チャンスは来るもの? つかむもの? リクルート従業員が語る“機会”のリアル

チャンスは来るもの? つかむもの? リクルート従業員が語る“機会”のリアル

2021年4月に事業・機能別に分かれていた会社を統合してひとつになったリクルート。会社統合にあたって社内で掲げたのが「機会は、もっと、広い。」というコンセプト。組織や会社の垣根を越えて、社内外のさまざまな機会に挑戦していこうという願いが込められています。それから早2年。実際のところ、リクルートの従業員は何を機会ととらえ、機会をどう活かしているのでしょうか。リクルートの中でも機会を“使い倒している”とうわさ3名が座談会を実施。機会の見分け方、チャンスをつかむ方法や日頃意識していることなどを語った様子をお届けします。

2023年2月に実施されたリクルート社内向けトークイベントのダイジェスト記事です/敬称略

三者三様。それぞれのアプローチでリクルート内外の機会を堪能中

宮下:モデレーターを務める宮下真衣子です。本日のテーマは「機会」。私たちは普段「機会は、もっと、広い。」というコンセプトを掲げていますが、実際に皆さんはどう感じているでしょうか。事前に実施した従業員アンケートでは、約8割以上の人がリクルートを「機会の多い環境だ」と感じているという結果でした。しかし寄せられたコメントをみると、「目の前の仕事に追われてしまっている」「育児との両立など、時間的制約があって動けない」といった声が目立っていました。「機会が豊富なのは知っているが、実際には体感できていない」人が実は多いのかもしれません。
そこで今回は、リクルートで多様な機会に触れている3名に集まってもらいました。自己紹介とともに、それぞれがどんな機会を経験してきたのかもぜひ教えてください。

リクルート ビューティDivision 営業5部 長野美容グループ 駒 侑弥(こま・ゆうや)
リクルート ビューティDivision 営業5部 長野美容グループ 駒 侑弥(こま・ゆうや)

駒:『ホットペッパービューティー』の営業を担当している駒 侑弥です。私は2020年に契約社員で入社。出身は奈良県なのですがたまたま配属先が長野県で、それ以来一貫して長野オフィスに在籍しています。私が今日この場にいるのは、リクルートで毎日配信されている社内報(メールマガジン)に感想を送るようになったのがきっかけ。はじめは社内広報の担当者とのやりとりだったのですが、そのうち記事に登場する従業員や役員の皆さんに「記事を読みました、〇〇についてもっと教えてください!」と連絡をして、よもやま(テーマを問わないカジュアルな相談の場)をするようになったんです。この1年で領域を超えて50人以上の方とよもやまを実施。日常の業務では出会えない人たちと話す機会を得て、リクルートの機会の広さを実感している最中です。

桑原:『ゼクシィ』ブランドを有するマリッジ&ファミリー領域でインターナルコミュニケーションを担当する桑原史帆です。私は現在ふたりの娘の子育てと仕事を両立しながら、副業にも挑戦中。2022年4月からはマネジャーに任用されると同時に、DEI推進室も兼務しており、いろんな機会に飛び込んでいる“よくばり人材”としてこの場に呼ばれたのだと思っています(笑)。振り返ってみると、最初の転機はリクルートが事業・機能別に分社化した2012年のこと。『ゼクシィ』の営業を担当していた私は、当時所属の会社で立ち上がったビジョン策定のプロジェクトにアサインいただきました。それに参加した結果、ビジョンをきっかけとして組織で働く人を元気にすることの面白さや奥深さに気づいてしまって…。これは本腰を入れてやりたいと自ら手を挙げて社内公募制度を使って異動しました。その後も、子育てとの両立に悩んだり、新しい役割に戸惑ったりしながら、絶えず変化を続けています。

福田:人と組織に関するR&D組織「HITOLAB(ヒトラボ)」の福田竹志です。私は2004年の入社以来、通算20回ほど異動を経験しています。大阪出身なのですが、新人で配属されたのは熊本。ここでいきなり『タウンワーク』熊本版の立ち上げを経験したのがキャリアのはじまりです。翌年には宮崎へ異動し、早々にマネジャーも経験するなど、とにかくいろんな機会が目の前にやってきましたが、同じくらい挫折も経験しています。営業部でマネジャーを担当していた頃は、メンバー一人ひとりを見ずに自分と同じやり方を押し付けて失敗したこともあるし、東京の本部スタッフに異動してからは営業時代の経験がまるで通用せず苦しんだこともあります。リーマンショックの時は、自分が立ち上げた拠点を撤退させる決断も。苦しい機会が多かったけれど、そんな時は歴史上の偉人と比較します。「秦の始皇帝が経験した困難に比べたら、自分の状況なんて全然マシだ」というふうに考えて、目の前の機会に向き合っています。

機会は、キラキラした姿でやってくるとは限らない

宮下:今回は、視聴者の皆さんからの質問に答える形で進行したいと思います。ひとつ目の質問は「日々の出来事のなかで“機会”を見極める方法を教えてください」。今ひとつ、機会をつかみ切れていないと感じている人が多いのはアンケートからも見えていることですが、皆さんはどうしていますか。

桑原:身も蓋もないことを言うのですが、私の場合はつかんでいる感覚がないんですよね。キラキラした機会が向こうからやってくることなんてほとんどなくて、後で振り返ってみたら「そういえばあれが私にとっての機会だったかも」と実感できることのほうが断然多いです。

福田:機会って、はじめはチャンスというよりもピンチの顔をしてやってくる。私の体感ではしんどい経験のほうが多くて、機会には見えていなかったことが多いかもしれないです。

駒:自分も機会と確信して狙って行動したわけではないですね。私が社内報に感想を送るようになった理由は、最初は「隙間時間の有効活用」だったんです。私の自宅はオフィスからバスで20~30分のところにあるのですが、以前は通勤中にSNSを眺めて時間を潰していました。でも、人の投稿を見ればむやみに自分と比較して気落ちするばかり。この習慣を続けるのは精神的に良くないし、他のことに時間を使おうと思ったんですよ。そこで考えたのが毎日送られてくる社内報を読んでリアクションすることでした。当時の自分は、上司から「アウトプットが下手だ」と指摘されていたこともあり、自分の思ったことや考えていることを言語化する練習がしたかったんです。

桑原:新しいことに踏み出すのは勇気がいるけれど、駒さんのように毎日できることからはじめて“習慣化”しちゃうのはありですよね。あと、私の場合は直感を信じるようにしているかな。「面白そう」「やってみたい」と感情が振れた時はその気持ちに従うようにしています。

リクルート マリッジ&ファミリーDivision 領域推進部 インナーコミュニケーショングループ 兼 人事統括部 DEI推進室 企画統括グループ 桑原史帆(くわはら・しほ)
リクルート マリッジ&ファミリーDivision 領域推進部 インナーコミュニケーショングループ 兼 人事統括部 DEI推進室 企画統括グループ 桑原史帆(くわはら・しほ)

福田:私たち3人はフットワークの軽いところが共通点なのかもしれないですね。そもそも目の前の機会の良し悪しを見極めてからつかもうとは思っていない。まずはやってみる、飛び込んでみることが大事で、苦労や失敗もするんだけど、それが結果的に機会になっているのだと思いました。

いざという時に受け止められる、時間と心の余白をつくっておく

宮下:次の質問は、ワーキングマザーなど時間が限られている人たちから多数寄せられています。「さまざまな制約があっても機会は平等にあると思いますか?」。これはふたりの子どもの育児もしている桑原さんから聞いてみましょう。

桑原:私はリクルートの機会は誰にでも平等だと感じていますし、自分が機会を提供する立場になってもそうありたいです。その一方で、制約のある人が難しさを感じているのも、よく分かります。日々の仕事や家庭のことでスケジュールがパンパンに詰まっているのに、目の前に新しい機会がやってきても手を伸ばせないですよね。だから私は、日頃から時間の使い方を戦略的に考えて、余白を持っておくようにしています。

宮下:どのように余白をつくるんですか。

桑原:ひとつは、半期に一度、向こう半年の計画を立てることです。「母」「妻」「仕事」…と自分の役割を書き出し、自分のリソースを100とした時にそれぞれの役割へどれくらい分配するかを割り振りながら、今注力したいポイントを見極め、それ以外は効率化する手段を考えたり、潔く人を頼ったりしています。その上で、業務については半年間のスケジュールを引きます。先の見通しが立てば、タスクを前倒しで進めて繁忙期が発生しないように平準化することもできる。私は、時間の使い方にはかなりこだわっていますね。会議などの予定を入れない時間をつくっておくのも工夫のひとつ。空白の枠だけ押さえておいて、臨機応変に使える時間があると心の余裕も生まれます。

福田:たしかに、自分で主体的にスケジュールをコントロールすることが、機会を逃さないためには必要かもしれません。私は最大で9組織を兼務していたことがあったのですが、あちこちから会議参加の依頼が舞い込んで、移動中もオンラインで会議に参加しないとまわらないほど余裕がなかった時期があります。この状態になると、目の前のタスクを処理するだけで手いっぱいになってしまう。私も桑原さんのように一定の時間はスケジュールをブロックして、自分の時間を確保するようになりました。あとは、会議の日時を決める時に「いつがよいですか?」ではなく「〇日の〇時でどうですか?」と自分から切り出すだけでも時間の使い方が変わります。

宮下:時間といえば、駒さんは契約社員としての契約期間が今年の8月で満了になるため、リクルートの卒業を控えているそうですね。期限が決まっているからこそ意識していることはありますか。

駒:まだ卒業後に何をしたいか明確な道が見えていないので、自分の進路を決める意味でもリクルートのいろんな人とよもやまをするようにしています。昨年の夏に住まい領域の人とよもやました時に言われたんです。「駒さんは卒業まであと1年しかないんだから、もっとリクルートを使い倒しなよ」って。それで思い切って自動車事業の責任者に直接メールしたら、違う事業の契約社員である自分にすごく親身になってもらえたことに驚きました。相手が誰であろうがフラットに接してくれることが、リクルートの機会の広さにつながっているのだと感じています。

リクルートの中だけでなく、外の機会にも目を向けてみる

宮下:卒業の話題に関連して、次の質問はキャリアと機会についてです。「40代、50代になった時のキャリアをイメージできません。年次が上がっても変わらず機会を得ることは可能でしょうか」。リクルートは一定の経験を積んで社外へ巣立っていく人も多い会社ですが、これはまさしくその年代である福田さんに聞いてみたいです。

福田:専門的な話からすると、キャリアという言葉の語源は馬車が通った道にできる車輪の痕跡=轍(わだち)です。自分が進んできた道を振り返った時に見えるものなので、将来のキャリアがはっきりと見えなくても心配しすぎる必要はないのかもしれません。但し、同じ環境に長く身を委ねたままでは新たな機会がどんどん減っていくのも事実だと思います。目の前の仕事が余裕を持ってできるようになったら、実際に移るかはさておき、私は違う環境に目を向けてみることを意識しています。例えば、転職エージェントのキャリアカウンセリングを受けて、自分の可能性について客観的なアドバイスをもらうなど。社内よりも社外との接点から刺激を得て学びを持ち帰るようにすると、社内での新たな機会につながるきっかけになるのではないでしょうか。

リクルート 人事 HITOLAB(ヒトラボ) 福田竹志(ふくだ・たけし)
リクルート 人事 HITOLAB(ヒトラボ) 福田竹志(ふくだ・たけし)

桑原:私が副業をしている理由も福田さんの考え方に近いです。将来を考えた時に、リクルートとは違う環境で今の自分が持っているスキルを試してみたら、違うものが見えてくるかもしれないと思って始めました。副業では、在宅医療サービスの会社で企業ビジョンをつくったりインターナルコミュニケーションを設計したりするお手伝いをしているのですが、在宅医療は人生の終末期に寄り添うサービスであり、死に向き合う仕事。その意義を突き詰めるうちに、本業で携わっている『ゼクシィ』についても深く考えさせられました。出会いや結婚や出産など、人生のなかで誰かを“愛する”場面に携われる事業ってとても尊いなと、外から自事業を見つめ直すよいきっかけになったんです。

宮下:副業で対極な事業を経験したことで、中にいると忘れがちな価値に気づく機会になったんですね。桑原さんは家事育児と仕事を両立するだけでなく、副業にもチャレンジしていますが、どうやって実現しているのですか。

桑原:これはリクルートが“週休約3日”になったおかげです。個人で自由に設定できる「フレキシブル休日(以下、フレ休)」があるので、平日に仕事も育児も関係なくひとりで使える時間ができた。この時間なら新しいことができるかもしれないと思って副業を始めたんです。…と、かっこよく言ってみましたけど、実際はフレ休の全てでバリバリ副業をしているわけじゃないですよ。フレ休の半分くらいは昼から居酒屋で飲んだり、カラオケに行ったり、リフレッシュする時間も大切にしています。

キャリアが明確でなくても大丈夫。機会のつかみ方に正解はない

宮下:キャリアと機会についてはこんな質問も寄せられています。「明確な目標を持って進む“山登り型”キャリアのほうが機会をつかみやすいと感じます。流れに身を任せて進む“川下り型”の私が機会を逃さずにつかむにはどうしたらよいでしょうか」。キャリア論の話にも絡むので、「HITOLAB」の福田さんからご意見をお願いします。

福田:リクルートでは「Will(やりたいこと)」を原動力に力強く前進を続ける人が目立って見えるせいで、Willをはっきりと語れないことに必要以上に悩んでいる人にもよく出会います。しかし、ここは一度Willが大事という前提を疑ってみてはどうでしょうか。「Will」ではなく「Can(できること)」に注目したキャリアの進み方だっていい。自分にできることが増えれば、視界が変わり、やりたいことが見えてくるかもしれませんよ。Canを突き詰めることで得られる機会もあると思うんです。

駒:まさしく自分は明確なWillがないタイプ。現時点でWillを問われたら上手く答えられず苦しいけど、Canを増やそうと言われるほうがしっくり来ました。20代のうちはWillにこだわりすぎず、Canを増やすことを頑張ってみようかな。

桑原:私のキャリアは、山登りと川下りの両方が交ざっている気がします。自分の経験を活かしつつ、やりたいことに少しだけ近付くような、“ちょいズレ”で新しい機会に挑戦していることが多かったかな。それに、1年後に何が起こるか分からないじゃないですか。自分や家族が病気になるかもしれない、介護が必要になるかもしれない。長期でかっちりと決め過ぎず、たとえ一度決めた目標でも状況に合わせて柔軟に書き換えていくようなスタンスのほうが、視野を広くいられるし、機会を見過ごさないのかもしれません。

リクルートらしい“機会”の広げ方/グラフィックレコーディング
リクルートらしい“機会”の広げ方/グラフィックレコーディング

宮下:最後に、皆さんにとって“機会とは?”という質問で締めくくりたいと思います。

駒:「自分の知らない土地に飛ばしてくれるもの」ですね。領域を超えて人と会える機会を使い倒すことで、普段の仕事では聞けない話をたくさん聞けたし、こうして今日の座談会にも呼ばれた。思ってもいない場所に連れて行ってくれる力があると思います。

桑原:私の機会との出会い方は、リクルートの企業CMで使われたキャッチコピーでもある「迷ったら、ドキドキする方へ。」という言葉がまさにそうです。心が動くほうを選んで挑戦していけば良い機会に巡り合えるんじゃないですかね。

福田:「機会は機会の顔をしてやってこない」、これに尽きます。後から振り返れば「あの時が転機だったよね」と語れるけれど、そのときは確信があるわけじゃない。だからこそ、今日話題に上がった「余白をつくる」ことや「直感を信じてとりあえずやってみる」ことが大事なのではないでしょうか。

プロフィール/敬称略

※プロフィールは取材当時のものです

駒 侑弥(こま・ゆうや)
リクルート ビューティDivision 営業5部 長野美容グループ

大学卒業後の2020年にリクルートライフスタイルへ入社。『ホットペッパービューティー』の営業として長野エリアを担当する。サッカー歴16年で、趣味はサッカースパイク集め。最近は鉄のフライパンを焦げ付かないように“育てる”ことにハマっている

桑原史帆(くわはら・しほ)
リクルート マリッジ&ファミリーDivision 領域推進部 インナーコミュニケーショングループ 兼 人事統括部 DEI推進室 企画統括グループ

大学卒業後の2009年にリクルートへ入社。『ゼクシィ』の営業、ビジョン策定プロジェクト、広報などを経験。二度の産休育休を経て、現組織へ。2022年にマネジャー任用され、DEI推進室も兼務する。5歳・3歳の娘の育児の傍ら、副業にも挑戦中

福田竹志(ふくだ・たけし)
リクルート 人事 HITOLAB(ヒトラボ)

大学卒業後の2004年にリクルートへ入社。『タウンワーク』の営業、営業企画、人事、経営企画などを経て、2020年よりリクルートの人と組織に関するR&D組織「HITOLAB」に所属。実家が老舗の日本料理屋。自身も料理が趣味で、腕前を買われてルワンダのフランス大使館で親子丼をつくったことも

宮下真衣子(みやした・まいこ)
リクルート コーポレートコミュニケーション企画統括室 コーポレートコンテンツマネジメント部 コンテンツクリエイションG

大学卒業後の2008年、リクルートに入社。『じゃらん』の営業・編集などを経験後、2018年より、リクルートホールディングスに所属し、リクルートグループの社内広報に。現在はリクルート全体のインターナルコミュニケーションを担当。8歳と4歳の2児の母。プライベートでは竹を使ったDIYにハマっている。副業にも挑戦中

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