多様な働き方

生成AIによる仕事と働き方への影響の現状と未来(後編・未来編) ~定量調査と生成AI活用者へのインタビュー調査を通じて見えてきたこと~

調査レポート

2024年08月01日 転載元:リクルート ワークス研究所

生成AIによる仕事と働き方への影響の現状と未来(後編・未来編) ~定量調査と生成AI活用者へのインタビュー調査を通じて見えてきたこと~

生成AIの技術の進化は目覚ましく、生成AI関連の商品・サービスが次々と発表される一方、私たちリクルートワークス研究所が実施した「1万人調査」によると、就業者のうち生成AIを活用している人は約8%(※1)という状況であり、個々人が新しい技術を使ってみたり、適応していったりするスピードとの間には差がある。生成AIを多くの人が使うことができる状況になって1年半。この間生成AIを活用してきた人は、生成AIに対してどのような実感を持ち、生成AIが働く人や組織に与える影響をどのように見ているのだろうか。新技術を使っている人だからこそ見える世界があるのではないか。

リクルートワークス研究所は、「1万人調査」の結果を受けて、「生成AI活用者の考える仕事や組織の現在と未来に関する調査」(以下、「本定量調査」)を追加で行った(※2)。なお、「生成AIを使う」と一口に言っても、生成AIの存在を意識することなくツールやサービスを使っている場合と、自らの意思で生成AIを使っている場合がある。

本定量調査およびインタビュー調査では、後者を扱う。前編では、生成AIの活用が「これまで」の仕事にどのようなインパクトを与えているのかを、アンケート調査やインタビューから明らかにしてきた。しかし生成AIの影響を考える上で重要なのは、「これからの変化」であろう。そこで後編となる本稿では、生成AI活用者が、生成AIが「未来の働き方」にどのような影響を及ぼすと認識しているのかを確認することで、これから生じる変化の片鱗を捉えることとしたい。

生成AIが、一般論として、そして回答者にとってどのような影響をもたらしそうかを本定量調査で尋ねた。図表1は、その結果に基づき、【私の仕事の未来】【生産性】【チーム、働き方】【管理職の役割】【属性別の活躍】の領域別に、生成AI活用者の回答結果を整理した。その上で、就業者の生成AI活用頻度と領域によって、〈仕事×創造的活用群〉〈仕事×基礎的活用群〉〈プライベート活用群〉〈生成AI非活用群〉の4群に分類して結果を集計した(※3)。


生成AI活用者は、今後の生成AIの自身への影響をポジティブと予想

【生産性】については、生成AIを仕事で活用する人は、生成AIが生産性向上に寄与すると予想しており、そうでない人は、生産性向上に寄与するとはあまり考えていない、という結果になった。総じて、〈プライベート活用群〉や〈非活用群〉は、ポジティブ、ネガティブに限らず、生成AIの影響を小さく見積もっているようである。

生成AI活用群は、生成AIによっていろいろな属性の人が活躍すると予想

【属性別の活躍】については、仕事で生成AIを活用する人の結果を見ると、「生成AIを活用することで、若い人の活躍の可能性が広がる」という項目のスコアが高い。また「生成AIを活用することで、年配の人の活躍の可能性が広がる」という項目についてスコア自体が高いとはいえないものの、〈プライベート活用群〉や〈非活用群〉のスコアとの間には有意な差がある。加えて、「生成AIを活用することで、障がいを持つ人の活躍の可能性が広がる」や「生成AIを活用することで、専門性の高い仕事をする人が増える」というスコアも高い。こうしたことから、仕事で生成AIを活用する人は、生成AIの効果は、属性に関係なく享受できるのではないかと見ていることがわかる。

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