コロナ禍でDXを加速し、中古車のオンライン販売促進と販売店支援サービスを拡充

1984年に雑誌でスタートした、リクルートの中古車情報メディア『カーセンサー』。1996年にインターネット版をリリースし、現在は中古車の掲載台数が48万台(2022年4月時点)を超え、日本最大級の中古車情報メディアに成長しました。

ユーザーに正確で信頼できる情報を伝えることで、安心安全な中古車取引を促進してきた『カーセンサー』。新型コロナウイルスが拡大した2020年、2021年には、ユーザーが来店不安を抱える中、オンラインのみで安全な車探しができるようDX化をさらに加速。2〜3週間という短期間で、オンライン上で相談・実車確認ができる「インスタントLIVE」を開発・導入しました。その後も順次改善を加えてオンライン上での機能を追加し、販売の業務支援につながるDX支援サービスを拡充しています。こうしたコロナ禍での取り組みをご紹介します。

インターネット販売の課題解決に挑み続けてきた『カーセンサー』

『カーセンサー』では、ユーザーに正確で信頼できる情報を伝えることを使命に長年取り組んできました。情報の透明性を高めていくことが中古車市場の活性化につながると考え、今では当たり前となった中古車の走行距離や修復歴の有無、車体番号の情報を中古車メディアとして初めて表示を義務付けたのも『カーセンサー』です。さらに2010年には、第三者の検査専門機関「AIS」が詳細に車両を検査する「カーセンサー認定」サービス、2012年には、中古車専用の保証制度「カーセンサーアフター保証」を開始し、ユーザーが納得と安心をして中古車選びができる世界を作り上げてきました。

1996年、インターネット普及率が1割にも満たない黎明期より、『カーセンサー』ではいち早くインターネットでのサービスを開始しました。価格や在庫状況の情報をリアルタイムで提供できるというインターネットの利点がある一方で、その情報を更新していくのは販売店。リアルタイムに更新できなければ、「掲載されている車について問い合わせたのに、すでに在庫がない」というユーザーの不利益が生まれてしまいます。そこで販売店のビジネスサイクルの変革からインターネット環境整備まで幅広く支援することで、『カーセンサー』ではオンライン販売の環境を作り上げてきました。

こうした取り組みが功を奏し、ここ10年ほどでインターネット版の利用者数は大きく伸びています。雑誌の場合は、雑誌の情報で比較検討した上で、最終的には店舗で現物を自分の目で見て購入するケースがほぼ100%でした。しかしインターネット版では、インターネットの普及によって遠方の店舗の車も探す人が増えたこと、写真と情報だけでは分からない部分も正確な情報として表示したこと、専門機関による公正な品質保証「カーセンサー認定」で安心して購入できる仕組みを作り上げたことで、オンラインのみでの中古車取引が増えてきました。

コロナ禍でDXをさらに加速し、販売店支援サービスを拡充

コロナ禍において、質・量共に伸びている中古車市場。2020年4月は消費者の行動が一時的に抑えられたものの、5月後半より中古車探しが活況になりました。自由で安全な移動手段としての車利用が増えたこと、半導体不足により人気モデルの新車の納車が数カ月待ちとなっていること、さらに世の中的にもサステナブルな気運の高まりなどが理由と考えられます。

『カーセンサー』においても、月別の検索数の伸びが数%から二桁%に増え、各販売店への問い合わせ件数も増加。しかし一方で来店不安を抱えるユーザーも増えたことで、オンラインを活用したより安心安全な車探しに向けた取り組みが急務となりました。こうしたニーズはコロナ禍に限らず以前より存在しており、ユーザーの「大きな買い物なのでプロに相談したいが、検討初期から来店するのはハードルが高い」という声や、販売店からの「中古車は一物一価だからこそ、遠方の方にも来店の負担なく検討いただきたい」という要望を頂いていました。そうした背景もあり、コロナ禍以前より構想していた、ビデオ通話機能によってオンライン商談ができる「インスタントLIVE」を最優先事項として開発・導入することに。パートナー企業と共に2〜3週間という急ピッチで開発し、2020年のゴールデンウィーク直前にリリースしました。

最も議論したのは個人情報の扱いです。アプリのインストールや販売店とのID交換をするのはユーザーにとって心理的抵抗があると考え、個人情報を提供することなく使えることを優先し、販売店が発行したリンクを踏めばブラウザ上で相談や実車確認ができる仕組みに。ユーザー側でカメラオフにより顔を出さずにオンライン相談も可能。さらにカーセンサーにある、車体の内外装を360°好きな角度から確認できる「360°画像の閲覧機能」の利用による相乗効果により、より納得度の高い車選びができます。

「インスタントLIVE」によって、ユーザーからは「直接会うことなく気軽に相談できる」「クリアな画質により遠隔でも現車確認ができる」「家にいる中で模擬的な店舗巡りができる」などの声を頂いています。また、販売店からも、遠方の方への販売機会が増えたこと、問い合わせから成約までのスパンが短縮されて効率を上げられることが評価されています。「インスタントLIVE」の導入中古車台数は、2020年7月の初週と最終週で比較すると、わずか1カ月間で474%に増加。中古車市場のDX化ニーズの高まりを感じる結果となりました。

「インスタントLIVE」はその後も順次改善を続けており、契約後の車庫証明取得をはじめとした諸手続きをオンライン上で行えるオプション機能を追加など、販売店業務のDX化を支援。2021年後半は、半導体不足による新車生産量が減少した影響により、オークション相場や仕入れコストが高騰し、販売店は利益を圧迫される状況に置かれる中、DXの推進によって利益率改善などへの貢献を目指します。『カーセンサー』では、今後もコロナ禍で加速させたDXによる販売店支援サービスをさらに拡充させていく予定です。

この記事をシェアする

シェアする

この記事のURLとタイトルをコピーする

コピーする

 

(c) Recruit Co., Ltd.