「あきらめたくない」コロナ禍で打撃を受けた温泉地。地域の方々と、若者に向けたPRに奔走した1年間

「あきらめたくない」コロナ禍で打撃を受けた温泉地。地域の方々と、若者に向けたPRに奔走した1年間

人口減少、高齢化、労働人材不足…現在、日本にはさまざまな社会課題が山積しています。そして、それは特に、地方だからこそ首都圏に先駆けて顕著になっている問題もあるようです。

全国で働くリクルートグループ従業員の一人ひとりが、カスタマーやお客様と日々接するなかで、日本社会全体に共通する課題を肌で感じ、なんとかしたいと課題解決に向け、地域の皆様と走り続けています。今回は、リクルート旅行Divisionで『じゃらんnet』などを通じて、愛知県蒲郡市の三谷温泉地域の宿泊施設に対する集客支援を担当している遠藤綾乃さんに話を聞きました。

コロナ禍の2020年に入社し、旅行Divisionに配属された遠藤綾乃さん。着任して早々、お客様からのご相談を受けるように。お客様の声に真摯に耳を傾け続けることで、地域の課題解決に踏み出せたそうです。

コロナ禍で団体客が激減。地域が協働して若者にPR

入社して初めての土地、東海エリアに着任して、ベテラン営業の方からお客様を引き継ぐことになりました。コロナ禍で非対面営業での関係構築に加え、前例のない厳しい状況。名古屋駅からほど近い蒲郡市の三谷温泉地域は団体旅行が激減していました。個人旅行者の集客に頼ってこなかった宿が多く、『じゃらんnet』の使い方や個人向けプランの作り方をゼロからレクチャーさせていただくことも。

好き嫌いではなく、必要なら“苦手”も気にならなくなった

出口の見えないコロナ禍に、経営者の方が打ち合わせに同席されることが増え、気付けば毎回深刻なご相談を受けることに。地域課題を含めた視座の高さに追いつくのが大変で、経営者との対話は内心苦手意識がありました。でも、なんとかしたいという気持ちで向き合ううちに自然と苦手意識は消えていました。

すると徐々に地域全体に目が向くようになり、近隣の温泉地と比較して圧倒的に若い層の旅行者が少ないことに気付きました。アクセスが良く景観も美しい地域。もっと若い人たちを呼べるはずだと思い始めました。

ある日、当時、蒲郡市観光協会のOTA※販促担当も務めていた「平野屋」の社長に、思いきって近隣温泉地のカフェなどをPRした若年層の集客事例や、三谷温泉に可能性を感じていることなどをお伝えしました。すると数日後、地域の宿を巻き込んだ現代アート展示による街歩きプランの相談を受けたのです。

地域の方々の笑顔を見て思わずこぼれた一粒の涙

愛知県蒲郡市の三谷温泉で、1932年創業 老舗旅館「平野屋」 代表取締役社長 平野寛幸様とリクルート旅行Division 遠藤綾乃
愛知県蒲郡市の三谷温泉で、1932年創業 老舗旅館「平野屋」 代表取締役社長 平野寛幸様とリクルート旅行Division 遠藤綾乃

さっそく、平野様と企画を練り、各宿にはエリアのデータを基に説明に伺いました。その上で地域の全宿を集めた全体会を開催しましたが、各宿の意向が揃わず紛糾。改めて各宿へ足を運び、全体会へ。回を重ねるうちに、ついに全宿が協働し、三谷温泉アートプロジェクト「ととのう温泉美術館」が実現したのです。

約1ヶ月の開催期間に若年層の宿泊者は昨対180%。そして、三谷温泉旅館振興協同組合としてじゃらんアワード2022で「編集長が選ぶ元気な地域大賞」を受賞。皆様の笑顔を見て、思わず涙がこぼれました。

宿泊施設の売上向上のためにできることは、各宿のPRだけでなく、エリア全体の魅力をカスタマーに伝えていくことだと考えています。今後はこの経験を活かしてより多くの地域の観光活性化のお手伝いができたらと思っています。

※OTA:Online Travel Agent

※リクルートグループ報『かもめ』2024年3月号からの転載記事です

リクルート旅行Division 遠藤綾乃が取材を終えて

登壇者プロフィール

※プロフィールは取材当時のものです

遠藤綾乃(えんどう・あやの)
株式会社リクルート 旅行Division 営業3部 東海グループ 東海1チーム

羽田空港でのカウンター業務を経て、2020年12月リクルートに入社し、旅行Div.名古屋支社に配属され、人生初の愛知県に降り立つ。東海圏シティホテル群、愛知県内の温泉地等を担当。入社以来、勉強のため東海圏内の温泉地を泊まり歩く。趣味はラーメン店開拓。名古屋発祥の台湾ラーメンがお気に入り

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