの直前に選手の身体にタッチして合図を送ります。
これもただ伝えればいいというだけでなく、選手とタッパーの息を合わせることが大切。タイミングがズレると選手が壁にぶつかってしまったり、ロスが生じてタイムが落ちてしまったりするからです。
このように選手たちは、泳ぎの技術を磨くだけでなく、サポーターとの信頼関係も構築し、ベストなタイムを出せるよう日々努力を続けています。
このほかにも、競泳では見られないパラ競泳ならではのさまざまな工夫やルールがあります。観戦の際は、このようなポイントにも注目してみてくださいね。
【出演アスリート情報】 ※アスリート情報は、取材当時のものです。
鎌田 美希(Miki Kamada)
・ 勤務会社:ソフトバンク株式会社
・ 競技クラス:S8、SB7、SM8
・ 主な戦績:2013 アジアユースパラ競技大会 金3 銀1獲得、2014 アジアパラベストユースアスリート賞受賞、2019ジャパンパラ水泳選手権大会 100m背泳ぎ(S8),100m平泳ぎ(SB7)日本新記録、※2020年3月 現役引退
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