4回の転職を経てたどり着いた“私らしい軸”。リクルート営業職への再チャレンジ
「20代はキャリアの迷走期で、ずっとモヤモヤしていました。自分が好きなことや、やりたいことは何か? 自分自身と一番向き合った時期だったようにも思います」。 そう語るのは、2023年4月から、リクルートが運営する旅行予約サイト『じゃらん』の営業として、北海道エリアのグループマネジャーを務める前原鮎香だ。20代で他業界からリクルートの営業職にキャリアチェンジするも、1年半で転職。その後に地元に戻り、縁あってリクルートに再入社した。キャリアを試行錯誤し、自分に向き合う20代を過ごした前原は、なぜリクルートに戻り、働くことにしたのか。これまでの変遷から、どのように自分の軸を見出したのかを聞いた。
新卒で念願のテレビ業界に就職。早々に目標達成し、キャリアの行き先が見えなかった20代
前原が新卒で就職したのは、当時念願だったテレビ番組の制作会社だった。そして、早くも3年目の後半には、深夜帯の番組を自ら企画・制作まで任されていた。幼い頃からの目標を早々に達成し、満足のいくキャリアを歩み始めたかと思いきや、前原自身はそれを機に抜け殻状態になっていたという。
「テレビの仕事は大好きでしたが、全身全霊を捧げて番組を作り続ける世界にずっと身を投じていたいかと考えた時、モヤモヤし始めました。番組制作の仕事は専門性が高いスキルを要します。一方で、20代はより汎用的なスキルを身につけて、今後のキャリアの幅を広げたいと思うようになったんです」。
営業ならそのスキルが身につくのではないか? そう考えた前原は、新卒5年目の年にキャリアチェンジを意図し、リクルートに転職。飲食店予約・グルメ情報サイト『ホットペッパー』の営業として、東京の一部エリアを担当した。
初めての経験にも関わらず、営業としての滑り出しは好調だったが、営業目標を達成できるようになるにつれ、また新たなモヤモヤが生まれた。
「お恥ずかしい話ですが、『自分は営業ができる』と勘違いしてしまい、他の挑戦の機会を求めて1年半で退職しました。その後、PR会社に転職するも、実は企業文化が全く合わないことがすぐに分かり、自分のコンディションも崩し、地元熊本に戻ることに。30歳手前で、キャリアの方向性がなかなか見えてきませんでした」。
退職後も相談に乗ってくれた上司。自分のスタイルがようやく見えた30代
そんな時、前原は、以前リクルートで働いていた時の上司に会うことに。
「たまたま元上司が、旅行予約サイト『じゃらん』の九州エリア営業担当に異動したのを知り、熊本に来るタイミングで相談に乗ってもらったんです。今の状況を説明すると、ちょうど『じゃらん』を運営する事業部で、営業職の契約社員の募集があるよ、と。改めて考えると、リクルートの組織風土も、メディアや営業の仕事も嫌いではなかった。元々娯楽としての飲食や旅行も大好き。旅行メディアの営業として挑戦してみようと思いました」。
それから8年間、前原は、熊本でリテール営業、首都圏で法人営業、行政と連携した地域活性と、営業職として幅広く挑戦を続けてきた。果たして、キャリアのモヤモヤは晴れたのだろうか?
「悩むこともありました。でも、そのなかで自分らしい仕事のスタイルがようやく見えてきたんです。リクルートの営業は、まずは自分自身で考えて行動して、試行錯誤しながら仕事を進めることが求められますし、そうやって成果を出せばちゃんと評価してくれます。これらの点が、自分には合っていて楽しく働き続けられる理由だと実感しているんです」。
自身のキャリアの軸が分かり、それがリクルートの環境にフィットすると実感したことから、30代はおのずとキャリア形成の方向を見出すことができた。
「正直、私は飽きやすい性格なので、目標を達成すると、次にどんな目標を置くかモヤモヤし始めてしまうんです。なので、その都度、上司などに相談し、挑戦の幅を広げてきました。その時々で向き合うクライアントの対象が変わり、新しい機会で挑戦を続けることは大変ですが面白い。ひとつの挑戦をして乗り越えたら、また次に挑戦したいことが見えてくる。そうやって常にやりがいを持って走り続けられたからこそ、一歩ずつキャリアを積み重ねることができた気がします」。
好きが高じて、その次のキャリアにつながってゆく
リクルートに出戻り、以来『じゃらん』の営業としてキャリアを積んで今年で9年目を迎えた前原。自ら「飽きやすい性格」と認める前原が、ここまで続けてこられたのはなぜだろうか。
「好きが高じて…だと思います。これまでのキャリアで、飲食店予約・グルメ情報サイト『ホットペッパー』での営業経験も含め、日本のさまざまな地域の食や旅の魅力を体感する機会に恵まれてきました。そこでいつも意外なのが、その地域の方にとっては当たり前に楽しまれていたり、宝物のように扱われているものが、実は観光スポットやグルメとしては全く知られていない、ということです。そういったご当地ならではの楽しみを、私自身が発掘して、カスタマーにしっかり届けること。 それが世の中に広まって、地域経済の活性化に貢献できるという点が、何にも代えがたいやりがいなんです」。
長く務めたからこそ分かった面白さもあるという。
「リクルートで挑戦を重ねるほどに、ここには日本中の企業や行政の方々が抱えていらっしゃる課題の解決に貢献できるさまざまなソリューション、そして自分が手を挙げればそれに挑戦できる環境があるということを実感しています。現在マネジャーを務める『北海道じゃらん』もそのソリューションのひとつ。これまでの担当サービスで培ったナレッジをつなぐ架け橋となり、北海道エリアの担当として地域を盛り上げる仕掛けを考えていきたいのです」。
そんな前原には、密かな野望も生まれたという。
「実は私自身が旅行をして、ご当地の居酒屋を巡るのが大好きなんです。あまりに魅力的に感じてしまって、ゆくゆくは私もこぢんまりとした飲食店を開きたいなって。私自身がご当地の食を届けることを楽しみながら、地域の活性化を支援できたら、なんて企んでいます(笑)。」
プロフィール/敬称略
※プロフィールは取材当時のものです
- 前原鮎香(まえはら・あゆか)
- 株式会社リクルート北海道じゃらん 営業部 地域振興課
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大学卒業後、テレビ番組の制作会社に入社し、約4年間勤務。その後、リクルートの飲食領域の営業、PR会社などを経て、地元熊本に戻る。2015年にリクルートの旅行領域に再入社し、九州エリアのリテール営業として熊本県の宿を担当。18年よりビジネストラベル部に異動し、出張宿泊予約・管理サービス『じゃらんコーポレートサービス』の法人営業に。22年より地域創造部で、長野県と山梨県の行政と連携し地域活性に取り組む。23年よりリクルート北海道じゃらんに出向し、地域振興を担う営業組織でグループマネジャーを務める。趣味は居酒屋巡りとキックボクシング