もう一度、「商うを、自由に。」-能登半島で営業を続けるマリンリゾートの「復興への歩み」

もう一度、「商うを、自由に。」-能登半島で営業を続けるマリンリゾートの「復興への歩み」

能登島でイルカに会えるマリンリゾート「海とオルゴール」を営む坂下 さとみさん

2024年1月1日に石川県能登地方で発生し、甚大な被害をもたらした能登半島地震。震災から1年がたち、現地の模様を伝える報道は減りつつありますが、今もなお厳しい状況が続く地域もあり、復興への道のりはまだ途上にあります。能登で事業を営む人々も大きな被害に遭いましたが、そんな状況にあっても前を見据えて歩み続けています。
リクルートの「Air ビジネスツールズ」では、「美しい能登の自然をこれからも伝え続けたい」と尽力されている能登島マリンリゾートの坂下 さとみさんに現場からのレポートを届けていただき、コラムとして発信しています。

坂下さんが営む、イルカに会える「海とオルゴール」は、今年で20周年を迎える地域に根付いたお店。目の前の海に野生のイルカが暮らしていることから、イルカウォッチングとドルフィンスイムの体験も提供しており、全国から観光客が訪れます。

右側にイルカが泳いでいる画像。左側に能登半島の中央付近にある能登島と「海とオルゴール」の位置を示した地図のイラスト

そんな同店も、震災により大きな被害を受けました。スタッフはみな無事だったものの、建物は傾き駐車場はひび割れ、食器や調理器具などはほとんどが壊れてしまいました。

坂下さんは変わり果てた地域の様子を目の当たりにし、一時は「もうだめだ。店を畳む準備をしよう」と考えたそうです。しかし、「能登島の穏やかな海、どこまでも澄み切った空、この素晴らしい風景で癒やしを感じる人がいるはずだ」というお店を立ち上げたときの原点を思い出し、続けることを決意。SNSでお店の状況や、イルカが無事にいることを発信したところ、全国から励ましの声が届き、「こんなにも応援してくれる方がいる。もう一度頑張ろう!と力を与えられた」と坂下さんは言います。

試行錯誤を重ねながらできることを模索し、時には地域の事業者とも交流を深めながら前に進みはじめた矢先の9月、能登半島豪雨にも見舞われました。何度も心が折れそうになりながらも、「絶対にあきらめない」という強い想いで、今も前向きに事業を続けています。
「観光客が戻ってくるにはまだまだ時間がかかると思いますが、足を運んでくださる方はきっといるはず。あきらめることなく『ここで元気にやってるよ!』と発信し続けていけば、お客様は必ず戻ってきてくれると信じています」(坂下さん)

「Air ビジネスツールズ」では坂下さんからの現場レポートを連載しています 。何度も苦難を乗り越えて営業を続ける「海とオルゴール」の日常や、坂下さんがその時々に感じた想いをそのまま伝えることで、能登への関心が高まり、訪れる人が少しでも増えるきっかけになればと考えています 。また、同じように困難な状況の中でもあきらめずに日々を営んでいる事業者の方々にとって、このレポートがさらに歩みを進める後押しになると幸いです。


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