実施レポート 7月13日(月)開催「従業員向けの戦略的保活支援」

従業員向けの戦略的保活支援オンラインセミナーを開催
2018年からリクルートの社内施策として、100%内製でスタートした戦略的保活支援「保活のミカタ」。初年度から相談した従業員の95%が保育園入園を叶えることができました。そして、このたび新たに立ち上げた「保活総研」。その活動のまず第一歩として、リクルートで培った保活支援ノウハウをお伝えし、社外で役立てていただきたいと思っております。今回は、ダイバーシティを推進される企業様向けに開催した第1回の戦略的保活支援オンラインセミナーの様子をお届けします。

テーマはソーシャルイノベーション。社会課題について、社外パートナーと一緒に、“未来のアタリマエ“をつくりたい


リクルート ダイバーシティ推進部 部長の塚本尚子(以下塚本)より保活総研設立の目的と背景についてお話しさせていただきました。

塚本:私どもが関わっている、ダイバーシティ&インクルージョン(以下D&I)の仕事の多くは、社内課題の打ち手ではなく、社会課題への打ち手だと感じています。例えば、介護、セクシュアル・マイノリティのひとつであるLGBTQへの理解、今回の保活についても、社会課題と密接に紐づいています。しかしこれまで、そのような社会課題に1社で対峙していた背景があります。

D&Iの仕事は、従業員の、より良い「“未来の働く”についてのアタリマエ」を作ること。その実現に向けて社外のパートナーの知恵をお借りすることで、企業横断で社会課題に関するテーマの打ち手を考え、将来的に課題解決ができるよう立ち上げたのが「保活総研」です。

98.7%。この数字は、保育園入園を希望しても70%前後の従業員しか入園できていない現状を解決すべく、従業員向けに復職支援サポートを開始し、保育園に入園することができた結果です。

しかし、98.7%を実現できたから良い、というわけではなく、復職支援サポートを推進していく中で、もっと目指していきたい世界が見えてきました。
ある企業に、復職支援サポートについてお話をしたところ、「詳しく聞いて、理解したい」というお声をいただきました。これをきっかけに、私どもが実践してきた取り組みが少しでもお役に立てるのであれば、リクルートがこれまで培ったノウハウを、ご要望に応じてお伝えしたいと考えるようになりました。
より多くの方がスムーズな保活を実現し、さらに他社様の知恵もいただきながら磨きあげていくことで、将来的には新しいルール・風土を生み出し、変えていく流れにつなげていきたいです。

保活総研は「ライフステージが変化しても、希望通りの働き方ができる」未来のアタリマエに向かって、保活というテーマを皮切りに、企業横断で考えていきたいと思います。本セミナーはこれらのソーシャルイノベーションに向けて、つながり、考えられるキックオフの場にできれば幸いです。

保育園入園の基本ルールと子育てを取り巻く日本の現状


次に、働き方改革・女性活躍推進コンサルタントで、合同会社 Respect each other代表の天野 妙(以下天野)さんよりお話しいただきました。天野さんは、ご自身の保活経験をきっかけに、待機児童ゼロ、男性の育児休業・家庭進出、子育て政策、の3テーマで活動をする「みらい子育て全国ネットワーク」という団体の代表もされております。ご自身が当事者に発信を呼びかけたワード「#保育園に入りたい」は2017年のTwitter社の広告に使用され、待機児童解消に向けて国会でも参考人として意見陳述を行っています。40年解決してこなかった保育園問題について、保育園入園の基本ルールと子育てを取り巻く日本の現状についてご説明いただきました。

天野:保育園の入園システムは「玉入れ」に例えてご説明するとわかりやすいかと思います。
玉の大きさ、つまり利用調整の基準指数の大きい順に並べ替えられ、希望の順に入れられる仕組みです。籠の中に入れた人は認可保育園に入園できますが、希望園に通うことができるとは限りません。

さらに、認可保育園に入れない場合は「待機児童」となるのかというと、認可外保育園の通園者、特定の園を希望する方の子、育児休業中の方の子、求職活動を休止している方の子などは、「隠れ待機児童」となりカウントされません。また、本当は入園したいけれど、保育園の入園申請をしていない方も多く、それらは「潜在待機児童」と呼ばれどのくらいいらっしゃるのかわかっていません。「待機児童ゼロ」と謳われている自治体も多いですが、待機児童数の裏側に隠れる現実も認識しておく必要があります。また、今の世の中のトレンドである男性育休について、日本社会全体の状況と背景についても、データを用いながらご紹介いただきました。育児家事負担が第2子以降の出生率にも関わるという現状があり、男性育休については、ますます注目度があがっていくことが予想されます。

参加者からは、「客観的なデータを用いて保活の難しさを知ることができたのはとても有意義だった」、「基本知識や育休中社員が抱える悩みが網羅的にわかった。私自身、子もおらず、保活をしたことはないものの、育休中社員との窓口業務を担当しているので、今日のセミナーで得た知識をコミュニケーションで活かしていきたいと思う」などポジティブなご感想をいただきました。

一人ひとりの声を社会的なイノベーションへ。戦略的保活支援「保活のミカタ」が生まれるまで


続いては、従業員向け復職支援サポート「保活のミカタ」の取り組み起案者であるリクルート ダイバーシティ推進部 酒田絵美(以下酒田)から、
・日本の保活状況の厳しさ
・保育園に入園するために、企業として何をサポートすればいいのか
・保活のミカタが誕生するまでの経緯
・リクルートでの活用事例
についてお話をいたしました。

保活総研の目指す 未来のアタリマエ


保活総研では、「保活のミカタ」のノウハウをお伝えし、社外でも役立てていただくだけでなく、保育園入園に関して同じ課題感を持つさまざまな企業の皆さまと「未来の働き方」について考えていく予定です。自身も保育園の入園に苦戦した当事者である経験を元に、自らの経験を他の人にも役立てたいという熱い想いをもった酒田から保活総研の今後についてお話をいたしました。
保活総研の目指す 未来のアタリマエ


酒田:一当事者だったふたりの従業員からはじまった「保活のミカタ」は、働く全ての人が、ライフステージが変化しても希望通りの働き方ができる「未来のアタリマエ」を目指しています。「保活のミカタ」が到達したい「未来のアタリマエ」は、保育園入園問題の解決という社会課題への挑戦でもあります。
保活支援ノウハウを提供することで、共感していただけるさまざまな皆さまと、活動をブラッシュアップしながら進めていき、保育園入園に関わる一人ひとりの声を、社会的なイノベーションへと発展させることを目指します。

この取り組みに共感し、パートナーとなっていただける企業様には、保育園入園問題を皮切りに、今後は介護と仕事の両立、セクシュアル・マイノリティへの理解など、D&Iの各テーマにおいても、多様化する働き方の中で共に考え、意見を交換しながら、未来のアタリマエをつくっていきたいと考えております。

有意義なグループディスカッションと質疑応答


セミナーにご参加いただいた各企業の担当者様同士でブレイクアウトセッションにて意見交換をしていただきました。
参加した企業の担当者様からは、「今まで個人ごとに行っていた保活に会社が関わることで、ここまで変わっていくのかと驚きました。今後は考え方を変えていかなくてはいけないと感じました」という嬉しいお言葉をいただきました。共に協力しながら未来に向かい変わっていければ、と考えております。

質疑応答では、事前アンケートでのご質問のほか、当日もチャットでいただいた質問にお答えしています。
現在も猛威をふるう新型コロナウィルスが保育園に与えている影響についてもお話しいたしました。



ご参加いただきました皆さまと共に、非常に有意義な時間を過ごすことができました。
心より御礼申し上げます。

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