『働く喜び調査』で見えた日本の“働く”の現在地。働く喜びを感じている人は11年大きく変わらず約4割にとどまる

近年、労働市場においてウェルビーイング*への関心が高まっていますが、リクルートの人材紹介事業では以前よりウェルビーイングの考えを取り入れ、『ひとりでも多くの人たちが「働く喜び」を膨らませ、「働く喜び」の輪が、新たな活力を生み出している社会を創りたい』というビジョンを掲げて、人材領域での事業・サービスに取り組んできました。その中の取り組みのひとつが、2013 年より毎年、全国の就業者約 5,000 人~12,000 人を対象に実施している「働く喜び調査」です。

この調査では、日本の“働く”の現在地を明らかにするだけでなく、どうすれば「働く喜び」を感じることができるのか、という重要な課題に向き合い続けています。今回は、2013年から2023年までの11年間の変化をまとめたレポートを発表しましたので、その内容をご紹介します。

*ウェルビーイング:単なる健康や幸福だけではなく、仕事の充実感や生活の満足度を包括して表す概念

― 「働く喜び」を感じている人は約4割にとどまる

11年間の調査を通して見えたことは、「働く喜び」を必要とする人が毎年約8割以上いるにも関わらず、実際に「働く喜び」を感じている人は4割前後で推移し、その割合は11年間ほとんど変わっていないという点です。つまり働く喜びを必要としている人のうち、半数の人が働く喜びを感じられておらず、まだまだ課題の多い状況であることに変わりはありません。

この1年間、働くことに喜びを感じていたか

― 7つの「働く喜び」構成要素のうち、「信頼関係」「役割・居場所」は減少傾向

一方で「働く喜び」の構成要素には変化が見られ、日本の“働く”の現在地が見えてきます。リクルートでは「働く喜び」を構成する7つの要素として「信頼関係」「学び・成長」「役割・居場所」「快適な環境」「顧客の期待・感謝」「必要な収入」「社会的影響」を定義しています。11年間でおおむね増加傾向にあるのは、「思い続けてきた希望がかなえられている」「仕事の内容に見合った収入を得ている」といった自己実現や労働条件などに関連する「社会的影響」「必要な収入」に関する項目です。

働く喜びを構成する7つの要素

その反面、減少傾向が見られたのは「職場に自分の居場所がある」「気さくに話せる人がいる」といった「信頼関係」「役割・居場所」に関する項目です。

「職場に自分の居場所がある」と回答した人の割合

この11年間で働き方改革、ワークライフバランスへの意識への高まり、リモートワークの普及など、世の中の働き方や働く環境が大きく変化しました。その流れの中で、組織への帰属意識や、上司と部下、同僚同士の信頼関係が以前より希薄になっているのかもしれません。「働く喜び」を高めるためには、信頼関係の構築が土台になることも調査で分かっていますので、居場所の実感の低下は、人々のウェルビーイングやエンゲージメントに影響を及ぼすことが想定されます。企業が真摯に向き合うべき課題として、今後はさらに信頼関係の基盤づくりに重きを置くことが求められていく可能性があります。

日本型雇用が転換期を迎えた今、働く個人の価値観も今後ますます多様化していくことが予想されます。リクルートでは今後も日本の“働く”の現在地を明らかにし、一人ひとりの可能性に寄り添い、選択を支え、「働く喜び」の輪を広げていく取り組みを続けてまいります。

調査概要

調査方法:インターネットモニター調査

調査対象:全国の15歳~64歳の就業者

査実施期間・有効回答数:
2013年 12月 12日~12月 17日 11,264 人
2014年 12月 11日~12月 17日 11,839 人
2015年 12月 17日~12月 21日 5,503 人
2016年 12月 15日~12月 21日 5,583 人
2017年 12月 14日~12月 19日 5,624 人
2018年 12月 13日~12月 17日 6,983 人
2019年 12月 12日~12月 17日 5,467 人
2020年 12月 23日~12月 28日 9,350 人
2021年 12月 22日~12月 27日 7,699 人
2022年 12月 22日~12月 27日 7,461 人
2023年 12月 22日~12月 27日 6,257 人

調査機関:インターネット調査会社

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