ミラキャリ通信 Vol.11 「社会人インターンシップ」を活用して「ディグる」キャリア 強み・志向を活かし、異業界へ転職
株式会社リクルート(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:北村 吉弘、以下リクルート)が提供するサービス『サンカク』では、正社員採用はもちろん、副業という新しい働き方も推進し、企業の事業成長に本当に必要な人材獲得を支援しています。例えば、人材不足にお悩みの地方企業に対して、副業による新しい働き方の定着や、リモートワークによる地方創生の推進など、既存の手法では獲得が難しい人材に対して今までにない切り口の人材獲得活動を支援しています。
一方で、新型コロナウイルス感染症の影響も受け、働く人にとっても今後のキャリアや働き方について“もやもや”を感じる方も増えてきたのではないでしょうか?『サンカク』ではそんなビジネスパーソンに対し、「一歩踏み出すきっかけをつくり、自分では気付かないキャリアの可能性を発見したり、自分にフィットした働き方を見つける」、そんな場を提供しています。
『サンカク』から「未来の人材獲得」や「未来の働き方」、「未来のキャリア」についてお届けするプレスレターが『ミラキャリ通信』です。
『サンカク』の現場から - Report from Sankak
リクルート Division統括本部 HR本部 HRエージェントDivision ビジネスグロース部
サンカクグループ 責任者 古賀 敏幹
『サンカク』で発見した自身の強み・志向を活かして転職
終身雇用に揺らぎが起きている今、働く個人はキャリア構築を在籍企業に依存せず、自身で切り拓こうとする意識が高まっています。スキルの幅を広げて将来の選択肢を増やすため、社外に出て新たな経験を積もうとする動きが活発化しています。
そして、自らの経験を「ディグる(Digる)」ことで、自身の強みや志向をつかもうとしています。
「ディグる」とは、「掘り起こす」「宝物を掘り当てる」の意。これまでの経験・スキル・感情を深くディグることで、心から夢中になれる異領域へ挑戦する人――そんな方が増えています。
一方、企業側でも「ディグる」動きが見られます。「変革」を推進したい企業は、業種・職種の壁を超えて、自社にこれまでいなかった人材を採用したいと考えています。そこで、自社の業種・職種の経験がない人材も対象に、その人をディグることにより、自社で活躍できるポテンシャルを見いだそうとしているのです。
『サンカク』は、そのような個人と企業が出会う場。企業は課題を提示し、働く個人が「社会人インターンシップ」という形式で取り組みます。それは、個人にとって自らの経験を「ディグる(Digる)」機会となり、企業にとっては新たな視点を得る機会となっています。
実際、『サンカク』の社会人インターンシッププログラムへの参加者のうち、募集企業の業種やテーマについて、興味があり挑戦したいがまだ経験・知見があるとは言い切れない…といった自分のキャリアを自律的に開拓しようとしている人が半数以上を占めています。
リクルート「社会人インターシップ」参加者アンケート 2020年1月〜2021年10月に開催されたイベント参加者で、2021年10月末時点で『サンカク』会員に登録されている方 n=1882
※参加時に「募集テーマについて経験・知見がある」をチェックした数を集計
経験が浅かったり、経験がなかったりしても、興味やワクワク感を抱いたテーマにチャレンジし、その体験を通じて、自身が本当にやりたいこと・得意なことをディグっているのです。
そして、『サンカク』を通じてディグられたスキルが評価され、異業種・異職種への転職を実現している事例も多数生まれています。
例えば、営業職や店舗のSV(スーパーバイザー)職の方が、『サンカク』を通じて出会った企業に経営企画職として迎えられたケースがあります。
その企業は、国内および海外に数百店舗を展開する小売業。もともと新規事業開発に積極的な企業であり、コロナ禍を機にこれまでの戦略からの転換に取り組んでいました。そこで、経営企画部門の強化を図るため人材募集を開始したのですが、経験者の採用に苦戦。転職潜在層(明確な転職意思はないが、チャンスがあれば転職を検討する人々)との出会いを求め、『サンカク』で社会人インターンシップを実施しました。
そこに参加したのが、広告代理店の営業職(20代後半)の方、サービス業の店舗SV(20代後半)の方です。このお二人は、経営企画職は未経験ながら、グループワーク中にコミュニケーション力・調整力・論理的思考力・構造化スキルを発揮。企業側は「経営企画職の素養あり」と評価し、採用をオファーして転職に至ったのです。
このほかにも、『サンカク』を通じて自身の強み・やりたいことをディグった結果、転職に至ったケースとして、次のようなものが挙げられます。
●SIerのSEから、ネット企業のWebアプリ開発エンジニアへ
●部品メーカーの設計職から、IT企業のAIコンサルタントへ
●映像コンテンツ企業の企画職からフィットネス企業の企画職へ
●コンサルティングファームから、業務・経営支援サービスのカスタマーサクセスへ
●PRプランナーから金融機関の新規事業のプロモーション担当へ
●証券会社のプランナーから、流通企業の新規事業企画へ
●運輸会社の事業企画から、シンクタンクの事業開発コンサルタントへ
●教員から金融機関のSEへ
企業側も働く個人側も、これまでの経験のみにとらわれず未経験領域をディグってみることで、思いがけず良いマッチングにつながっているのです。
『サンカク』な人図鑑 – Who joins Sankak –
印刷業界・旅行業界から『サンカク』を経て電通デジタルに転職した二人の事例
自身のキャリアをディグった結果、転職に踏み切った方々の事例をご紹介しましょう。印刷会社の営業職・内山さんと、旅行代理店でUI/UXを手がける恩田さんは、『サンカク』への参加を経て電通デジタルに転職されました。お二人に、『サンカク』の場でどのような気付きを得たのか、転職によってどのようにキャリアをディグっているのかをお聞きしました。
●内山 弘毅さん(26歳) 2021年7月・電通デジタルに入社
<前職>新卒で総合印刷会社に入社し、ソリューション営業として企業の販促物制作支援、Webサイト運用・リニューアル支援を担当。その後、地方自治体の担当となり、観光事業支援ほか、公共事業やサービスのデジタルシフトに係る企画・実証・実装支援を手がけた。
―― 『サンカク』に参加した理由・目的は?
前職は営業でしたが、業務の質が「プロデュース」から「コンサルティング」へシフトする中、フレームワークを習得したいと考えたんです。電通デジタルから提示されたテーマ「エネルギー企業のDXを推進せよ!電通デジタル流DXを体感」に興味を抱き、参加しました。書籍を読むだけではなかなか理解できないことも、「実践」「実体験」によって早く身に付けられるのでは、という期待がありました。
―― 参加して得た手応えや気付きは?発掘できた自分の強みは?
グループワークでは、目先の提案だけにとどまらず、得られる成果、先々の展開の想定など、課題として与えられていないところまで考えて話をしました。それは自分が日頃から当たり前のこととして行っていたことですが、「よくそのような目線を取り入れましたね」というフィードバックを頂けたのがうれしかったです。それまでは手探りでやっていたけれど、社外の別の場所でも評価されたことが自信につながりました。自分のスキル・経験・考え方が他の業界でも通じると分かり、転職に踏み切れました。
―― 転職後の担当業務、新たに得ている経験は?
デジタルを活用した事業モデル変革のコンサルティングを行っています。金融業界のデジタルマーケティング基盤整備プロジェクト・WebサイトリニューアルプロジェクトにPMOとして参画中。複数意見のとりまとめや的確なコミュニケーションにおいては、前職で培ったスキルを発揮できていると思います。情報を扱う点は前職と同じですが、新たにデジタルマーケティング支援を経験しています。
<電通デジタル・採用担当者より>
ワークショップでは、全体を俯瞰した意見が多く、課題を的確に捉えた案出しをしていました。視野の広さが素晴らしかった印象があります。
入社後の現在は、プロジェクトマネジメント力を発揮。非常に高い対人コミュニケーション能力を持ち、クライアントや関係者のニーズを汲み取って適切な調整や折衝を行い、プロジェクトを円滑に進行しています。若手メンバーながら、積極的に会議で発言し、主体性を持って議事進行を行い、社内外の関係者より短期間で高い信頼を得ています。
●恩田 勇輝さん(26歳) 2021年6月・電通デジタルに入社
<前職>新卒で旅行代理店に入社。自社のWebサービスを利用してもらうための営業を2年半務めた後、「よりユーザーに近いUI/UXを考えていきたい」と、自ら希望してUI/UX部門へ異動。1年半、アプリ開発や情報設計を手がけた。
―― 『サンカク』に参加した理由・目的は?
転職を強く意識して参加したわけではありません。自社だけでなく、他の会社の様子を知りたかったこと、さまざまな経験を持つ参加者と出会いたかったことが動機です。電通デジタルという会社を見てみたい気持ちから、「銀行をDXでアップデートせよ!デジタルを活用した顧客体験設計にサンカク!」にエントリー。「銀行」も「DX」も未知の世界でしたが、参加して得た知識を現職で活かせたらよいな、とも考えていました。
―― 参加して得た手応えや気付きは?発掘できた自分の強みは?
銀行の知識はなかったため、自信を持って参加したとは言えませんが、グループワークの中で自分が意識的に担っていた役割が、その後のフィードバックで評価していただけた。それが自信につながりました。
そして、異業界のサービスを考える経験を面白いと感じ、さまざまな事例を手がけてみたいという気持ちが湧いてきました。
―― 転職後の担当業務、新たに得ている経験は?
クライアントのUXデザインを支援。プロダクトの情報設計、コミュニケーション設計、ユーザーテスト設計、ワークショップ設計なども担当しています。前職で扱っていたのは自社のプロダクト・サービスでしたが、「クライアント」に向き合うのは新たな経験。しかし、クライアントの先にいるユーザーの満足を目指すという点では、前職の経験が活きています。
今、前職でやっていたことを深掘りしつつ、さらに横へも広げることができているのがうれしいです。今後もさらに幅を広げながら、ある程度特化した部分で自分の強みを作っていきたいと思います。
<電通デジタル・採用担当者より>
ユーザーインサイトに配慮したUXを検討しながら、ご自身の意見を柔らかく主張できるコミュニケーション能力、そして能動的な情報収集力を持っていることが、ワークショップから見受けられました。
入社以来、すでに数多くのプロジェクトにおいて、責任感強く、積極的に取り組んでいます。プロジェクト内容の検討を進めるにあたっても、打合せ時には自身の意見を持って臨みつつ、メンバーの意見も引き出すようなコミュニケーションを取っています。他のメンバーからの信頼も厚く、ジョインいただいているプロジェクトで欠かせない存在となっています。
――コロナ禍という予期せぬ事態に直面し、多くの方が自身のキャリアや働き方、生き方を見つめ直しました。社会人インターンシップや副業など、手軽に別の業種・テーマに踏み込める手段がある今、キャリアをディグる動きはますます活発化していくのではないでしょうか。
リクルートでは個人の思いに寄り添い、求めている方に常にワクワクするような新しい選択肢を提供し、個人の可能性を広げる後押しをしていきたいと考えています。
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