アスリート支援活動

菅野浩二選手 熊谷市立江南北小学校150周年記念式典で講演会

2023年03月14日

菅野浩二選手 熊谷市立江南北小学校150周年記念式典で講演会


子どもたちの前で話す菅野 浩二選手

2023年2月24日、熊谷市立江南北小学校にて150周年記念式典が行われました。新たな歴史を刻むこの日、江南地区で育ったゆかりのある菅野選手が全校生徒198人の前で講演会と実践会を行いました。上新田地区のお囃子が披露され、体育館中に響き渡るたくましい太鼓の音に魅了された後、菅野選手の講演が始まりました。

自己紹介をして、実際に競技用の車いすテニス車に乗る体験からスタート。6年生の代表2名が試乗しました。「意外と軽くて簡単に動いてしまう」と感想を述べてくれた二人は、通常の車いすよりも車幅が広い競技用の車いすを上手に乗りこなし、往復して上手に戻って来てくれました。「この幅だと、実は入れないドアやお部屋、通れない道もたくさんあります。だから日頃は今乗っている通常の車いすに乗り換えて生活をします」と菅野選手。パラアスリートは二つの車いすを使い分けて生活していることを解説しました。

競技用車いすテニス車に乗る6年生と、説明をする菅野 浩二選手

競技用車いすテニス車に乗る6年生と、説明をする菅野 浩二選手

信頼できる人に相談して夢をかなえよう

講演会では、まず車いすテニスの種目の説明からスタート。クアードという種目は、下肢だけではなく、まひなどで上肢にも障がいがある、比較的障がいが重い選手が出場するクラスです。中学までサッカー少年だった菅野選手ですが、高校1年生の夏休み、交通事故で首を骨折し、首から下に障がいが残っています。リハビリを通してパラスポーツを知り、車いすテニスに出会いました。趣味で始めたテニスで、世界を目指すと決め、念願かなって日本代表に選出されました。しかし、日本代表になったものの、なかなか勝てず、初勝利までは3試合かかってしまった苦い思い出も吐露していました。その後東京2020パラリンピックの試合をみんなで動画観戦。強いスマッシュが決まると体育館は歓声に包まれ、「かっこいいーー!!!」と声をあげる子どもの姿も見受けられました。テニスで日本代表を目指すには、一人では絶対に無理だったと語った菅野選手。「皆さんも、これから何かに挑戦する時は、一人で決して悩まず、信頼できる人に相談すれば、味方になって応援してもらえるから頑張ってほしい」とエールを送っていました。

質問コーナーでは、1年生から6年生とひまわり・コスモス学級の代表の子どもたちが、一人ずつ車いすテニス車に乗って質問。「好きな食べ物は何ですか」という1年生からの質問には「納豆が大好きです。おかげでテニスも粘り強く頑張っています!」とユーモアを交えて回答していました。

全校生徒とご来賓の前で講演する菅野選手

全校生徒とご来賓の前で講演する菅野選手(手前はパラリンピックで実際に使用した競技用車いすテニス車 )

二つのことを同時にする・・車いすテニスは難しい・・!?

後半はいよいよ菅野選手と、江南北小学校代表の大河原先生(2年生担任/テニス経験者)とのラリー。「この日のために練習して来ました!」とやる気に満ち溢れた大河原先生と軽快な打ち合いがスタート。子どもたちが大きな声で回数を数えていると20回以上続き、見事なラリーとなりました。その後、大河原先生も車いすテニス車に乗って車いすテニスでのラリーをスタート。先ほどのラリーとは打って変わって、ラケットが届かなくて打ち返せず、ラリーは続かなくなってしまいました。大河原先生はこう語ります。「難しかったです。車いすを動かしながらラリーをするというのが二つ同時なんです。私がテニスをするときは、少しジャンプをしてすぐに動けますが、車いすに乗っていると、ボールが打たれるよりも前に動き出さないと打ち返せませんでした。相手が打ってから車いすを動かしていたら間に合わないんです。とても難しいですが、ぜひ子どもたちにも車いすテニスを体験してほしいと思いました」。実際に見ているのと体験してみるのは大きく違うという、パラスポーツの醍醐味を先生に体験いただくことができ、子どもたちもパラスポーツの難しさを目の前で感じる機会となりました。

「さっきまでとても上手だった先生が全然打ち返せませんでしたね。車いすテニスは、まず車いすに慣れて動き回れるようになることが大事なんです」とコツを語った菅野選手。慣れない体育館での実践でしたが、車いすテニス車はものすごいスピードで走っていました。その後、サーブを披露して実践は終了。大きな拍手に包まれました。

車いすテニス車に乗る大河原先生/メダルを持った菅野選手と記念撮影

車いすテニス車に乗る大河原先生/メダルを持った菅野選手と記念撮影

子どもたちは今日から今から 、車いすの方への対応が変わると思います

最後に全員と記念写真をして講演会は終了。体育館を後にする子どもたちは、東京2020パラリンピック銅メダルに触れて、菅野選手とハイタッチをして帰りました。
式典閉会後、深澤教頭先生は「子どもたちが本当に喜んでくれて、自分たちもこんなふうに頑張りたいという目標ができたと思います。菅野さんからの、自分一人でこうなれたわけではないという話が響いたと思いました。また、車いすの大変さも分かったと思うので障がい者教育、ノーマライゼーションがよく理解できたと思っています」。と振り返ってお話くださいました。また、清水校長先生はこう語ります。「大河原先生とのラリーを見たら、子どもたちもあんなに難しいのかと実感できたと思います。何よりも子どもたちは今日、菅野選手のファンになったと思うのです。近しい近所のお兄さんであり、すごい力を持った方で、式典にふさわしい講演になり、胸に刻まれたと思います」。また、今後の子どもたちの変化については、「車いすの方を見かけたら、今日から今から、子どもたちは、動きやすくなるような支援を必ずすると思います。今日、見て、きちんと分かって、理解したと感じています。本で見たり調べたりするのも大事ですが、目の前でこうして体験することが本当にいい経験になったと思います」と語ってくださいました。
子どもたちの未来に明るいきっかけづくりとなり、障がい者理解にもつながった講演会が実現できました。「明るくて優しい江南っ子の前で話ができて本当に良かったです」。と感謝を込めて語る菅野選手にも笑顔が溢れていました。

最後に全校生徒と記念撮影

最後に全校生徒と記念撮影


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