「障がいの有無に関係なくバリバリ働くとは?」学生向けキャリア支援イベントレポート

「障がいの有無に関係なくバリバリ働くとは?」学生向けキャリア支援イベントレポート

「障がいの有無に関係なくバリバリ働く。そんなキャリアも知った上で、選択して欲しい。」と考えてリクルート従業員の小田 麓が企画した、学生向けの1Dayイベント「事業立案プログラム」。障がいのある学生や配慮が必要な学生のキャリア支援を目的とし、昨年に続いて2024年も開催しました。イベント前半は就職活動やキャリア形成に関する座談会を開催。後半は「身の回りにある課題解決」をテーマに学生の皆さんとリクルート従業員がチームとなって、事業プランを考案。当日の様子をダイジェストでお届けします。

※リクルートと特例子会社のリクルートオフィスサポート両社では障がい者採用を推進しており、自身の状況にあわせて、より多様な働き方を選択することができます。

質問飛び交う座談会「成長できるんですか? 」「合理的配慮のすり合わせは?」

司会を務めるリクルート従業員 小田 麓

リクルート 小田:皆さん、本日はご参加ありがとうございます。先ほどの第一部では、障がいのある社会人としてどのような就職活動をし、入社後はどのように働いているか、自己紹介させていただきました。この後、リクルートの従業員が皆さんのテーブルを回って座談会を開催します。就職活動、キャリアや成長、働き方について何でもご質問ください。

リクルートキャリア支援イベント座談会の様子。中央左から リクルート従業員 東 えり子、小田 麓

学生:障がいのある自分が企業で働く時に、合理的配慮をどのようにすり合わせていけば良いか不安があります。リクルートではどのようにしていますか?

リクルート 東:前提として、リクルートでは障がいの有無に関係なく、人事制度などは全て同じです。リクルートに入社される方と、入社前までに複数回面談をしていますが、そのなかで合理的配慮についてもお互いに納得いくまで対話しています。働く環境は、部署によっても異なるのですがリモートワークも含めて柔軟に働くことができます。

学生:リモートワークで不利になることはありますか?

リクルート 東:リモートワークで不利になることはありません。障がいの有無に関係なくリクルートでは全従業員が「出社を前提としない働き方」をしており、リモートワークを活用しています。毎日出社する人もいれば、月数回の出社という人もいて、自分が最大限パフォーマンスを発揮できるワークプレイスを選択し、自律的に働いています。会社として出社をして欲しい時は要請することもありますよ。

障がいのある方が働く際の、リクルートの環境

学生:障がいがあっても総合職として同じように働けるんでしょうか?

リクルート 小田:はい、働くことができます。実際どんなふうに働いているかお伝えすると、自分はデフ(Deaf/deaf=聞こえない人、聞こえにくい人)ですが、人事制度や仕事内容は、周囲と変わりない基準で、同じように仕事をしています。悔しい気持ちになる時があるとすれば、これは障がいの有無とは関係ないのですが、自分の仕事に対してフィードバックを受ける時ですね…。

学生:悔しい、ですか?

リクルート 小田:フィードバックをもらって、もう少しこうすれば良かったなと思うことがあるからです。例えば、もっと周囲と協働できたら、より大きな成果を創出できたのではないか、などスキルだけでなくスタンスに関してもフィードバックをもらえ、成長することができます。おかげで大学生の頃苦手だった、「周りへの相談」なども、入社して1年後の今、ずいぶんできるようになりましたし、自分の強みである論点整理力なども活かして働けているなと思います。

学生:では、フィードバックをする時に気を付けていることなどはありますか?

リクルートキャリアサポートイベント座談会の様子

リクルート 東:私の場合は数年前、フィードバックしたメンバーに伝えたつもりだったのですが、変化が見られなかったことがありました。理由を確認すると、メンバーにこちらの意図が全く伝わっていなかったという失敗経験があります。フィードバックの内容はもちろん大事ですが、「それを伝える背景」をメンバーとすり合わせすることが重要だと思います。マネジメント経験が長い鐵原さん、どうですか?

リクルート 鐵原:伝えるタイミングと、伝える優先順位を意識しています。誰しも、日によってフィードバックを受け止められる日とそうでない日、ピンとくる時とそうでない時がありますよね。メンバーにとって効果的なタイミングかを見極めてからお伝えしていますし、あれもこれもフィードバックするのではなく、本人の成長に一番効くことに絞ってお伝えしています。私もフィードバックをする側ではある一方、フィードバックを受ける立場でもあるんです。リクルートは、何歳になっても人は成長することを心から信じている会社なので、入社から何年経ってもたくさんフィードバックをもらいますし、成長を期待され続ける環境だと思います。

事業立案に挑戦。「身の回りの“不”を解決せよ」

リクルート 小田:お昼休憩も終わりまして、午後からは事業立案プログラムです。自分もすごく好きなワークで、皆さんが“脳みそに汗をかく”ような感じになると思います。こまめに休憩はしますが、もし体調の変化や疲労など、気になることがありましたら、いつでも各テーブルのメンターに声をかけてください。

では、今回検討するテーマは…「身の回りの“不”を解決する打ち手を立案せよ」です! “不”とは社内用語になってしまうのですが、不安や不満、不便など解決したい問題を意味します。

事業立案体験プログラムのお題は「身の回りにある“不”を解決せよ」

今回の事業体験プログラムでは、リクルートの新規事業開発制度「Ring」の事業開発プログラムを体験していただきます。Ringはリクルートで1982年から続く制度で、『ゼクシィ』『R25』『スタディサプリ』などを生み出してきました。

今日はRingにおける事業開発フレームワークのなかから、「不の洗い出し」「ペルソナ分析」「顧客課題」「提供価値」「打ち手(対策)」を体験していきましょう。

体験する事業開発フローの図

そして、本日事業プランへのフィードバックを担当する従業員を紹介します。事業開発経験がある松本です。

リクルート 松本:こんにちは、松本晶子です。現在『ホットペッパービューティー』などを運営する美容領域において、事業企画・推進を担当しています。

簡単に自己紹介をさせていただきます。大学卒業後はコンサルティング企業へ。その後新しいことに挑戦したいと2005年リクルートに入社しました。企業クライアントの人材採用に携わる領域で営業を経験した後、今度はカスタマー視点をより意識した仕事がしてみたいと『じゃらん』などを運営する旅行領域に異動し、カスタマー向けの事業企画・事業開発に携わりました。

リクルート ビューティ領域事業戦略推進室でVice Presidentを務める松本晶子

特に印象に残っているのは『じゃらんnet』でのインバウンドに関する事業開発の経験です。山をひとつ越えたと思ったら、さらなる山々が現れる日々。専門性を持ったさまざまな部署の仲間と協業しながら、乗り越えていく楽しさややりがいを感じました。リクルートは「カスタマーやクライアントのためにこれをやりたい」という時に、助け合える仲間がいる環境だと思っています。

では、この後テーブルを回りながらお話しさせていただきますね。今日はよろしくお願いいたします。

白熱!事業立案のアイデアは身近なところに。ニーズを深堀りしよう!

各チームのメンター従業員らと話しながら、ワークを進めていく

【ディスカッションで出た意見】

  • 「サービスに慣れてくると、より珍しい体験や価値を求めるユーザーが出てきます。そういうニッチな顧客課題を解決するようなサービスを考えてみたいです」
  • 「自分たちのように、一般的なプロモーションでニーズ喚起されないターゲットの市場は大きそう。こういう層を顧客化するには?」
  • 「課題解決のためにAIやデータを使って平準化・効率化を推進できないか考えてみたいです」
  • 「自分の身近な経験だと、情報不足で残念な思いをするケースが多くありました。より精度が高い情報に価値を感じる層は一定数いるのではないでしょうか」
各チームのメンター従業員と話しながら、ワークを進めていく

リクルート 松本:もう外が真っ暗ですね。皆さんディスカッションから発表まで、大変お疲れ様でした。チームごとにフィードバックもさせていただきましたが、具体的ですごくいい“不”を言語化したり、ニーズの掘り起こしという難しいテーマに挑んだチームもありましたし、実現したら私もユーザーとして使いたいくらいのサービスを構想されたチームもありました。皆さん素晴らしい着眼点でした。

顧客課題について説明するリクルート従業員 松本晶子

さて、顧客の抱える課題を詳しく分析する時の大敵は「自分の決めつけ」です。自分の思い込みによって本当の顧客課題を見い出せないシーンは、実際の事業検討においてもよくあることです。自分の考え方に捉われすぎずに、N=1の顧客を深く知ることを通して、潜在ニーズを発見し、対策を明確化することができる。この考え方が、皆さんの将来の仕事において少しでもお役に立てば幸いです。この後は、チームメンバーやメンターからのフィードバックタイムになります。ぜひご自身の強みや改善点を知り、今後のキャリアに活かしてみてください。

「能力を発揮できないのはもったいない」

リクルート従業員 小田 麓

リクルート 小田:無事にイベントを終えることができました。障がいのある学生が将来を考えた時、バリバリ働くようなキャリアイメージを持ちづらい。私の実体験であり、今多く方が置かれている状況だと思います。自分の能力を最大限に発揮できないのはもったいない。学生の皆さんが120%の能力を出しながら働くイメージを持てるように、今回のイベントの場を創り上げました。イベント終了後のアンケートではこのような嬉しい声を寄せていただいています。

【新規事業立案プログラムの体験について】

  • 今回のワークの良かった点は顧客課題を深堀りすることの難しさを体感できたことです。新規事業立案のワークはインターンシップや授業などで行ったことがありますが、ここまで顧客課題を深堀りしたのは初めてでした。
  • たくさんの従業員と意見交換しながら、本格的な議論をすることができた。メンターの方が休憩中に声をかけてくれたり、議論が停滞した際に(メンターが)「こういう視点は?」などと声をかけ、進捗を見に来てくれたり、頼りになる存在でした。

【キャリアイメージについて】

  • リクルートでは「自分の能力」+「期待値」の仕事を与えられるという話が印象的だった。
  • 障がいがある従業員から直接話を聞く機会は少ないので、貴重な経験だった。給料や職種などの待遇に関する話も聞くことができて良かったです。障がいがあってもバリバリ働ける道もあるんだなと知って安心しました。
  • 障がいを周囲に開示してもほかの従業員と同じような業務が行えること。また、障がいに対して配慮をしてもらえる環境が整っていること。実際に障がいがあってもバリバリと働いている従業員を見て、憧れた。

ご参加いただいた皆さんにこのように評価いただけたのが大きな励みになっています。次回は好評だったキャリア相談の時間も増やし、内容をさらに進化させて実施できたらと検討しています。このイベントという機会を通して、「自分の力を出しきるって面白いな」「身の丈以上の仕事に挑戦する仕事をやってみたい」と少しでもキャリアの選択肢の幅を広げることに貢献できたら嬉しいです。

プロフィール/敬称略

※プロフィールは取材当時のものです

小田 麓(おだ・ふもと)
株式会社リクルート CoE人事統括室 人事統括室 人事戦略部 人事企画グループ

大学卒業後、2023年リクルートに入社。人事の企画業務や、障がいのある学生に向けたイベント設計などを担当

松本晶子(まつもと・あきこ)
株式会社リクルート 事業戦略 販促領域事業戦略推進室 ビューティ領域事業戦略推進室

大学卒業後、コンサルティング企業で3年勤務。2005年リクルートに入社。企業クライアントの人材採用に携わる領域で営業を経験した後、『じゃらん』などを運営する旅行領域に異動し、カスタマー向けの事業企画・事業開発に携わる。2020年より現部署でVice Presidentを務める

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