「売れる営業」と「誠実な提案」は両立する? 1年目のモヤモヤが晴れるまでのエピソード
「その提案内容で、あなたは気持ち悪くないの?」 自分自身の納得感にこだわる意味を教えられた日
中四国の営業拠点で中途採用領域の営業チーフを務める柴田 咲。目の前の仕事に追われ必死だった入社当時、彼女の意識が変わったのは、教育担当者からかけられた言葉がきっかけだったという。
リクルートグループ報『かもめ』2021年11月号「あの日、あの時。」からの再編集記事です/敬称略
担当領域も営業の仕事も、やりたいことではなかった
リクルートには、明確にやりたいことがあって入社したわけではありません。就職活動で出会ったどの会社よりも、自分を取り繕わなくて良かった。面接対策で固めた“よそ行きの自分”が必要なかったのが新鮮で、会社のカルチャーに惹かれたんです。そんな経緯もあり、率直に言って事業領域のことも仕事内容も深く理解していなかった。配属が『リクナビネクスト』や『タウンワーク』などの求人媒体の営業組織に決まった時も、「営業って、売上の数字が全ての仕事だよね。数字のためにあの手この手で売るんだよね。私に向いているとは思えない」と、よく知らないままイメージだけが膨らみ、不安でした。
実際に仕事を始めると、そんなことを言っている暇などなく、目の前の仕事を進めることで精一杯。ただ、お客様とお話しするのは好きで、先方の人材課題を聞けば、「ぜひ力になりたい」という気持ちが沸いてきました。しかし、先方の役に立ちたいと思えば思うほど、課題解決のためにどのような提案がベストなのか迷うようになってきたのです。提案内容に行き詰まったある時、私の教育担当だった先輩に相談。すると、意外な言葉が返ってきたのです。
「その提案に対して、お客様はどう思うの?」「あなたにとってその提案は、気持ち悪くないの?」と。
その言葉で曇っていた自分の視界が晴れていくのを感じました。
顧客の本質的課題を捉え、解決策を考える癖がついた
先輩は、明確な解決方法や考えを明示してくれたわけではありませんでした。でも、何を大事にしてお客様に向き合い、提案すべきなのかを教えてくれたのです。
当時の私は、営業として成果を上げるには多少ずるいことをしなければいけないのではないかという偏見があったのだと思います。「売れる営業」と「お客様への誠実な提案」は、本当に両立するのだろうかと、モヤモヤとした気持ちでお客様に向き合っているのを見抜かれていたんだと思います。「自分のポリシーに反する仕事になってない?」「自分が納得できる提案をしているの?」。そう聞かれるうちに、お客様の役に立つとは、言われた通りの仕事をすることではなく、本気でお客様のことを考え抜くことだと思うようになりました。
それからは、お客様に「1名採用したい」と言われても、お客様の事業成長にとって本当に1名で足りるのか、リクルートの求人媒体がベストなのか、そもそも採用で解決すべき課題なのか、と視野を拡げて考えられるように。本質的な課題解決に向けた、大きな提案にも踏み込めるようになっていきました。すると、自然と業績もついてくるように。売上とは、お客様に提供できた価値の総和なんだと考えられるようになったのです。
社会人として大きな気づきを得た日々から2年が過ぎ、2021年から私は新天地で営業チーフを務めています。当初は反省点も多く、残念ながらチーフとして自分自身に手応えを感じられていない場面もありました。振り返ってみると、かつて先輩に言われたような、「自分のなかの気持ち悪さ」に目をつむってしまっていたのかもしれません。新しい役割やミッションを気にしすぎて、どこまでもお客様の役に立ちたいという私らしさを見失っていたのだと思います。
チーフになっても「目の前の相手を誰よりも幸せにしたい」「相手が成功するまで絶対に逃げずに向き合い続ける」ことに変わりはない。そう思い直して、今また、新たな一歩を踏み出したところ。これからもあの時の気持ちを忘れずに、血の通った仕事をしていきたいです。
プロフィール/敬称略
※プロフィールは取材当時のものです
- 柴田 咲(しばた・さき)
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リクルート 中途ディビジョン エリア営業2部 中四国社員1グループ
大学卒業後、2019年リクルートに入社。リクルートジョブズ(現リクルート 中途ディビジョン)に配属となり、静岡で営業を経験。21年4月より中四国社員1グループ兼2グループに異動。広島・岡山エリアの中途社員採用を支援する営業チーフを務めている。
好きなものはアニメ、漫画、お酒。バレーボールやバドミントンを楽しむアクティブな一面も