進路選択に臨む女子中高生へ。元リクルート起業家と従業員のキャリア対談
リクルートは、「全ての人が、好きなことを目指せる社会に。」を掲げる公益財団法人 山田進太郎D&I財団によるSTEM(理系)領域ジェンダーギャップ改善プロジェクト「Girls Meet STEM」に参画しています。
当プロジェクトが取り組むのは、STEM学生の女性比率がOECD平均よりも低い日本における、進路選択のジェンダーギャップ改善。その一環としてリクルートは、進路選択について考える女子中高生を対象としたイベント「迷ったら、ドキドキする方へ。『理系選択して、どんなキャリアが築ける?』リクルート出身のスタートアップ起業家・若手リクルート社員が登壇」を九段下オフィスで7月26日(金)に開催。学生と社会人が垣根を越えて出会い、さまざまな社会課題に向き合う場を作る「WOW! BASE」が、普段大学生向けに実施している自己理解ワークショップを中高生向けにアレンジしたイベントです。リクルートの女性従業員と、リクルート出身の起業家が体験談を交えて参加者にメッセージを送った当日の様子をお送りします。
キャリアで大切にしてきたのは、「好き」と「ワクワク」
「WOW! BASE」の説明から始まった当イベント。冒頭のアイスブレイクでは、参加学生が「大学の選び方ややりたいことが分からない」「理系を選択して選べる進路がはっきりしていない」など進路選択に関する悩みについて話しました。
この悩みを受け、大学生向けの時間割管理サービス『すごい時間割』や学問・仕事の研究や自己分析から学校の発見までをサポートする『スタディサプリ for SCHOOL』を企画するリクルートの礒本菜緒と、リクルート退職後に株式会社Warisを起業した米倉史夏さんが講演しました。
礒本:私は理系を選択して京都大学の森林科学科に進学した後リクルートに就職するという、一見すると不思議なキャリアを歩んでいます。しかしこれは決してちぐはぐではありません。私が、人生において一貫して自分の「好き」を大切にしてきた結果なんです。
理系を選択した理由は、数学と化学が好きだったから。周りには文系に進む友人が多く、友達ができるか不安でしたし、不得意な理系科目もありました。でも、好きなことをあきらめて後悔したくないと思ったんです。一方で、自分が何を専門的に学んでいくかのイメージはついていない。だから、好きなことが分かった時の選択肢を狭めないように、研究の自由度が高い学部を目指しました。
進学後、自分が好きになれる研究分野を探し、たどり着いたのは「木からプラスチックを作る研究」。そこから就職に際して自己分析をした結果、私は目に見えるものを作って人の役に立つことが好きだと気付き、社会の役に立つ多様なサービスを企画できるリクルートに就職を決めました。
米倉:礒本さんは意思決定が一貫しているんですね。私は年齢・ライフステージに合わせて大切にしたいことが変わってきました。はじめは、日本と海外の懸け橋になりたいという思いからグローバルな金融機関に就職。しかし20代のうちに専門的なスキルを身につけたいと強く思うようになり、コンサルティングファームで調査・分析に携わるアナリストに転向しました。そこから社会人として多くの引き出しを持ちたいと思い、幅広いチャレンジの機会があるリクルートへ転職。出産を経てフリーランスとなってからは、育児と仕事の両立がしやすい働き方を世の中に広めていきたいと株式会社Warisを立ち上げました。
振り返ってみると、私の人生は「行き当たり“ばっちり”」。節目で決断を迫られた時、「できないかもしれない。でも、ちょっとやってみよう!」とワクワクできる選択肢を選び続けていたら、いつの間にか現在のキャリアにたどり着いていました。自分の置かれている状況が変わりゆくなかで、将来像を完璧に描くことは難しいと思います。だったら、その時胸がときめくほうを選んでみると、自然と満足のいく進路が拓けるかもしれません。
学生たちのリアルな悩み
講演後に設けたパネルディスカッションと質疑応答では、進路選択を控えた学生から数多くの質問がありました。そのなかでも特に会場が盛り上がったトピックをご紹介します。
「学生時代の学びは仕事に活きますか?」
礒本:今の仕事は、理系分野で学んできたことが活きています。サービス企画という仕事では、例えば『すごい時間割』などのサービスを使ってくれているユーザー一人ひとりの声を聞いて、多くの人に共通している困りごとを想像する必要があります。これはまさしく、具体例をいくつか集めて一般的な法則を導き出す数学的帰納法の考え方です。また、課題を解決するためにプロダクトをリリースし、反響を踏まえてさらに機能を改善する。この一連の工程は、仮説を立てて課題解決に取り組み結果を振り返る、研究と同じプロセスです。学生時代に学んだ頭の使い方がサービス企画の仕事で活かせているな、と感じるシーンは多いですね。
米倉:「じゃあ進路選択は絶対にミスできないじゃん!」と思われた方、ご安心ください。私は真逆です(笑)。私は学生時代に国語と英語が好きだったので文系を選択し、英語を使うグローバルな環境を目指して海外援助を行うゼミに入りましたが、今「グローバルな環境であるかどうか」はキャリア選択の軸になっていません。リクルートに転職した時だって、アナリストとして培ってきた専門性を横に置いています。失敗や後戻りは、案外簡単にできるものですよ!
「勉強や仕事でつらい時、どのようにして乗り越えましたか?」
米倉:「目標を見直す」ですね。転職をすると、仕事の内容が大きく変わるため、挫折を経験すると思います。アナリスト→新規事業創出というキャリアチェンジは特に変化が激しく、出席している会議の内容すらさっぱり分かりませんでした。何から始めればいいか、一歩目の踏み出し方が分からない。分からないから、萎縮してしまう。萎縮して、動けない…この負のスパイラルを断ち切るために、「今自分ができることって何だっけ?」と立ち止まってみました。あいまいな目標を目指しているから、自分の「できないこと」に目が向いてしまう。しかし、できることから考えてみると、自然と現実的な目標が定まっていき、モチベーションにつながりました。
礒本:私はとにかく楽しいことに目を向けるようにしています。人生で一番落ち込んだのは、大学受験の模試でE判定をとってしまった時。その時は、好きなご飯を食べて、好きなテレビ番組を見て、とにかくいっぱい寝て…すごく単純なことのように思えますが、ひとつのことに向き合い続けた後は、切り替えも大事です。
30分以上にわたる盛り上がりを見せたパネルディスカッションと質疑応答は、米倉さんからのこんなメッセージで締めくくられました。
米倉:これからの時代、生成AIが「確からしい答え」は出してくれるでしょう。でも、答えのない問いを考え続けていくのは、これからも人間です。その時必要になってくるのは、主体性です。親や先生から言われて仕方なく取り組んだテスト勉強よりも、自分がワクワクしたことについて調べたり学習したりするほうが、モチベーションも続きますし、知識も定着していると思います。文系・理系、どちらも組織にとっては重要です。だからこそ、進路に悩んだ時は、主体的に取り組んでいけそうな「ときめく」ほうを選択して欲しいです。
登壇者プロフィール
※プロフィールは取材当時のものです
- 礒本菜緒(いそもと・なお)
- リクルート プロダクト統括本部 販促領域プロダクトマネジメント室(まなび) まなび進学情報プロダクトマネジメントユニット 進路プロダクトマネジメント部
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大学院卒業後、2020年に入社。以来、『リクナビ』や『すごい時間割』のプロダクトマネジャーとしてアプリの機能改善を担当
- 米倉史夏(よねくら・ふみか)
- 株式会社Waris 代表取締役・共同創業者
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国際金融機関、コンサルティングファームを経て2007 年にリクルートへ入社。医療領域の新規事業立ち上げ、ブライダル事業の事業企画業務に従事。その後、女性のキャリア支援に携わりたいと考え、2013年に株式会社Warisを設立
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