キャリアに迷ったら「ポートフォリオ」で考える。リクルートのデザインディレクターが持つキャリア観とは

キャリアに迷ったら「ポートフォリオ」で考える。リクルートのデザインディレクターが持つキャリア観とは

2016年のリクルート入社以降、デザイナー(以下、デザインディレクター※)としてさまざまな国内事業でプロダクトにおけるデザインマネジメントを担当し、2019年にはロンドン駐在で海外事業も経験した小島清樹。

2021年からは新卒・中途採用サービスを中心に、10プロダクトほどのデザインディレクションを担当している。これまで事業会社のデザインディレクターとして、どうキャリア設計を考えてきたのだろうか?

(※)プロダクトの幅広い工程に関わり、デザインを活用し、価値を生み出すためにさまざまな業務を行う職種。具体業務は、プロダクト・サービスデザイン、 UIUXデザイン、アートディレクション、グラフィックデザインなど、多岐にわたる

学生時代に国内外のさまざまなデザイナーと協働したことで、キャリア観の基礎が形成された

小島は大学入学後にデザインに興味を持って、勉強を始め、卒業後は本格的に芸術系の大学院に進学。海外の産官学連携のプログラムに参加したり、学業と並行しながらデザイナーとして活動していた。フリーランスとしてふたつのエージェンシーに所属し、クライアントワークを通じてさまざまなデザイナーと協働した経験が、結果としてリクルートに就職を考えるきっかけになったという。

「国内外で活躍するデザイナーたちに、キャリアの視野を広げてもらいました。将来、彼らのように楽しく働きながら、デザインを通じて世の中に影響を与えるためには、どうすれば良いか? 戦略的に考え始めた時に、自身のキャリアをポートフォリオのように捉えるようになりました。

当時からクライアントワークを多数経験した自分にとって、次の挑戦は事業会社で自分が主体者となってサービスを成長させるサービスデザインの経験を積むことだろうと。就職先としてリクルートを選んだのは、自社事業を運営する企業のなかでもさまざまな領域でサービスを展開し、0→1、1→10、10→100と、あらゆるフェーズを経験できそうだったからです」。

入社以降もキャリアのポートフォリオのなかで、常に「自分に足りない経験、新しい経験」を意識してきたという。

リクルートのデザイン組織のマネジャー・小島清樹がオフィスでメンバーと会話する様子

新しい経験を成長のチャンスにできるかは、自分の捉え方次第

そんな小島にとって、キャリアのターニングポイントになったのが、入社3年目だ。

「同期に誘われて新規事業提案制度『Ring』に起案し、店舗経営の業務支援サービス『Airメイト』の立ち上げに関わった時です。当時は、主担当をしていた中古車情報メディア『カーセンサーnet』の業務が終わった後に、自主的に『Airメイト』の起案業務を行っていたため、頭が一日中フル回転。

どちらもとても面白かったのですが、仕事に向き合う時間が増えた分、それまで行っていたデザインに関する情報をインプットする時間が全く取れなくなり、自分の成長が止まってしまうのではないかと、焦ってきたのです」。

小島はその状況をどうやって、抜け出したのだろうか?

「それまでは、空いた時間や休日に本を読んだり、ラーニングコンテンツを見たりすることがインプットだと考えていました。ですが、日々の仕事での新たな経験そのものがインプットであり、自分の成長につながるという視点に転換できたことで焦らなくなりました。

“新しい経験こそ成長のチャンス”とリフレーミングし、自分にとって何の成長につながるか、取り組む意義を考えることが大事と気づいたんです」。

当時、小島が担当したふたつのプロダクトは、事業の領域から、プロダクトを使うユーザー特性、提供価値まで、あらゆる面で性質が全く異なるものだった。
『カーセンサーnet』は、中古車を探すカスタマー向けに情報をマッチングするメディア。一方、新たに企画した『Airメイト』は、クライアントである企業に対して、売上・人件費・原価などのデータについて集計・分析といった業務支援を行うアプリツール。
この性質の違うプロダクトを経験することが、小島にとっては新たな観点を獲得する機会になったという。

「これまでカスタマー向けのプロダクトで行っていた業務は、主にデバイス上のサービス画面のUXデザイン。クライアント向けのデザインでは、そのUXが実際の店舗のオペレーションに組み込まれても実用的か、といった観点まで求められます。

また、データプロダクトを経験したことで、エンジニアからデータマネジメントについて学ぶことができました。元々のUXデザインのスキルに、データマネジメントを掛け合わせれば、ポータブルスキルとして、他のプロダクトにも活用できます。

仕事のなかでインプットとアウトプットを循環させることが成長につながると気づけたことは大きかったです」。

小島はデザインディレクターとして働く上で、このような実務を通じて得られる経験を重視するようになったと話す。

「今の時代、例えばYouTubeのような学習教材が世の中に溢れているので、スキル自体は身につけやすい環境だと思うんです。一方で、そのスキルを実践する上での観点というものもあります。このような実務経験を通じて獲得した観点こそ、デザインディレクターとしてのキャリアの強みにつながると思っています」。

リクルートのデザインディレクター・小島清樹がグループのメンバーとオフィスで議論する様子

自分らしいキャリアにつながる挑戦機会を見つける方法

キャリアのポートフォリオを意識しながら、デザインディレクターとして「自分に足りない、新しい経験」を積むことにこだわってきた小島。どのようにして、次に挑戦するテーマを決めているのだろうか?

「常に逆張りを意識し、敢えて不確実性の高い領域での挑戦を選ぶようにしています」。

「大学・大学院とデザインを軸足に勉強した私が、卒業後に大手広告代理店ではなく、当時デザインの改善余地が大きかったリクルートに入社したのは逆張り。ロンドンの駐在も、語学の不安がありましたが、“グローバル×デザイン”には取り組んだことがなく、面白そうだったので挑戦しました。

自分の専門領域のデザインに何を掛け合わせると面白い仕事になるかという軸だけぶらさずに、成長機会を探っています。そういう挑戦ができる環境で、仲間と熱量高く仕事に取り組むのが好きなので、たとえカオスな状況であろうと自分のフィールドとして捉え、楽しんで取り組もうとするところがあります」。

カオスな状況を自分のフィールドとして楽しむコツについても、聞いてみた。

「自己流の解釈ですが、何かに真剣に向き合い距離感が近くなりすぎると、かえって肩に力が入って、自分らしく取り組めないことがあります。だからプライベートでは、自分が自然体でいられるような聖域を持ち続けるようにしているんです。

最近は、アート作品を作るマイプロジェクトを始めました。仕事での〝動〞とプライベートでの〝静〞のバランスが取れた状態であることが、どんな時も自分らしく取り組めるコツかもしれません」。

▼小島のキャリア観に関する詳細はこちら

リクルートでデザインディレクターを務める小島清樹が、オフィスでPCを片手にキャリアについて話す様子

プロフィール/敬称略

※プロフィールは取材当時のものです

小島清樹(こじま・みずき)
株式会社リクルート プロダクト統括本部 プロダクトデザイン・マーケティング統括室 プロダクトデザイン室 デザインマネジメントユニット デザインマネジメント2部 HR横断デザインマネジメントグループ

大学院卒業後、2016年リクルートホールディングスに入社。中古車メディア『カーセンサーnet』のアートディレクション、『Airメイト』『Airインボイス』の立ち上げ、ロンドンに駐在し欧州の美容予約オンラインサービス『Treatwell』のデザインや開発などに携わる。2021年よりHR横断プロジェクトのデザインディレクター、2023年より現部署のグループマネジャーに。趣味は、ワイン、芸術鑑賞、サッカー観戦

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