「注意したら傷つくかな?」初めてリーダーの怖さを乗り越えた話

「注意したら傷つくかな?」初めてリーダーの怖さを乗り越えた話

リクルートで営業部署のメンバーマネジメントを担う荒井 慧。自身のマネジメントスタイルの在り方が変わった背景にはある出来事があったと言います。

率先垂範、目標必達! ベストを尽くしていたが…

同世代と切磋琢磨しながら成長したいと、前職の印刷会社からリクルートに入社しました。入社後は配属された営業部署でお客様にとことん向き合い、営業を楽しむ日々。だんだんとスキル面で自信もついてきて、入社5年目にチームリーダーに任用されました。

リーダーになってからは、メンバーにも高い行動レベルを要望。自分だったらこう育てられたいと思うマネジメントを実践し、自分なりの理想のリーダー像を実現しているつもりでしたが、メンバーの個性が花開くような後押しはできないまま半年が過ぎていました。

そんなある日、メンバーの仕事のミスでお客様への謝罪に伺うことに。私も同行したその帰り道のこと。メンバーの認識不足から起きたミスでしたが、そのメンバーが自らのミスを棚に上げ、お客様非難とも取れるような愚痴をこぼしたのです。発言そのものも、その背後にある他責なスタンスも、普段からお客様に本気で誠実に向き合ってきた私にとっては見過ごせないものでした。

スタンスにまで踏み込んで良いのか…葛藤の末の決断

そのまま「ちょっといいかな?」とメンバーを喫茶店に誘ってみたものの、内心は迷っていました。リーダーとしても人間としても未熟な自分が、人のスタンスに言及していいのだろうか。スタンスの指摘はスキルと異なり、その人の人間性に近い部分だからこそ、傷つけてしまうかもしれない怖さもあります。

でも、そのメンバーが成長したいともがきつつも、なかなか結果に結び付かずに苦労している姿も知っていました。ここで自らを省みるきっかけを作らないと、本人の成長につながらない…。リーダーとして真剣に言うべきことを言わなければと、勇気を出して踏み込みました。

「人格否定になりそうで怖いと思いながら、今からかなり突っ込んだことを言うんだけれど、さっきの発言はとても残念だったよ。もしお客様があなたに厳しい態度を取っていたとしたら、それはあなたの今までの接し方がそういう態度を作ってしまっていたのかもしれないよ」と。

すると、ムっとしてもおかしくない諫言をメンバーはまっすぐに聞き入れてくれ、涙交じりに気持ちを打ち明けてくれました。「前にも他責思考についての指摘をもらったことがあって分かっていたつもりなのに、私の未熟さで同じことを繰り返してしまって悔しいです。あれ、なんで荒井さんが泣いているんですか…」。

いつの間にか自分ももらい泣きしていました。こんなふうに感情を出して接したのは、リーダーになって初めてでした。今までは自分の気持ちを見せることも、メンバーに勇気を出して踏み込むこともできていなかったと気づいたんです。

その出来事を経て、メンバーはスタンスが変わり急成長しました。難しい営業目標にも前向きにどんどん挑戦するアクションが増え活躍するように。そして私も涙を見せたことで鎧が剥がれ、チームメンバーに自己開示しながら相談し、信じて委ねるマネジメントができるようになりました。

勇気を出して一歩踏み込む。葛藤してからが本番だ

マネジャーになった今思うのは、本気で向き合い続けることの大切さ。本気で仕事をし、相手に踏み込まなければ、その人の一生のなかで本当に意味を持つ成長支援はできないと思います。自分が本気だからこそ迷いや恐怖は生じるし、むしろ葛藤してからが本番。葛藤しながらも前に進もうとするその姿に人はついていきたいと思うのではないかと考えるようになりました。

だから私はこれからも迷う姿も見せながら、メンバーと一緒に育つマネジャーの仕事の面白さを伝え、ともに進んでいけたらと思っています。

リクルートでマネジャーを務める荒井慧

登壇者プロフィール

※プロフィールは取材当時のものです

荒井 慧(あらい・けい)
株式会社リクルート まなび進学情報Division エリア高校進路支援部 東日本グループ

印刷会社を経て2013年リクルートマーケティングパートナーズ(現・リクルート)に入社。以来進学領域の営業として、首都圏エリアを担当。2018年ジュニアチームリーダー、2019年にチームリーダーに。2020年マネジャー任用とともに仙台拠点に異動。2023年4月よりエリア高校進路支援部を兼務

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