今、働き方改革によって柔軟な働き方が推進される中、キャリアの可能性を広げる「副業」の普及も進んでいます。その目的もさまざまで、「収入を増やしたい」という理由だけでなく、「自分が活躍できる場を広げたい」「さまざまな分野における人脈を構築したい」「組織外の知識や技術を積極的に取り込むため」など、将来に向けたキャリアアップを見据えて、収入だけを目的としない新しい副業のかたちを求めるケースもあります。
そうした副業を希望する方々を支援するため、会社を越えて成長企業に参画できる株式会社リクルートのサービス『サンカク』では、2021年より副業のマッチングサービスを本格スタート。特に注目を集めているのが、都市部で働きながら、地方企業に副業で貢献する「ふるさと副業」です。
地方には「会社をもっと成長させたい」「最新のテクノロジーを活用したいが、その知見や担い手がいない」と悩む企業がたくさん存在しています。一方で都市部には「地方に貢献できる取り組みがしたい」「自分の培ったスキルや技術を好きな街・地元にも提供したい」という思いを抱え、本業だけでは得られない挑戦と貢献の機会を求めるビジネスパーソンも増えています。「ふるさと副業」は、この双方をつなぐ新たなマッチングのかたちとなっています。今回は、新たにスタートした大阪府と秋田県での取り組みをご紹介します。
大阪府・秋田県の支援人材機関と連携した、企業と副業人材のマッチング支援
2022年4月時点で、登録ユーザー数は累計7.7万人、サービス利用企業延べ約475社に上り、「ふるさと副業」と「社会人インターンシップ」という2つのプロジェクトで豊富なノウハウを培ってきた『サンカク』。ここ数年では、各都道府県の人材支援機関と連携して、企業と副業人材のマッチングを支援する取り組みも進めています。
2022年はまず大阪府内に拠点を構える企業と副業人材のマッチング促進を進めるため、公益財団法人 大阪産業局が運営する「OSAKAしごとフィールド 中小企業人材支援センター中核人材雇用戦略デスク(大阪府プロ人材)」(以下「大阪府プロ人材」)と業務提携を締結。具体的には、『サンカク』のサービスサイト上に「大阪府プロ人材」の副業募集の特集ページを作成して運用する他、「大阪府プロ人材」と連携し、企業向けセミナーや個別相談会を開催し、大阪府内に拠点を構える企業と副業人材のマッチングを支援していく取り組みを進めています。その後、秋田県においても、公益財団法人 あきた企業活性化センターの「秋田県プロフェッショナル人材戦略拠点」と相互の連携と協力のため協定を締結し、大阪府と同様の取り組みを始めています
これまでの取り組みの中で見えてきたのが、人手不足が課題となっている地方企業において副業人材活用ニーズは高まっているものの、一方で「副業人材の採用方法や活用方法が分からない」「受け入れ準備や契約方法、報酬の設定の仕方など具体的に知りたい」といった悩みを抱えている企業も多く存在している点です。そうした企業に貢献していくのも『サンカク』の役割と考え、副業人材活用の方法や効果を多くの企業に伝えていくため、企業向けの無料セミナーも開催しています。
大阪では、第1回セミナーを2022年6月7日(火)にオンラインで開催。副業と正社員、兼業との違いや、副業が注目される背景、副業人材活用の現状についての共有から、『サンカク』の特徴や事例の紹介、「大阪府プロ人材」と『サンカク』の副業連携内容についての説明、副業人材を活用する上での不安・疑問の解消などさまざまなプログラムを実施しました。
秋田県では、2022年6月28日(火)から9月13日(火)の間に4回のセミナー開催を予定しており、先着15社で個別相談会も実施しています。こちらのセミナーでは、まず株式会社リクルートが行った「兼業副業に関する動向調査」の結果を元にした副業人材の受け入れ状況やその効果について共有。さらに多くの企業が副業に対して抱く、「コスト」「自社の副業体制の整備」「十分なコミットメントと成果」に関する不安を払拭し、副業人材の多くが金銭的報酬に加えて、どんな貢献ができるかといった「心理的報酬」を優先する人が多いこと、正社員採用と副業では重視される会社選びの軸が異なること、雇用ではなく業務委託で依頼できることなど、正しく認知することが副業活用を成功させるための第一歩であることを伝えました。さらに「副業・兼業の活用で外してはいけない3つのこと」というテーマで重要なポイントを語り、副業人材を正しく活用することができれば、企業の経営課題の解決・事業成長につなげていけることを伝えてセミナーを締めくくりました。
政府も普及促進を進める中、今後もますますニーズが高まる「ふるさと副業」
政府は2018年に「原則副業・兼業を認める方向で、副業・兼業の普及促進を図る」と掲げ、副業・兼業の促進に関するガイドラインを策定。副業を解禁する企業が続々と増え、テレワークが普及していく中、地方企業にとっては副業人材を活用するチャンスが広がっています。 『サンカク』においても兼業・副業を募集する案件が急増し、2021年度の約50件から、2022年度は半期で約100件にまで拡大しています。2018 年に福岡県、2020年・2021年に石川県で開催した『サンカク』の「ふるさと副業」のイベントでは、複数の副業マッチングが生まれ、中には現在継続中のプロジェクトもあります。さらに、石川県では2022年度も開催予定です。その他、「ふるさと副業」の事例はホームページにて公開していますので、ぜひご覧ください。今後も『サンカク』では、「ふるさと副業」の取り組みを全国のさまざまな地域へと広げ、副業人材活用の促進と企業の課題解決に貢献できるよう取り組んでまいります。