リクルートが「JMAQA AWARDS 2023」受賞企業の事例講演に登壇。パートナー企業と連携した「GHG削減戦略プロジェクト」とは?

「JMAQA AWARDS 2023」において、株式会社リクルートホールディングスが受賞。

2024年1月23日(火)には受賞企業による事例講演が行われ、リクルートのサステナビリティ推進室室長である菊地 明重が登壇。そこで紹介された「GHG削減戦略プロジェクト」の取り組みについて紹介します。

講演にはリクルートのサステナビリティ推進室室長 菊地 明重が登壇

講演にはリクルートのサステナビリティ推進室室長 菊地 明重が登壇

リクルートグループの環境の取り組みの全体像

リクルートグループでは「事業サービスを通じた環境保全活動」「地球温暖化防止の取り組み」「リサイクル・省エネルギー・汚染予防・生物多様性保全の取り組み」「従業員への積極的な環境意識醸成・行動支援」という4つの環境方針を掲げています。環境方針に基づいた取り組みを着実に実施するに当たり、2011年3月に環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001を認証取得。特にバリューチェーン全体(※1)に関連する際には、ISO14001に基づく環境マネジメントシステムを反映しながら推進しています。これにより、高い環境目標を設定し、多くのステークホルダーとスピーディに取り組めるようになってきています。

さらに、2021年5月に発表された経営戦略のひとつ「サステナビリティのコミットメント」では「2030年度までに当社グループの事業活動を含むバリューチェーン全体(※2)を通じた温室効果ガス排出量におけるカーボンニュートラル達成」を目指すことを掲げています。

バリューチェーン全体のGHG排出量

リクルートが2022年に発足した「GHG削減戦略プロジェクト」においても、ISOでの活動も取り入れながら、カーボンニュートラル達成を目指しています。

※1 バリューチェーンには、従業員の出張や通勤、商品やサービスの購入・調達、運輸・物流などが含まれる
※2 事業活動における温室効果ガス排出量は、スコープ1(自社が管理・所有するオフィスにて直接排出される温室効果ガス)、スコープ2(自社が管理・所有するオフィスにて購入した電力・熱・蒸気エネルギーなどの使用を通して間接的に排出される温室効果ガス)の合計。バリューチェーン全体における温室効果ガス排出量は、スコープ1、2に加えて、スコープ3(スコープ1、2を除く間接的に排出される温室効果ガス)を含む全て。GHG排出量の算定、排出量に対する第三者認証の取得、さらに残存する排出量に対してオフセットを行った上で、カーボンニュートラルの達成を目指す。

リクルートグループの環境の取り組みの全体像

難易度の高い目標達成に挑む「GHG削減戦略プロジェクト」

リクルートにおけるGHG(温室効果ガス)の特徴は、自社による排出は約4%で、残りの約96%はScope3(サプライチェーン上の排出量)が占める点。その中で「2030年度までに当社グループの事業活動を含むバリューチェーン全体を通じた温室効果ガス排出量におけるカーボンニュートラル達成」という難易度の高いコミットメントを達成するためには、パートナー企業(取引先企業)との連携や対話が不可欠です。そのため、パートナー企業との取り組みを主軸に、日ごろパートナー企業とコミュニケーションを取っているさまざまな部署が連携し、全社横断でGHG削減の打ち手の策定・実行する目的として発足したのが「GHG削減戦略プロジェクト」です。

リクルートグループの年間GHG排出量

出典:リクルートホールディングス「ESG Data Book 2023」

プロジェクトでは大きく3つの取り組みを進めています。1つ目は、パートナー企業と協働しながら進める「排出量算定方法の精緻化」により、パートナー企業の削減努力をリクルートの排出量にも反映できるようにすること。2つ目は、「事業×削減施策の実施」で、リクルート自社での取り組みです。3つ目は、「社内外への啓発活動」で、これにより1つ目、2つ目の取り組みを加速していくことを目指しています。

取り組み1:排出量算定方法の精緻化

この取り組みは、パートナー企業と連携しながらGHG排出量の算定を精緻化し、排出量を詳細に把握できる仕組みを構築するものです。パートナー企業のGHG削減を推進することは、結果としてリクルートのGHG削減にもつながっています。

取り組み1:排出量算定方法の精緻化

GHG排出量を算定していないパートナー企業に対しては、算定におけるポイントや難所について情報交換を行い、それらの内容を反映したマニュアルやツールをともに作成するなど、協働しながら環境負荷軽減に向けた施策の推進に努めています。

パートナー企業からは、
「GHG排出量算定をしていることが環境先進企業として、社内外に対してアピールになる」
「人員や知識が足りなくて何から手をつけたらいいのか分からなかったが、ポイントを絞ったマニュアルがあると初心者のわれわれでも理解しやすいので、とても助かる」
「自動で算出してくれる算定ツールがあると嬉しい」

といった多くのポジティブな声をいただけており、互いのメリットを生み出しながら算定を進めることができています。

取り組み2:事業×削減施策の実施

リクルートは、自社の直接的な排出についてもパートナー企業と対話しながら、削減策を進めています。

具体的な例としては、事業拠点の100%再エネ化に向けて、気候変動対策に対する目標や取り組みについてビルオーナーに共有して再エネ導入を促進。レンタカー会社と連携しながら、営業拠点におけるレンタカーのHV化にも取り組んでいます。

その他にもリクルートが提供するサービスを通じて、リクルート内だけでなく、ユーザー・社会の環境への取り組み促進にも寄与していく施策も実施。例えば、『スタディサプリ』の事例では、高校生向けの情報提供サービスである『進学事典』や、学校の宿題・テストなどのデジタル化をしています。ユーザーにとっては、持ち運びが容易になり、検索性能の向上などの利便性が大幅に向上。また学校としても、宿題やテストなどの印刷時に発生するGHG排出量や管理工数の低減というメリットがあります。結果として、10億ページ以上の紙削減という環境面での大きな成果を創出することができました。

取り組み2:事業×削減施策の実施

このように環境に配慮したサービス・情報をプラットフォーマーとして提供することで、ユーザー・クライアントにも影響を与え、地球環境への削減効果を生み出しています。

取り組み3:社外・社内への啓発

社外のイベントやセミナーなどにも積極的に登壇し、情報発信を行うことで、業界全体への啓発活動を行っています。例えば、アジア最大級のマーケティングカンファレンス「アドテック東京」では、リクルートの役員が登壇し、「広告業界が取り組むべきカーボンニュートラル」をテーマにディスカッションを実施。また、JAA (日本アドバタイザーズ協会)セミナーでは、加盟社向けに電通×リクルートで講演を開催し、「いまそこにある、広告ビジネスの脱炭素化について考える」をテーマに、社会からの要求の高まりや実際の取り組み内容を交えた推進におけるポイントなどを情報発信しています。

社内に対しても情報発信を積極的に行っており、環境担当部門以外の社員向けの社内勉強会の実施、社内メルマガや社内報でのGHG削減につながる身近な取り組みの発信などを行っています。

イベントの最後には菊地より今後の取り組みについて語られました。

「今後も不確実性が高まるこの世界の中で持続可能な社会を実現するには、全てのステークホルダーと共存共栄していくことが重要だと考えています。そのためには、社会や地球環境にとって、ポジティブなインパクトを与えていくことが必要になりますが、リクルートだけでは取り組めることに限界があります。環境への取り組みをより大きなインパクトにしていくためにも、パートナー企業の皆様との連携が大切だと考えています」

今後もリクルートでは、コミットメント達成に向けて既成概念にとらわれないチャレンジを続けていくとともに、この受賞をきっかけに社内の環境への取り組みの機運をさらに高めてまいりたいと考えております。しかし、自社のみでできることは大変小さく限界があり、パートナー企業の皆様とのご協力・ご連携が不可欠です。ともに環境へのポジティブな影響を発揮し、一緒に取り組みを推進していただけますよう、努めてまいります。

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