お正月に休める店に。とある飲食店が『Airシフト』の導入でかなえたこと

お正月に休める店に。とある飲食店が『Airシフト』の導入でかなえたこと

リクルートでは、提供する各サービスの垣根を越えた協働による、新たな価値の創造に取り組んでいます。HR(人材事業)領域で岡山を拠点に求人媒体を担当する溝口 稜が、フランチャイズ事業を中心に飲食店を多店舗展開する、とある企業(A社)を訪問したのは1年ほど前。

同社が店舗スタッフの人員配置やシフト管理に課題を抱えていることを知り、シフト管理サービス『Airシフト』の導入を提案、運用定着までサポートした結果が出ています。『Airシフト』の社内関係者と協働しながら、クライアントの課題解決・経営改善のためにできることを探しながら伴走した日々を振り返ります。

「シフトが上手く回らず店長が疲弊している」そんなクライアントの声から始まった

― 溝口さんは、HR領域で『タウンワーク』などの求人媒体の営業担当をされていますが、領域を超えてA社に『Airシフト』の導入提案をされたのにはどのような経緯があったのでしょうか?

溝口:もともと、私がA社を訪問したのは求人媒体のご提案のためでした。しかし、新しいスタッフを募る以前に、店舗運営におけるシフト管理や人員配置に課題を感じていらっしゃるという話を伺い、求人に関わらずリクルートとして何かできることはないかと思案。シフト希望の収集とシフトの作成、配布までの全てを、ひとつのサービス上で完結できる、リクルートが手掛ける業務支援サービスの『Airシフト』をご紹介したところ、興味を持っていただけたんです。

― 具体的には、どのようなことにお困りだったのでしょうか?

溝口:当時、A社が運営している飲食店では、店舗数拡大の影響を受けアルバイト・パートスタッフの人員を増やしていましたが、その影響もあって、各店舗の店長が行っているシフト作成やシフト管理に負荷がかかっている状態でした。

また、来店客数が多い時間帯にはスタッフが足りなくなっていることもお困りごとのひとつでした。「トータルのスタッフ数は足りているはずだが、シフトが上手く回らない。現場の店長がシフトを決めるのに頭を悩ませているだけでなく、お店に出なくてはならない状態が続いている。どうにか問題を解決したいが上手くいかない」そんな言葉をいただいたのです。

― 求人媒体に掲載を出してスタッフ数を増やすことよりも、現状起きている課題に対して適した提案がシフト管理サービスの『Airシフト』だったということですね。

溝口:そうですね。とは言え、そもそも私は求人媒体の営業。担当外のサービスである『Airシフト』に特別詳しいわけではなかったので、詳しいサービス内容やツールの使い方をご説明するため、すぐに社内の『Airシフト』の担当につなぎ、私も勉強のために同席して話を聞かせてもらい、個人的にも詳しく学び始めました。

『Airシフト』の導入でシフト作成時間は3分の1になり、働き方の変化も

― 『Airシフト』の導入自体はスムーズに進んだのですか?

溝口:導入にあたっては、『Airシフト』担当と一緒に私も伴走をさせていただきました。A社のご担当者様からは「これまでそれぞれのやり方で長年行ってきたシフト管理をいきなり全てオンライン化にすることに抵抗感を抱く可能性がある。反発が出ないように丁寧に進めたい」と要望をいただきました。

そこで、まずはスタッフ数の多い店舗の中から、パソコン操作が得意な店長さんのいる2店舗、パソコン操作が苦手な店長さんのいる2店舗、計4店舗で導入検証を実施。A社ではこれまでに、他社のシフト管理サービスの導入も検討されていたのですが、現場への定着が難しかったり、予算が見合わなかったりで、導入を見送っていたようでした。

しかし、『Airシフト』は導入検証実施店舗での効果が良く、全店舗への展開はスムーズに進みました。これは、『Airシフト』を現場に定着させるためのフロー整備など、A社のご担当者様が現場の負担を少しでも軽くしたいと積極的にご協力くださったからこそだと思っています。

『Airシフト』は、使いやすい操作感にこだわったシンプル設計
『Airシフト』は、使いやすい操作感にこだわったシンプル設計

― 店長さんのパソコンの得意・不得意に着目した導入検証実施店舗の選定方法からも、ご担当者様の現場へのご配慮がうかがえるエピソードですね。導入後、実際にシフト作成や管理面での効果はいかがでしたか?

溝口:『Airシフト』を導入する前は、紙への記入やLINE・メール、または口頭でスタッフから希望シフトを集めて、店長がパソコンの表計算ソフトに転記してシフトを作成、スタッフに共有するという流れで、店舗ごとに管理されていました。

導入後は、希望シフトの収集からシフト作成、シフト共有まで全て『Airシフト』上の一連の流れで完結できます。時間を要していた、スタッフとの個別のやりとりや転記の作業時間をゼロにできるため、これまで3時間はかかっていたシフト作成が1時間で終わるようになり、大きな工数削減につながりました。

― 店長さんがシフトを作成している時間はお店に出ることもできないので、工数の削減は人材不足の解消にも役立ちますね。先ほど、時間帯によって起こるスタッフ不足もA社の課題にあったと伺いましたが、そこに対してはどのように『Airシフト』が効果を発揮できるのでしょうか?

溝口:これは現場の店長さんに伺ったのですが、店長さんはスタッフの要望をなるべくかなえるシフトを作成しようとします。「シフトに入りたい」という声に応えようとすれば、あまりスタッフを増やすわけにもいかない。でも、スタッフ数が少ないと急な休みなどで上手くシフトが組めない時間帯も出てきます。そんな時、他店舗への急な応援要請が必要になったり、店長自らが休みを返上してでもシフトに入らざるを得ない状況が発生することもあったそうです。

『Airシフト』では、複数店舗のシフトを一元管理できるため、ヘルプの状況確認や管理がスムーズに行え、急な休みが発生した場合もスタッフに一斉に連絡し、動ける人を探すこともできる。店舗またぎでの管理や急なスケジュール変更に対応しやすくなるのも、ツール導入のメリットのひとつですね。

『Airシフト』ひとつでシフトの収集、作成・管理、共有が可能に
『Airシフト』ひとつでシフトの収集、作成・管理、共有が可能に

― 店舗間でのヘルプもスムーズに行えるようになるということですね。ツールを導入するだけでも、さまざまなメリットがあることが分かりましたが、溝口さんはさらに『Airシフト』のデータを活用した経営改善へのご提案もされたとか。どのようなご提案内容だったのでしょうか?

溝口:『Airシフト』でシフトを作成・管理すると、勤怠データとして勤務実績データが蓄積されます。これを売上の実績データと突合し分析することで、混んでいる時間に人員を増やし、ランチとディナータイムの間などの来店客数が少なくなる時間の人員を減らすことで、シフト人数の適正化を図ることができるのではないか、そのデータ分析を任せていただきたい、とご提案をしました。

人材不足が深刻化する中で、適正な人員配置は飲食店における大きな課題のひとつです。A社のご担当者様は「そういうこともできるのならばお願いしたい。自分たちでは追い付けない部分を補って欲しい」と任せてくださいました。

データ分析は、リクルート内でソリューションを担う部署と協働でプロジェクトを組んで行いました。対象となる16店舗の売上と勤怠データを、日別・曜日別・時間別に分析。並行して各店舗の店長さんとお話しして、現場の状況をヒアリングしながら、データ分析に基づいた人員配置の見直しと適正化への取り組みを進めていきました。

― とても丁寧に進めていったのですね。結果は出たのでしょうか?

溝口:結果として、A社は『Airシフト』を活用したDXによる業務効率化の推進と適正な人員配置により、年間でかかる人件費の4%、約480万円を削減。2023年度の目標収益額の早期達成に貢献することができました。

それにより、例年行っていた1月1・2日の営業をやめ、全店休みにすることができました。お正月休みも返上だった現場の負担を一気に減らすことになったのです。A社のご担当者様には「スタッフに還元できて嬉しい」、現場の店長さんからは「今年の正月は家族と一緒に過ごせます!」と喜んでいただけて…。経営側にとっての利益だけでなく、働く人にとっての価値を創り出せたのだと嬉しかったですね。

尊敬するクライアントの背中に勇気づけられた

― 従業員の方の笑顔を増やすお手伝いができたというのは嬉しいですね。反対に、本プロジェクトを振り返って、大変だったことはなんでしょうか?

溝口:A社が非常にご協力的でしたので、社外コミュニケーションでは大変なことはありませんでした。ただ、今回のような他部署と連携しながらのプロジェクトというのは、私の所属するHR事業でも初めての試みだったので、進めながら決めていくべきことが多く、通常業務とも並行していたため、時に早朝作業をすることもあったのは大変だったかもしれません。

― 「時間が足りない」「参考にできるような前例もない」状況でも、溝口さんは最後まで頑張ることができた。そのモチベーションの源はどんなところにあったのでしょうか?

溝口:いくつかありますが、ひとつは求人のお手伝いという面でしかサポートができていなかった自分が、店舗経営の部分にまで踏み込んだお手伝いができると気付けたこと。これまでもこういうことができたら…と思う瞬間がないわけではなかったのですが、実現はしていなかった。ですが『Airシフト』のことを学び、シフト管理の工数削減だけでなく、ツールで可視化される勤怠データを分析すれば、経営改善につながるようなご提案までできることに気付いてしまったからには、もう止まれなかったんです。

それに、社内から多くの期待の声をもらったことも大きいです。本格的に「Air ビジネスツールズ」とHR事業がタッグを組んだ協働プロジェクトというのは初めてだったので、普段接することのない方々からも応援の言葉をいただけて、「期待に応えたい」「きっと何か大きなことができるはず」と鼓舞されました。

そして何より、心から尊敬するA社のご担当者様と一緒にプロジェクトの推進に取り組めたことが大きかったです。今回の案件でご一緒した方が、本当にすごい方で。現場の店長さんからの信頼も厚く、現場思いで優しくて、対応も早く的確で…本当に学ぶところがたくさんありました。リスペクトするご担当者様と一緒に、「絶対にこのプロジェクトをやり遂げたい」「成功させたい」という強い思いを抱いていましたね。

― こうしてお話を伺っていても、溝口さんがご担当者様を心から尊敬されているのを感じます。一方、ご担当者様からも溝口さんには全幅の信頼を寄せているという声もあったと聞きますが…。

溝口:仕事ができるだけでなく、とても褒め上手な方なんです(笑)。ですが、「信頼している」と言ってくださる背景には、私が「現場を知る」機会をいただけたことが大きいかと。「現場では何が起きていて、何に困っているのか?」を知らないと、適切な課題解決のためのご提案ができないと思い、何度も店舗に足を運ぶ機会をいただいた上で、ご提案をさせていただきました。

『Airシフト』の導入活用提案を行うリクルート従業員の溝口 稜

『Airシフト』にとどまらず、もっと他サービスとの協働案件を進めていきたい

― 「人材」と向き合うHR事業と、DXを推進することで「時間」を創出する「Air ビジネスツールズ」を展開する事業の協働が上手く合致したことによって、クライアントの貴重な時間を生み出し、収益改善につながった。領域横断の取り組みに今後も期待できる手応えを感じる事例となったのではないでしょうか。

溝口:そうですね。「Air ビジネスツールズ」には、店舗運営の業務改善、効率化に役立つサービスがまだまだたくさんあります。例えば、適正な人員配置のために『Airシフト』の勤怠データと突合するための売上データを作るのに30分の工数がかかっていたとして、POSレジアプリの『Airレジ』を導入すればこの時間をゼロにすることができます。

リクルートが展開している事業がそれぞれの強みを活かして協働していくことで、お互いに新しい視点や価値に気付くはずです。「HRだけ」「Air ビジネスツールズだけ」という枠組みに囚われずに、社内メンバーと自由に知恵を出し合いながら、クライアントにもっと大きな価値を提供できるよう、今後もさまざまな取り組みにチャレンジしていきたいと考えています。

登壇者プロフィール

※プロフィールは取材当時のものです

溝口 稜(みぞぐち・りょう)
株式会社リクルート HR本部 HRサービスDivision エンタープライズセールス1部 中四国グループ (岡山)

2015年入社。岡山・広島エリアを中心にHRのリテール営業を経験した後、2022年4月より現部署

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