リスク対策とビジネス成長は相反しない! クオリティコーディネートという仕事への挑戦

リスク対策とビジネス成長は相反しない! クオリティコーディネートという仕事への挑戦
「リクルートのプライバシーへの取り組みとは? カスタマーに正々堂々と公開できる仕組み創り」で紹介されていた「クオリティコーディネート(QC)室」。2020年8月、プロダクト責任者とともに、商品・サービスの品質をマネジメントする組織として新設され、リスクマネジメントとビジネス成長の両方を支援している。日々、どんな思いで仕事に取り組んでいるのか、QC室で働く赤川さや香に聞いた。

クオリティコーディネートという新しい職域が誕生

―クオリティコーディネート(QC)の役割をどう捉えているのか教えてください。

赤川:まず、ビジネスの前提として、より良いサービス・商品を提供するためには、日々の仕事のなかで攻守のバランスを取ることがとても大事だと考えています。例えば、新技術を取り入れる場合、今までにないサービスを生み出し、競争優位性も作れるという「攻め」の観点があります。その一方で、その技術が「新しすぎて世の中に理解されない」「誰かのプライバシーや権利を侵害するかもしれない」といったリスクをはらみ、「守り」の観点が求められます。ビジネスの成功を目指す「攻め」とリスクをマネジメントする「守り」は表裏一体。リスクを取り過ぎると、世の中があっと驚くようなサービスは生まれないし、リスクをないがしろにすると誰かを傷つけてしまうサービスにつながりかねません。リクルートが展開しているビジネスを理解し、世の中の多様な視点を踏まえた上で攻守の最適なバランスを考え提案し、社内の合意形成を取ることが、QCの役割だと捉えています。

―なぜ、QCのような仕事がリクルートに必要だったのでしょうか?

赤川:自分もそうですが、リクルートで働く誰もが「世の中に価値あるサービスを提供したい」「誰かに喜んでもらいたい」と思い、仕事をしています。それ故に、「今、自分の目の前で困っているカスタマー(個人ユーザーや読者など)を助けたい!」という気持ちが強いあまり、世の中には異なる価値観を持つカスタマーもいるということを、見落としがち。加えて、リクルートのサービスにはクライアントの存在(サービスを購入して導入する側の企業や団体、広告掲載主など)もあります。クライアントの先にいるカスタマーのプライバシー保護をどれだけ想起できるかが求められます。商品・サービスの企画・検討プロセスにQC室が入り、一歩引いた立場で、世の中の多様な視点を意識しながら、リスクや法的観点を検討する専門家とビジネスサイドとの翻訳機能を果たす役割が必要だったのではないかと思います。カスタマーのプライバシーを大事にしながら、カスタマーが想定しない、期待しないことはしない。それが、結果的にクライアントの価値向上にもつながっていくと考えています。

リスクや法的観点を検討する専門家とビジネスサイドとの翻訳機能を果たす、クオリティコーディネート室の赤川さや香

全方位コミュニケーションで、一次情報を収集

―QCの仕事をするなかで意識していることは何ですか?

赤川:攻守の最適なバランスを導き出すために、自ら現場に出向き一次情報の収集を徹底しています。現場から経営層までの階層横断はもちろん、部門横断という意味では企画・開発・営業など事業に関わる部署からリスクマネジメントに関わる専門部署まで、さまざまな人とコミュニケーションを取り、現状理解に努めています。例えば、新しい施策の担当者には、どんな目的で何を実現したいのかについて、プロダクト開発責任者が気にしそうなポイントも意識しながら、じっくり話を聞きます。「リスクマネジメントの担当役員は、このケースだとこういうことを質問するだろうな」「経営層と現場には、ここにこういうギャップがありそうだな」といったことも、常に考えています。だから、情報の収集も整理の粒度も、とても細かいです。

世の中からの見られ方と私たちの思い

―赤川さんの仕事に対する情熱はどこからやってくるのでしょうか?

赤川:「世の中に良いサービスを提供したい」「誰かの役に立ちたい」と思い働いているリクルートの人たちが好きなんだと思います。リクルートのサービスは、多くのカスタマーやクライアントに支えていただいています。喜んでくださる方がいる一方で、不快な思いをされた方も恐らくいらっしゃると思います。配慮不足や誤解、法や規制への抵触から大きな企業ブランドの毀損につながってしまう。そのことで、サービスに関わる従業員の思いが伝わらず、もったいなさや歯がゆさを感じることもあります。リクルートのファンをもっと増やしたい。そのためにも、カスタマーのプライバシーを大事にしながら、信頼される商品・サービスの品質を追求し続けることが大事だと思っています。

―今後、QCとしてどんな役割を果たしていきたいですか?

赤川:設立当初から比べQC室のメンバーは、兼務者を含め約2倍に増えています。担当事業や専門領域の異なるメンバーが集まることで、より多様な視点を持てるようになっています。私はリクルートに入社以来、主にマーケティングやCRM(顧客関係管理)の仕事をしてきたので、カスタマーの感じ方が気になるほう。一方で、開発やセキュリティの仕事を専門にしてきたメンバーは、それぞれ異なった気になるポイントがあり、互いに新たな学びが生まれています。それぞれの視点を共通認識化しながら、組織としても進化しているところです。ビジネス成長とリスクマネジメントの両方を支援するクオリティコーディネートという職域の可能性をさらに広げていきたいと思っています。

クオリティコーディネート室の職域の可能性を拡げるチャレンジをしている赤川さや香

プロフィール/敬称略

※プロフィールは取材当時のものです

赤川さや香(あかがわ・さやか)

株式会社リクルート プロダクト統括本部 プロダクトマネジメント統括室 クオリティコーディネート室

2007年リクルートに入社。人材領域の広告営業や商品企画・Web集客を経て、販促領域でCRMを担当。その後、リクルートID戦略にて横断的なCRMやリスク関連の業務に携わり、20年8月に発足したクオリティコーディネート室へ。6ヶ月間の産休・育休を経て現部署に復帰

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