『国際オリンピック委員会』アスリート委員 太田雄貴さんのリクルート考

『国際オリンピック委員会』アスリート委員 太田雄貴さんのリクルート考

泥臭い全力の経験もできる会社。アスリートにも経験の提供を

リクルートグループは社会からどう見えているのか。私たちへの期待や要望をありのままに語っていただきました。

※リクルートグループ報『かもめ』2024年4月号からの転載記事です

「気合い」に人もチャンスも集まり続ける

アスリートとして世界で戦い、31歳で一線を退いたタイミングで、日本フェンシング協会会長を引き受けることに。以来、周りの方に機会をいただき活かされて今があると感じています。

フェンシングを盛り上げるために、剣の軌道をデジタルの線で示す「フェンシングビジュアライズド」の導入や、劇場で実施した大会のプレミアムチケット完売、コロナ禍の無観客試合では発光ダイオード(LED)を活用した映像を生配信するなど、さまざまな挑戦をしてきました。そして今、NFTを活用したアスリート、サポーター、アーティストをつなぐ新たなコミュニティの立ち上げに邁進しています。

最近研修でリクルートの方々とご一緒しましたが、いつも刺激を受けています。何より、すごいのは大企業になってもベンチャースピリットが失われないところ。いつでも”気合い”が入っている感じがいいですね。人も企業も年齢を重ねると守りに入りがちですが、結局は”気合い入ってるな”という、光るものがある人に仕事もチャンスも集まる。

海外に行っても思うのですが、日本人らしく振舞っているだけで光る。時間を守る、ちょっとした気づかいができる人…そういった人材はそんなに多くはないので目立つのでしょうか。意外と皆、話も聞いてくれるし力を貸してくれる。最善策は常に検討しつつも戦略や戦術に溺れることなく、失敗を恐れず目の前の機会に‟気合い”を持って向き合うと、人脈もチャンスも自然に広がります。結果、創りたい世界を実現する道につながるのです。

決めるのは相手 臆せず機会は掴みに行く

江副記念リクルート財団 リクルートスカラシップ スポーツ部門 選考委員をお引き受けしたきっかけは、リクルートホールディングス代表取締役会長の峰岸真澄さんとの出会いから。あるパーティーでお会いし、後日改めてこのお話をいただきました。

リクルートのグローバルな事業展開と雑誌に掲載されていた峰岸さんのインタビュー記事に強い印象を受けていたので、思わず「お引き受けする代わりに、今後も年2回のランチをご一緒させてください」と申し出て快諾いただきました。以来、リクルートの『Airレジ』誕生のヒストリーを伺ったり、スポーツビジネスに関するご相談をさせていただくようになりました。

創業者の江副浩正さんの言葉で「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」という言葉があるそうですが、大変共感しています。私も以前は、忙しい相手に時間をもらうことを躊躇して言い出せずにいましたが、会いたい、やってみたい、と思うことがあれば、機会を取りに行きます。結果、会えなくてもそれは「相手が決めた」こと。先回りして自分に制限をかける必要はないと考え始めてからは、機会に積極的になれました。

「自分で決める」スタンスは見ていて本当に気持ちいい

アスリートの目標達成力は高いのですが、意外と目標を自分で決める機会は少ないと思います。地域、日本、アジア、世界…この一本道のなかでどこまで目指すかなんです。ところがビジネスや人生は、どこに旗を立てるかというところから自分で決めなければならない。アスリートとして輝けば輝くほど次の道が見つからないという悩みを抱える人も多いと感じています。

リクルートでは「あなたはどうしたい?」と問われると聞きます。リクルートのOBOGの起業家の方や、現役で在籍中の方々も皆さん「自分で決める」というマインドセットが高く、見ていて本当に気持ちがいい。

「どうしたいか」と問われ、答えることで責任が生じる。時に泥臭く、やれることは全方位で手を打っていくような地道な経験をしながら、周りの意見に耳を傾けインクルージョンしていくコミュニケーション力がトレーニングできる。世界を目指していた自分の20代を振り返っても、あの時期、誰とどのように過ごしたかが、その後の人生にとって尊い経験となっています。

今、財団を通じてアスリートやアーティストなどの活動支援がされていますが、今後はぜひ、彼らにリクルートでの社会人経験をシェアする支援も検討して欲しいと思っています。ある意味無理の利く20代のかけがえのない時期に、一本道の目標をひたすら追いかけるだけでなく、幅広い機会に触れ、そこで自らの目標を見出せるようになるための支援も必要だと感じています。

私も、もし人生をやり直せるなら、新卒でリクルートに入社したいと思っているくらいですから(笑)。

登壇者プロフィール

※プロフィールは取材当時のものです

太田雄貴(おおた・ゆうき)
国際オリンピック委員会 アスリート委員/国際フェンシング連盟 理事/江副記念リクルート財団 リクルートスカラシップ スポーツ部門 選考委員

北京2008オリンピック競技大会男子フルーレ個人で銀メダルを獲得し、日本フェンシング界初のオリンピックメダリストとなる。ロンドン2012オリンピック競技大会のフルーレ団体で銀メダル、2015年世界選手権では日本人初の金メダル獲得。現役引退後の17年、32歳で日本フェンシング協会会長に就任、数々の改革を手掛ける。21年より国際オリンピック委員会 アスリート委員、22年公益財団法人 日本オリンピック委員会理事に就任。22年より江副リクルート財団 リクルートスカラシップ スポーツ部門 選考委員を歴任。WIN3株式会社、Sports3プロジェクト発起人なども務める

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