副業による地方活性化を目指し、岐阜県可児市と連携して「副業人材活用セミナー」を開催

リクルートでは、会社を超えて外部の企業に参画できるサービス『サンカク 』を運営しています。その『サンカク』が提供しているサービスのひとつが、都市部で働くビジネスパーソンとしての個人と地方企業をつなぐ副業マッチングサービス「ふるさと副業」です。今回、岐阜県可児市と連携し、個人事業主・中小規模企業を対象とした「副業人材活用セミナー」を開催しましたので、内容をご紹介します。

副業人材活用セミナーの様子

経営課題解決の方法として注目が集まる副業人材の受け入れ

まずセミナーで語られたのは、副業人材の受け入れが進む背景です。労働人口の減少に伴い、地方の中小企業を中心に課題となっている人手不足。中小企業の多くの経営者は経営基盤の強化に向けて「営業力・販売力の強化」「人材確保・育成」を注力分野として挙げているものの、人材不足が要因となってなかなか進まないケースも少なくありません。しかしながら従業員300名未満の企業においては、新卒の有効求人倍率※は7倍に近づいており(ワークス大卒求人倍率調査より<2025年卒>)、今後はさらに採用が難しい状況が予想されることから、人材をどのように確保していくのかが地方の中小企業の昨今の大きな課題となっています。

※有効求人倍率:仕事を探している人に対して、どれだけの求人があるかを示す指標

一方で働き手の側でも変化が生まれています。コロナ禍の影響で東京の就業者の7割以上がテレワークを経験。働き方改革が進む中で余暇時間が生まれ、それを自己のキャリア投資に使いたいと考える人材が増えています。実際に2022年にリクルートが実施した調査では、正社員の約5.5割が「兼業・副業実施中」「今後の実施意向あり」と回答しています。

株式会社リクルート「新設計版 兼業・副業に関する動向調査2022」より、雇用形態が正社員の人の兼業・副業実施状況は、兼業・副業実施中が9.9%、過去に兼業・副業経験があり、今後の実施意向もある人は5.3%、過去に兼業・副業経験がなく、今後の実施意向がある人は41.1%、過去に兼業・副業経験があり、今後の実施意向がない人は3.3%、過去に兼業・副業経験がなく、今後の実施意向もない人は40.4%となり、約5.5割の方が兼業・副業実施中、今後の実施意向ありと回答しています。

こうした企業と働き手、双方の変化によって注目されているのが、「テレワーク×副業」による専門人材の獲得。実際に新規事業立ち上げや新商品開発、マーケティング、ECやSNSなどのオンラインを含む販路開拓、人事・採用、DX推進など多様な案件において、副業活用による課題解決が進んでいます。

地域企業が課題解決の対応に追われるも、担い手となる人材を地場では獲得できないと感じている「企業の変化」と、都市部の専門人材のテレワークという働き方の体得や本業以外に費やせる時間の増加による「働き手の変化」により、「テレワーク×副業」による専門人材の獲得に注目が高まっています。

リクルートの「ふるさと副業」で長年蓄積してきたマッチングノウハウを活かしたトータルサポート

2021年にスタートした「ふるさと副業」では、首都圏や都市部の経験豊富なビジネスパーソンと地方企業をマッチングし、業務委託/副業という出会いを数多く生み出しています。

企業が初めて副業人材を検討する場合、「副業人材の募集方法や活用方法が分からない」「受け入れ準備や契約方法、報酬の設定の仕方など具体的に知りたい」といった悩みをお持ちの場合も多く、そうした企業を丁寧に支援していくことを重視。各企業が事業としてやりたいことや課題をともに整理するところから始め、募集、座談会開催、最終的なマッチング成立までをトータルでサポートしています。 セミナーでは、リクルートが長年蓄積してきた副業マッチングのノウハウを活かし、副業人材活用を成功させるためのポイントと「ふるさと副業」での副業人材の受け入れ事例を紹介しました。

■新規事業における販路拡大・売り方開発
<青森県の造園・土木企業(社員数30名)>
新たに野菜工場の事業をスタートさせましたが、販路開拓や売り方開発を担う人材を求めて、正社員で募集しても全く応募が集まらない状態でした。そこで食品業界での経営企画経験を持つ副業人材を採用。飲食店などへの徹底した情報収集、野菜を直接届ける手法への切り替え戦略の提案を行ってくれた結果、現在では事業が軌道に乗っています。


■直販での売り上げアップを目指し、EC強化支援
<秋田県の革小物工房(社員数1名)>
利益率の高い直販を強化したいとECサイトを立ち上げ、SNS活用もしていますが、なかなか売り上げに結びつきませんでした。そこで、副業人材として大手ウェブサービス企業で複数のECサイトの運用やSNSを使ったマーケティング業務を担っている人材を採用。ECサイトをリニューアルし、Instagramの投稿にも力を入れたことで、フォロワー数が増加。現在ではInstagram経由の発注も増えています。


■副業人材をチーム活用し、オンライン販売を強化
<石川県の和菓子屋(社員数15名)>
コロナ禍による観光客の激減で売り上げが9割減に。急ぎECサイトの立ち上げを行うも、社内にスキルを持った人材がいなかったことから売り上げを伸ばすまでは至りませんでした。そこで、プロジェクトマネージャー、ECマーケティング、プランディング、Webデザイン、SNSプロモーション、それぞれに専門性を持つ5名の副業人材チームを組成。結果、EC売り上げは昨年同期比で1744%に伸長しています。

同じ課題を抱える経営者同士の交流会では白熱した議論も

最後にグループごとに情報交換会を開催。同じような課題を持つ経営者が集まり、「自社でどのような経営課題を抱えているのか」「どんな副業人材を活用できそうか」などをテーマに、自由にディスカッションを行いました。セミナーを通して副業人材のイメージに変化があったことや、自社の経営課題にも触れながら、想定した時間を超えるほど議論が白熱した会となりました。

副業を希望するビジネスパーソンが増えている今、「ふるさと副業」は地方企業の人材不足の課題解決、都市部と地方の交流による地域活性化につながるものと考えています。これからもリクルートでは、プロフェッショナル戦略人材拠点や商工会などの各種業界団体、地方金融機関といった「地方企業の支援を行う機関」と連携しながら、サービス利用の支援、サービス内容の強化を行ってまいります。

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