アパレル業界での販売を経験後、2018年リクルートに中途入社した眞部美樹。現在は営業チームのリーダーとして活躍する眞部だが、営業として働き始めた頃は退職も考えるほど、仕事が上手くいかなかったという。美容院の経営者の方々に業務支援・経営支援のご提案を踏み込んでできるようになったのは、かつての上司との1on1がきっかけだった。

営業1年目、目標数字は毎月未達成。周りと比較して出来ない自分に焦る日々

高校卒業後、アパレルショップで5年間働いていました。ここで十分やりきったと思った私は、次は無形商材の営業に携わってみたいと考え、リクルートの営業に挑戦することにしました。しかし、実際に入社してみると、想像以上に苦戦してしまったんです。

私は当時23歳で営業未経験でしたが、同時期に中途入社した人は年上ばかり。営業経験がある人もいて、私は明らかに立ち上がりが遅れていました。毎月の営業目標は未達成ですし、新しいお客様から受注をいただくのも同期で一番遅く、成果が全く出せません。入社時に「営業に向いていそう」と期待の言葉をかけてくれた先輩もいたのに、自分の不甲斐なさに気持ちは焦るばかりでした。

何を変えればいいのか分からず「営業には向いていない」と思い始める

でも、私にはこの状況を脱するためにどうしたらいいのかが分かりませんでした。周りに迷惑をかけたくないし、期待されているのに弱みを見せてはいけない。がっかりされてしまう気がして、ひとりで抱え込んでいました。そんな調子なので、自分の何がいけないのかも分からず悩む日々が続きます。入社3月目に、所属部署で新人育成期間終了の証である「一人前検定」に臨みましたが、不合格でした。「私はこの仕事に向いてないんだ」「もう辞めようか」と逃げる気持ちすら芽生え始めていました。

上司との1on1で気づいた、自分の抱え込みグセ

そんな時、上司と定例の1on1をしていると、振り返りながらこう言われたんです。

「眞部さん、何でもひとりで抱えて身動きがとれなくなっていないかな。もっと失敗してもいいんじゃないか？」と。

それまでの私は、営業＝個人プレイのようなイメージがあり、何でも自分の力で解決せねばと思い込んでいました。また、お客様から断られたらと思うと、あと一歩踏み込んだ提案ができませんでした。でも、この時上司に言われて初めて、周囲を頼ってもいいと気づいたんです。

1on1で仲間の温かさにも気づき、失敗観が180度変わる

そして上司との1on1では、同じチームの先輩たちがどれほど私のことを気にかけているかも伝えられました。先輩方は新人の私を支えたい、助けたい。でも人の力を借りてはいけないと思っていた私は、目の前で先輩が手を差し伸べていても、その機会に飛び込めなかった。そのせいで先輩もはがゆい思いをしていたと分かったんです。

そう気づいてからは頼らないほうがむしろ失礼だと感じるようになりました。もっとチームに相談をしよう。たとえ失敗しても皆にアドバイスをもらって再チャレンジを繰り返せば、いつか成功できるかもしれない。皆がいてくれるなら、失敗も怖くない、そう思えるほどになりました。自分ひとりで抱え込むのを止めて、できない自分を認めて、周囲の力を借りようと心に決めた瞬間でした。

先輩の力は、借りるもの！ 苦手だったはずの新規営業が得意に

それからは、積極的に自分から先輩に声をかけて、商談のロールプレイングに付き合ってもらうようになりました。心配してくれた人たちに恩返しがしたいと思いながら、がむしゃらに取り組むうちに、徐々に成果も出始めました。入社4目には『ホットペッパービューティー』に関わる営業のなかでベスト11にも選出されました。入社当時、誰よりも苦戦した新規の営業成績が上位だったことが、選出理由でした。

チームリーダーになって伝えたいのは「失敗しても大丈夫」だということ

そして今、私はチームリーダーとして新人を迎える立場です。あの頃の経験があるからこそ、私は立ち上がりに苦戦している人がいると、「私も同じだったよ」と伝えるように。失敗したって大丈夫だから、絶対に私が受け止めるから、もっと頼って欲しいと話しています。

そして2023年4月に初めての異動を経験。生まれ育った香川から、岡山に引っ越し、私自身も新しい環境でチャレンジしている最中です。上手くいかないこともあるかもしれませんが、今は素直に周囲の皆さんを頼りながら、あきらめずに粘り強くやりきる気持ちで臨んでいます。