急速に変化する社会において、企業はその変化に迅速かつ柔軟に対応することが求められています。技術革新や消費者のニーズの多様化に加え、基盤となる環境問題への対応や人権の尊重など、さまざまな事象が企業の経営環境に影響を与えています。
リクルートには、「未来に旗を立てよう」を組織ビジョンに掲げ、社会とリクルートのより良い未来の実現のため、調査・分析・研究を通じて多様なステークホルダーの意思決定を支援する調査室という部署があります。本部署は、生活者や企業に関しての調査・分析・研究や事業データの分析、戦略策定(BI:ビジネスインテリジェンス)における情報活用の支援などを担っています。
調査活動事例
さまざまな調査活動の中で、例えば、社内向けに定期的に発行している「STEEEPレポート」についてご紹介します。 リクルートの事業に中長期的な影響を与える外部環境の大きな変化は、テクノロジーや、経済、社会など、さまざまな側面から絶えず発生しています。本レポートは、こういった外部環境の変化を的確に捉え、企業として今後向き合っていくべきテーマを提示し、次の意思決定や事業活動のヒントとなるよう発行しています。
本レポートの2つの特徴をご紹介します。
1.先進的なフレームワーク
事業を取り巻く外部環境の中長期的な変化について、網羅性を重視の上、“PEST”のフレームを拡張し、以下の頭文字を取った「STEEEP」フレームを利用し、網羅的・構造的に解説しています。
(1)Society(社会)
(2)Technology(技術)
(3)Economy(経済)
(4)Ecology(環境)
(5)Ethics(倫理)
(6)Politics(政治)
2.考察の提供
本レポートでは、単なる事実情報だけでなく、変化の見立て、自社の事業への影響についての考察を提供しています。
2024年度の、「二層多群化社会がリクルートに与えるインパクト」に関するレポートでは、社会起点の視点を意識し、本格的な「人口オーナス期」の到来や経済問題を背景に発生している生活者の格差の拡大と中間層の減少、そして同時に進んでいる生活者の行動や価値観の多様化をまとめて「二層多群化」と名づけ、考察テーマとして掲げています。これらの情報分析を基に、事実情報のみならず、リクルートの現在地に対する考察・評価ならびに、よりよい未来に向けて今後対峙すべきテーマや課題についての提言を行っています。
※本レポートは社外への公開は行っておりません。
変化の絶えない社会におけるリクルートの役割とは
過去、調査室ではCOVID-19によるパンデミックが社会にもリクルートの事業にも大きな影響を与えている渦中に、コロナ禍レポートを社内向けに企画し、発行していました。その際、社内からさまざまな反響や質問・要望を受け、事業や社会を俯瞰した「鳥の目」視点、中長期の時間軸での「魚の目」視点の重要性と有効性を実感することができました。その気づきを活かし、中長期の事業環境変化を正しく前向きに捉えて、変化を機会に変えるための情報を継続的に提供していくことが重要と考えています。
変化の著しい社会においても、リクルートは社会から必要とされる企業であり続けたいと考えています。そのために、各種調査の情報を今後も継続的に取得・活用することで、世の中へ提供する事業やサービスのさらなる進化を目指してまいります。