地方の中小企業で広がる、リモート副業人材活用とは? 「ふるさと副業」個人のエントリー数前年比5.79倍 参画企業のうち半数以上が採用成功
コロナ禍以降、首都圏のみならず、全国的にリモートワークが浸透しています。これにより、首都圏以外の地方企業でも副業人材活用が広がっています。
その兆しは『サンカク』が運営する、副業マッチングサービス「ふるさと副業」の参画企業数、個人エントリー数にも表れています。首都圏企業と比較し、出遅れていた事業活動のオンライン化が地方企業でも浸透。以降、地方企業の副業人材活用が増えているのです。
北海道、東北、中国・四国、九州まで、全国各地から「ふるさと副業」に参画する企業が増加。2021年度は2020年度と比較し、参画企業数は7倍以上、副業受け入れ決定人数は9倍以上、個人のエントリー数は5倍以上に増加しています。
また、「ふるさと副業」が2021年に開催したオンラインマッチングイベントでは、参画企業の半数以上が採用に成功するなど、高い採用成功率も特徴となっています。通常の正社員採用などでは知名度や勤務地の問題で募集に苦労している企業であっても、【リモート×副業】採用という形での募集に切り替えることで、想定以上の応募が集まり、副業者の受け入れにつながるという事例も多数生まれています。
今回は、そういった「地方の中小企業で広がるリモート副業人材活用」について、実際に「ふるさと副業」を活用し、副業者を受け入れている企業にお話を伺いました。
「ふるさと副業」で副業者を採用し、経営課題を解決
●株式会社マルサ(新潟県三条市 製造業) 従業員数47名
新商品開発担当を副業で募集。応募者20名の中から2名を副業者として受け入れ
受け入れ副業者・大手電機メーカーの商品開発(30代男性)
・大手IT企業の事業企画(20代男性)
——「ふるさと副業」を活用されたきっかけをお聞かせください。
当時、新商品開発業務を私一人で担当していましたが、開発スピードを上げるべく、商品開発担当者の採用を検討しておりました。ただ、正社員での採用の場合、期待する成果が得られなかったときのことを考えると悩ましく、進め方に迷っておりました。そんな中、『リクルートエージェント』の営業担当者から「ふるさと副業」の提案を受けました。副業であれば、自社でもできそうだと思い活用を決めました。
——実際に副業募集を開始してみていかがでしたでしょうか。
まず、大手企業で開発知見を蓄えた方からたくさんの応募があり、驚きました。商品のアイデア出しから要件設計、マーケティングまでを副業者にお願いしたいと思い、1名の採用を想定していましたが、結果的に2名の方を副業者として受け入れることに決めました。「ふるさと副業」を通じて行った座談会では、事前に資料を準備した上で提案をしてくださる候補者もいらっしゃり、お互いを深く理解した上で採用を決めることができました。
——副業者様の入社後のご活躍状況はいかがでしょうか。
副業者の方には、知見を基に、マーケット調査やアイデア出しを推進していただいています。これまでは、商品開発業務の決まったルーティンというものはありませんでした。商品開発のプロセスを協働いただくことで、自社ならではの商品開発のルーティンやフレームワークが整備されました。これは想定していませんでしたが、大きな副産物だと感じています。
——活用されてみて感じた「ふるさと副業」の良いところをお聞かせください。
座談会の場でお互いを深く理解した上で、副業をお願いする方を決められた点がとても良かったです。座談会では通常の面接よりもカジュアルな雰囲気で多くの方とお話しすることができました。対話を通して、候補者の志向性やリアルな考え方に気付くこともでき、採用可否検討の参考になりました。例えば、大企業で稟議や承認に時間がかかって、思うように業務が進められないという方には、当社ではその障壁は低いため、楽しく働いていただけるだろうなと考え、そうした点を訴求しマッチングに至りました。
●株式会社岡野(福岡県那珂川市 呉服業)従業員数40名
新規事業の戦略企画担当を副業で募集。応募者34名の中から2名を副業者として受け入れ
受け入れ副業者・飲料メーカーの経営企画(30代男性)
・大手IT企業の営業マネージャー(30代男性)
——「ふるさと副業」を活用されたきっかけをお聞かせください。
これまで着物事業をメインに運営してきましたが、着物の材料である絹にまつわる新規事業立ち上げを企画していました。着物とは全く別の市場・領域で、事業の形を作るところからのスタートであったので、正社員採用はなかなか難しいだろうと考えていました。そんな中、「ふるさと副業」を知り、副業であれば可能性があるのではないかと考え活用を決めました。
——実際に副業募集を開始してみていかがでしたでしょうか。
通常の正社員採用の募集と異なり、多くの方からの応募があり驚きました。本社所在地が都市部から離れているため、正社員採用では募集に苦労をしていたんですよね。副業であれば、リモートで働けるため勤務地の懸念は取り払われるのだと実感しました。むしろ、地場で伝統を守る会社として好意的に捉えてくださる候補者もいらっしゃり、新たな気付きを得ることができました。34名もの応募があり、座談会で多様な提案をいただく中で、2名の副業者の受け入れを決めました。
——副業者様の入社後のご活躍状況はいかがでしょうか。
現在は週に1回のミーティングをベースに、販売戦略の策定を進めていただいております。2名の異なるタイプの副業者を受け入れたことで、色んな角度からアイデアを出していただき、相乗効果も感じています。着物事業は、40~50代の女性がメインターゲットなので、食品事業も同様のターゲットと考えておりましたが、副業者の経験や知識を基に、20~30代向けの販売戦略に切り替えました。これまで新規事業の業務は、後回しになりがちでしたが、今は副業者が責任を持って推進してくれるので助かっています。
——活用されてみて感じた「ふるさと副業」の良いところをお聞かせください。
「ふるさと副業」の担当者のサポートがあったので、原稿掲載から募集開始までスムーズに進めることができました。また、座談会を通して候補者の経験や人柄を深く把握することができました。おかげで「理念を重視する思考」をお持ちの方と「プロダクト中心の思考」をお持ちの方といった、異なるタイプの副業者を同時に受け入れることができ、うれしく思っています。座談会時にご提案いただいた内容も実際のプロジェクトにつながっています。
●環境緑花工業株式会社(青森県八戸市 造園・土木業、植物工場事業) 従業員数30名
新事業の野菜の販路開拓担当を副業で募集。応募者44名の中から1名を副業者として受け入れ
受け入れ副業者・経営企画業務経験者(40代男性)
——「ふるさと副業」を活用されたきっかけをお聞かせください。
これまで苦戦していた植物工場の立て直しを考えたのがきっかけでした。当初は植物工場のマーケティングポジションで正社員採用を検討していたのですが、求める要件も高いため、なかなか難しそうだなと考えておりました。そんな中、「ふるさと副業」を知り、副業であれば優秀な方に参画いただける可能性もあるのではないかと考え、活用を決めました。
——実際に副業募集を開始してみていかがでしたでしょうか。
想像をはるかに超える数の応募が集まりました。地方企業で知名度も低いということもあり、正社員募集ではなかなか応募を集められませんでしたが、「ふるさと副業」では40名を超える応募がありびっくりしました。「地元のために貢献したい」「マーケティングスキルや経験を生かしたい」といった候補者の熱量の高さもうれしかったです。転職と副業だと候補者の応募の考え方も大きく異なることを実感しました。
——副業者様の入社後のご活躍状況はいかがでしょうか。
副業者の方がこれまでの経験を生かしながら、販路開拓のため現地での徹底した情報収集と営業活動をしてくださっています。100を超える飲食店から情報収集をしたところ、特定の種類の野菜が市内に流通しておらず、飲食店が仕入れに苦労していることが分かりました。その野菜を飲食店に直接届ける手法に切り替える戦略を提案していただき、その戦略が今は軌道に乗り始めています。実際に現地に赴き、頭だけでなく、手も足も動かし活躍いただいている姿を本当にうれしく思います。
——活用されてみて感じた「ふるさと副業」の良いところをお聞かせください。
座談会では、それぞれの方が色んな角度から解決策を提案してくださったので、どの方を副業者として受け入れるのか、良い意味で非常に悩みました。その中で、ただアドバイスをする立場ではなく、「一緒に苦しみたい」という思いを持つ方を受け入れることに決めたのですが、座談会という形であったからこそ、候補者の思いの深さを知ることができたのかと思います。経営者として孤独を感じることも多かったので、テクニック論だけではなく、「どういう会社にしたいか」ということも相談できる方を受け入れられたことはとてもうれしく思います。
副業人材活用で広がる、地方企業と個人の新しい可能性
「まだ副業人材活用をしたことがない」「副業人材活用に関心はあるが迷っている」そんなお悩みをお持ちの方は、一度副業募集を試してみるのはいかがでしょうか。通常の採用選考ではなかなか出会えないような人材と、出会える機会が広がるかもしれません。
「ふるさと副業」の場合は、企業の現状や課題を踏まえた上で、どんなポジションで、どのような要件で副業募集をするべきかなど、募集設計から手厚くサポート、マッチングイベントの開催まで支援させていただきます。『サンカク』のデータベースに登録されている約7.7万人の経験豊富なビジネスパーソンの中から集客が可能なため、安心して募集を開始することができます。
コロナ禍という予期せぬ事態に直面し、多くの企業や個人が働き方を見つめ直しました。地方の企業であっても【リモート×副業】という形で、都市部の人材に参画いただける手段がある今、地方企業の副業人材活用はますます活発化していくのではないでしょうか。
今後も「ふるさと副業」の取り組みを、さまざまな地方・産業へ広げていき、企業と個人の可能性が広がるような、新しい出会いのきっかけを紡いでいきたいと考えています。