リクルートの九段下オフィスに公園が出現!? 社内外を巻き込む“協働・協創の場”
リクルートは「価値の源泉は“人”」という考え方のもと、多様な個人が、社内外の枠を超えて出会い、協働・協創を生み出すことを目指しています。2024年4月、リクルート九段下オフィス内に誕生したコミュニティスペース「CO-EN9(コーエンナイン)」も、その思想から生まれたもの。 そこには、ジャングルジムにブランコ!? “新しい価値の創造”につながる場の活用を、リクルート従業員であるワークプレイス統括部・西田華乃と、RING事務局・阿部麻衣に聞きました。
公園に来たようなワクワク感で、自由な発想を生まれやすく!
― 九段下オフィスの中に”ジャングルジム”や”滑り台”が突然できていて、びっくりしました!
西田華乃(以下、西田):そうなんです。初めて見た方はびっくりしますよね。
ここ(リクルート九段下オフィス1階)は、新しくコミュニティスペース「CO-EN9」 (通称:「C9(シーナイン)」)として2024年4月にリニューアル。公園をイメージし、ジャングルジムなどの造形をつくり、5月には、ブランコやベンチ、木漏れ日を感じさせる照明も追加で設置しました。
― 大人もテンションがあがります! 会社のなかに“公園“をつくったのには、どういった狙いがあるのでしょうか?
西田:「CO-EN9」は、「CO-EN」(公園、Co-Encounter)と九段下の「9」をかけ合わせてつくった名前なんです。コンセプトは“人と人はつながって、語り合って、カオスになることで、見たことのない景色が広がり、おもわぬ自分と遭遇する。多様な個人が、好奇心を起点に社内外の枠を超えて出会い、協働・協創が生まれる場へ”。
そのため、より社内・そして社外にも開かれた場になるように、ふたつの特徴を設けました。
ひとつ目は、オープンスペースにすることで、偶発的な機会が生まれやすい場にしたことです。オフィスの一角に位置し、通り道からも見えやすいので「何が行われているのか」すぐに分かります。
ふたつ目は、自由な発想を生み出しやすくすること。ジャングルジムやブランコ、滑り台などリアルな造形をつくり、公園に来た時のようなワクワクを感じてもらうことで、多様なアイデアが生まれやすくなればと考えてつくりました。
― 確かに、広くて開放感があるので、チーム会議や社外の方とのイベントもしやすそうです。
西田:2021年に開設した九段下オフィスは、当初より地域や社会に開かれた場にしたいとの想いがありました。しかし、コロナ禍もあり一時的に断念。2023年に改めて、構想を再度検討する中で、リクルートブランドの企画・プランニングチーム、人事、広報、まなび事業部といったリクルート社内の皆さん、さらにはパートナー会社の方々と会話していく中で、現在の「C9」につながる目的・コンセプトが出来上がりました。
皆さんから出たアイデアのおかげで、リクルートが大切にしている価値観である“新しい価値の創造”を体現できる場になったと思います。
『Ring』と「C9」、“社内外との協働・協創”が共通の想い
― 『Ring』統括グループの阿部さんは、すでにこの「C9」でイベントを開催されたとか?
阿部麻衣(以下、阿部):はい。2024年4月に「C9」で、リクルートの新規事業提案制度『Ring』のイベントを行い、社内外の方に参加いただきました。
『Ring』は起案リーダーがリクルート従業員であれば、社外の方も参加することができます。「C9」のコンセプトである“社内外との協働・協創”は、まさに『Ring』でも大切にしてきた想い。
これまで以上に、社外の方との関わりを積極的に増やしていきたいと考えていたタイミングで「C9」が完成するという話を聞き、ぜひその場所で『Ring』イベントを開催したいと思いました。
― 4月開催のイベントは、どのような内容だったのでしょうか。
阿部:「リクルートの戦略と企業文化」というテーマのトークイベントで、リクルートや『Ring』がどのように新しい価値を生み出してきたのかを、ゲストの方とディスカッションしました。数年前から、ビジネススクール(MBA)との協働起案を推進しており、社外からも多くの方が参加してくれました。
― イベントの場として、「C9」はいかがでしたか?
阿部:一般的な会議室のようなつくりではないので、みんながフラットな関係になりやすいですね。その時のイベントレイアウトは、真ん中に登壇者がいて、まわりを360度、参加者がグルっと囲む形。席順は決まっておらず、カジュアルな雰囲気なので、皆さん隣になった方と自然に会話を弾ませていました。
何気ない会話から、人と人との出会いが生まれ、そこから新たなビジネスが誕生するかもしれない。『Ring』のプログラムでは、他者との対話やフィードバックを通して自身の視野・視座・視点を広げていくことを大切にしていますが、「C9」は、そんな『Ring』の思想を体現してくれる場であると、改めて感じました。
― 参加した方からも、オープンスペースで、ベンチもたくさんあり、会話も盛り上がったとお聞きしました。
阿部:そうなんです。至るところに遊び心あふれるモチーフがあって。気負うことなく、公園に遊びに来た気分で過ごせますよね。参加者の方からも、「楽しかった」「緊張することなくリラックスできた」という声が多かったです。また、「意図せず周辺に集まったメンバーで会話することで、普段発生しない会話や考え方に触れることができました」という声もいただき、「C9」で開催した効果も大きいのではないかと思っています。
― 「C9」という場所だからこそ、深まるものがありそうです。
阿部:今回のイベントのように、異なる環境、さまざまな価値観に触れ合い接点を持つことで、双方に新たな”気づき”が生まれるはず。 そこから、よりよい“協働・協創”が生まれていくのでは、と思っています。
実際、イベントの懇親会では、リクルートの卒業生である西山さんのお店にケータリングでカレーをお願いしました。西山さんはリクルート在籍時、『Ring』で教育事業(現:スタディサプリ)を共同起案し、事業化した方なんです。
― いろんなご縁が、つながっているのですね!
阿部:はい。しかもその日のイベントは、リクルートのビジネスモデルや戦略史といった内容。西山さんからも、貴重なお話を聞くことができました。リクルートが掲げる、会社という場をCOENにしていく、という思想のように、好奇心を起点に、社内外の垣根がなく、会社を卒業した後もよい関係性が続いていく。 これも“リクルートらしさ”ですよね。
また、「C9」にはリクルート創業時の社章にあったカモメのモチーフが飾られているんです。「新しい空間でありながら、リクルートが創業当初から大切にしてきた想いが共存している場」だとも感じました。
さらなる、“新しい価値の創造”を目指して
― 「C9」が目指していた世界観を、『Ring』イベントなどで具現化されていると感じました。今後も「C9」を活用したイベント予定はありますか?
阿部:はい、ひき続き『Ring』関連のイベントは、「C9」でも開催していきたいと考えています。
例えば『Ring』にはビジネススクール生をはじめとした、大学院生、学校の先生など多岐にわたる方々が毎年100名以上、社外からも参加されています。リクルート従業員だけでなく、そのような社外の皆さんとも積極的に交流できる機会をつくりたい。初めての方でも気軽に参加できる、ワークショップのようなものを開催するのにも適していそうです。
― 西田さんは今後、「C9」の活用をどのように考えていますか?
西田:「C9」がある九段下という地域との共生の観点で、オフィスを開かれた場にしたいと考えています。セキュリティ面など考えるべき課題はありますが、地域の方に、もっと気軽に「C9」に入ってもらえる仕掛けも検討しています。
― 単に「働く場所」としてだけではない、“オフィスのあり方”が広がりますね。
西田:はい。阿部さんが言っていたように、リアルなコミュニケーションが、人と人との出会いにつながり、そこから新たなヒントやビジネスが生まれることも。「C9」がより一層、リクルートが大切にしている価値観である“新しい価値の創造”につながる場になれば嬉しいです。
登壇者プロフィール
※プロフィールは取材当時のものです
- 西田華乃(にしだ・かの)
- 株式会社リクルート ワークプレイス統括室 ワークプレイス統括部 ファシリティ・HRグループ マネジャー
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化粧品メーカーでの流通営業担当を経て、2006年に入社。総務部門にて全国にある事業所のファシリティマネジメントに従事。自然災害・感染症の各種リスク対策や社内イベント対応など総務全般に携わる
- 阿部麻衣(あべ・まい)
- 株式会社リクルート 経営企画 リクルート経営コンピタンス研究所 RING事務局 RING統括グループ
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総合人材サービス会社の人事部にて、社内研修などを担当。その後、PRプランナーとして活躍し、2018年入社。現在は、新規事業提案制度RING事務局にて、主にイベント企画や社内外への発信を行っている