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気候変動への
取り組み
温室効果ガス排出量の削減
2030年度までに、自社の事業活動およびバリューチェーン全体を通じたカーボンニュートラル達成を目指します。
私たちは、環境ビジョンで掲げた「more eco more smile」の世界を実現するため、「2020年度までに2008年度比で日本国内の温室効果ガスの排出量を総量25%削減」する目標を定めており、こちらは2021年3月期時点で基準年に対して総量62.4%減という形で大きく達成しました。
次なる目標として、マッチング&ソリューションSBUにおいても、まずは2021年度に事業活動における温室効果ガス排出量※1、さらに2030年度までにバリューチェーン全体での温室効果ガス排出量※2をカーボンニュートラルとすることを目指します。
この達成に向けて、オフィスの節電のような日々の省エネ活動に加え、再生可能エネルギーの導入や炭素クレジットの購入など、さまざまな施策を検討・実施してまいります。なお、最新のリクルートグループの温室効果ガス(GHG)排出量はESGデータブックにて開示しています。
参考:気候変動への取り組み | 環境 | リクルートホールディングス
※1事業活動における温室効果ガス排出量は、スコープ1(オフィスにて直接排出される温室効果ガス)、スコープ2(オフィスにて間接的に排出される温室効果ガス)の合計です。カーボンニュートラルには、温室効果ガス排出量の削減に加え、残りの排出量のオフセットを含みます。温室効果ガス測定後、2022年11月までに排出量に対する第三者認証を取得し、その後オフセットを行い、2021年度の温室効果ガスに対するカーボンニュートラルを達成する予定です。
※2バリューチェーン全体における温室効果ガス排出量は、スコープ1、2に加えて、スコープ3(スコープ1、2を除く間接的に排出される温室効果ガス)を含むすべてです。
GHG削減への主な取り組み
企業活動およびライフサイクル全体でのGHG排出量を削減するために、以下の取り組みを推進しています。
項目 | 対象 | |
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企業活動 |
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ライフサイクル (商品・サービス) |
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原料調達・製造 |
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流通 |
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サービス利用 |
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廃棄・リサイクル |
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エンゲージメントの推進
リクルートは、2022年からパートナー企業と連携しながらGHG排出量の測定を精緻化する取り組みを進めています。
排出量を詳細に把握することで、削減に向けてより効果的かつ具体的に打ち手を検討できるようになります。
これまでに、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (以下、「NTTデータ」)、日本航空株式会社などといったパートナーの方々と連携を開始し、GHG排出量削減 に向けた中長期ビジョンを相互に共有、排出量の測 定と精緻化に向けた議論を開始しています。
バリューチェーンにおけるGHG排出量は、相互に連携・協力し合うことで全体の削減規模やスピードを加速することができます。
リクルートは、パートナーの皆様と連携しながら1つでも多くの削減事例を広く社会全体と共有していくことで、日本社会全体のGHG排出量の削減に貢献することを目指します。
情報誌での活動
GHG排出量の削減
リクルートは、情報誌発行の各工程で、環境負荷をなるべく低減するため、GHG排出量削減の取り組みを自社・各パートナー様とともに行っています。また一部の情報誌はFSC認証紙を使用しています。
具体的な取り組みとしては情報誌を必要としている人に届けるために、最適な配本・最適な印刷部数を設定したり、多岐にわたる納品先(書店やコンビニエンスストア、駅など)に対し最適なルートで配送できるような設計を行っています。また印刷会社・製紙会社と環境負荷低減に向けての対話を続けながら、各工程で努力を重ねています。
バリューチェーンでの取り組み
情報誌発行における各工程での詳細は以下の通り。
それぞれの工程において環境負荷を低減させる施策を実施しています。
リクルート独自の取り組み
配本設計(AI配本)
独自に開発したAIシステムを活用し、全国にある書店・コンビニ・ラック等から読者の手に取っていただける情報誌の需要部数を予測。最適な部数を設置することで余剰・廃棄となってしまう情報誌を低減しています。
古紙回収
カスタマーの手に届かなかった情報誌の回収管理も徹底して行っています。回収された情報誌は全て古紙会社へ届けられ、製紙会社に納入されることで、新たにつくられる用紙の原材料へと生まれ変わります。
ネットサービスでの活動
リクルートグループのあらゆる事業に今やネットサービスは欠かせません。
リクルートでは、データセンターを統合し、分散していたIT機器を集約するとともに、環境負荷の少ないデータセンターを構築しました。同時にIT機器、ネットワーク機器とも消費電力の低い最新機種へ変更し、台数自体も削減しています。ネットサービス運営で使用しているデータセンターにおけるGHG総排出量の削減に努めています。
オフィスでの活動
GHG排出量の削減に寄与するべく、2021年より九段坂上KSビルで、従来使用していた化石燃料由来の電力から、太陽光やバイオマスなどの再生可能エネルギー由来電力プランに変更しました。これは、non-FIT再エネ電源とグリーン電力証書を主として再エネ由来Jクレジット、トラッキング付非化石証書で構成される再エネ属性証明書(※)を活用した再生可能エネルギー100%の電力プランであり、実質的なGHG排出量ゼロ(カーボンニュートラル)になります。
このグリーン電力証書を主とする再エネ属性証明書の購入に伴う代金の一部はグリーン電力発電設備の維持管理等に役立てられ、再生可能エネルギーの普及につながります。
※再エネ属性証明書とは、グローバル基準として認識されているGHGプロトコル(温室効果ガス算定報告ルール)において広く認識されている再生可能エネルギーであることの環境価値を示すものです。日本国内では、グリーン電力証書、再エネ由来Jクレジット、トラッキング付非化石証書がRE100に対する報告に活用できると認められています。
気候関連問題のリスクと機会
気候変動に伴う当社グループのリスク及び機会については、取締役 兼 常務執⾏役員 兼 COOを責任者として識別、評価、管理を⾏うとともに、2021年度よりTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づいて開示しています。また、適切な気候変動対策を⾏うため、取締役会は必要な体制を整備し、監督します。
生物多様性の保全/植林事業
リクルートが行う生物多様性の保全のための活動の一つが植林事業です。リクルートでは2006年より、リクルートホールディングスと共同出資で植林事業を進めています。この活動は、当時フリーペーパーの発行が拡大し、紙資源の使用量が増える中で 「紙媒体を扱う会社として木を消費するだけでなく、自分たちでも育てて社会に貢献していこう」という、企業の社会的責任を考慮してスタートしたものです。
リクルートの植林地は西オーストラリアのパース北部に6か所、計420ヘクタールに及び、いずれも豪州の森林認証であるResponsible Wood認証(PEFC(注2)相互認証)を取得しています。植林地の樹木はユーカリで、1年で3m以上も成長し、約10年で収穫できるまでに育ちます。良好な土壌選択や的確な害虫駆除・除草対策など、運営パートナーであるWAPRES(西豪州最大の植林事業会社)の現地スタッフが各植林地を定期的に回り、メンテナンスを実施しています。
2016年より伐採を開始し、2033年までの伐採計画において、収穫が予想されるチップの量は194,495GT(グリーントン:⽔分を含んだチップの⽣重量、⾵乾重量の単位)です。伐採・収穫された樹木は、現地で紙の原料となるチップに加工され、製紙会社に納入されます。この一連の運営サイクルにおいては、FSC(注3)認証を取得しています。事業の一環として植林を行うことが社会的・将来的な価値の創出につながると考え、今後もこの活動を継続していく予定です。
(注1) 概算CO2吸収量:8,400〜14,700t-CO2/年 ※ユーカリの⼆酸化炭素吸収率を年間20〜35t-CO2/ha程度と想定しています。
(注2) PEFC: 正式名称「Programme for the Endorsement of Forest Certification」。国際的な非営利の非政府組織であり、各国の森林認証システムを管理するグローバル アライアンス。
(注3) FSC: 正式名称「森林管理協議会」