美容業界を、イキイキと長く働ける世界に『ホットペッパービューティーアカデミー』の美容専門学校生向けキャリア講座
美容業界において、大きな課題である「離職率の高さ」。その課題解決のために、必要なものとは? キャリアの“入口”にいる美容専門学校生向けに「キャリア講座」を行う、『ホットペッパービューティーアカデミー』丸山 紀に話を聞いた。
※講座対象者である「美容専門学校生」は、美容師を中心に、理容師・ネイリスト・アイデザイナー・エステティシャン・メイクアップアーティストなど美容系の職業に就くことを目指している学生です
就職先との「ミスマッチ」は、どこで生まれる?
―「キャリア講座」が生まれた背景を、教えてください。
丸山:ホットペッパービューティーアカデミー』では、「美容の未来のために、学びと調査・研究を」というビジョンを掲げ、業界のさまざまな課題に取り組んでいます。その業界課題のひとつに、離職率の高さがあります。実は、美容業を含む「生活サービス関連業・娯楽業」は、3年以内離職率が57.2%(出典:厚生労働省ホームページ「新規学卒就職者の離職状況」平成31年3月卒業者)。離職の根源に、美容専門学校生と就職先との「ミスマッチ」があると考えます。
美容専門学校生の就職活動は、学校からの紹介のほか、友人など身近なところからだけで情報収集をしている人が少なくありません。また昨今は、特定の人のSNSだけを見て判断する人も多い。もちろん、そういった情報収集も必要なのですが…。たくさんのサロンを比較検討できるインターネットの情報を活用できていない現状の裏には、そもそも「探し方がわからない」人が多いと感じました。
そこで、2023年2月にリリースした美容業界の求人・転職情報検索サイト『ホットペッパービューティーワーク』に合わせて、美容専門学校で「キャリア講座」を実施することにしたんです。
―『ホットペッパービューティーアカデミー』がサロン経営に必要な情報を提供するなどの支援を行っていることは知っていましたが、サロンとスタッフのミスマッチを防ぐということも、支援になり得るということなんですね。どのような講座内容ですか?
丸山:まず、実際に美容業界で働く方々や離職者の現状を、データを用いて解説。そこから見えた課題から、就職活動をするにあたって大切なことは何かを、一緒に考えていきます。たとえば、働く時間を充実したものにするために「WCMの法則(Will:やりたいこと、Can:できること、Must:すべきこと)」を使って、キャリアの考え方に対するヒントを伝えたり。ほかにも、就職後のギャップをなくすために、どのような視点でサロンを選ぶべきか? また『ホットペッパービューティーワーク』の使い方から、サロン見学の重要性まで…。各学校の進路指導スケジュールや、開催形式(開催時間)によっても変わってきますが、大枠はこのような形です。
『ホットペッパービューティーワーク』は、『ホットペッパービューティー』に付随するサービスなので、サロンの“リアルな情報”を把握することができます。たとえば、各サロンの「人気メニュー」がランキングでわかるので、自分が身につけたい技術を習得できる場があるか? 「口コミ評価」や「客層」から、各サロンに来店しているお客様の性別や年代の割合がわかるので、自分が実際に働いたときに対応するお客様のイメージを感じとれます。
ちなみに、美容従事者に聞いた退職理由の1位は「仕事内容(18.6%)」、2位が「人間関係(18.0%)」(出典:株式会社リクルート『ホットペッパービューティーアカデミー(美容就業実態調査2022)』。「自分に合ったサロン」を見つけることができれば、長くイキイキと働くことができますよね。
キャリア講座を受けた学生の「心の変化」
―開始から半年ほどたちますが、実際に講座を開催してみて、学生の反応はいかがですか?
丸山:講座後アンケートを行っていますが、ありがたい声をたくさんいただいています。一部を抜粋すると…「どんな点を意識して就職活動を行っていくべきか、考えやすくなった」「WCMの法則や、サロン選びのコツを聞いて、自分に足りていなかったことがわかった」「美容師は離職率が高い職業になっていたので、考え方を変えて、離職しない働き方に自分から動いていくことが大切」「出産などを経験しても、復帰できる環境があると知った。美容業を長く続けていきたい」など。
このキャリア講座が、一人ひとりの未来につながっていると実感できて、とてもうれしかったですね。学生の皆さんもそうですが、先生方も喜んでくださって、励みになりました。
―一方で新しい取り組みです。形にする上で、大変だったことはありますか?
丸山:美容専門学校生は国家試験に向けて忙しいので、カリキュラムのなかに講座の時間をとることが難しい面はありました。なので、講演時間が異なる複数のパターンを用意しました。さらに、リクルートには学生の進路選択プロセスの支援をしてきた事業部があるので、そちらの知見も取り入れて、「自分の志向性を知るためのワークショップ」も開催。それぞれの専門学校の課題に応じて、幅広く対応しています。
キャリア講座を通して、ユーザーの笑顔も増やしたい
―今後、「キャリア講座」を通して、どんな未来を実現したいですか?
丸山:現在19校・約3,000名の方に向けて開催しましたが、おかげさまで専門学校からの反応もよく手応えを感じているため、今後はより多くの学校で開催したいですね。
ひとりでも多くの学生の方にとって、就職の際のミスマッチが減り、サロンで働く方々の定着率を高めていけたら嬉しいです。美容業界で働きたい学生が、自分に合ったサロンに出会い、イキイキと長く働き続けられる環境であれば、サロンを利用したお客様の笑顔も増える。それが、「日本中の街にBeauty Smileを。」という『ホットペッパービューティー』のビジョンにもつながると考えています。
プロフィール/敬称略
※プロフィールは取材当時のものです
- 丸山 紀(まるやま・のり)
- 株式会社リクルート ビューティDivision リサーチ&アカデミーグループ
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社員教育や研修制度設計などを行う人材教育関連の会社に従事後、2012年リクルート入社。『ホットペッパービューティー』の広告営業を経て、営業責任者として延べ200名を超えるマネジメントに携わる。2022年4月より現職