地方企業とリクルートが人・組織課題解決を目指す協働合宿を開催。1年後に見えた組織の変化とは

少子高齢化や人口減少など、地域での課題が深刻化する中、株式会社リクルートでは地方創生のためのさまざまな取り組みを行っています。その代表的な活動のひとつが、地域の自治体や複数の企業と協力して、地域ぐるみで採用・育成・定着を行うサービス『マチリク』。2018年の宮城県気仙沼市から始まり、今では全国の多くの地域に広がっています。今回は、人・組織の課題解決を目指して2023年に『マチリク』と協働合宿を行った、宮城県気仙沼市の漁具商社・アサヤ株式会社様の取り組みと1年後の成果についてご紹介します。

経営視点での組織課題解決に挑む2泊3日の合宿型プログラム

宮城県気仙沼市に本社を構えるアサヤ株式会社様は、1850年の創業以来、三陸全域の漁業を長年支えてきた漁具商社です。2022年頃、人材確保や若手社員の定着が急務となっていました。しかし、人手不足により採用業務を社長自らが担っていたため、忙しさから応募者への対応が滞っていました。また、人材育成面では現場での実務を通して教育するOJTに依存しており、若手社員に会社の想いが浸透しないなど、入社後のケアがままならない状態が続いていました。さらにベテラン社員との世代間ギャップ、部門間のコミュニケーション不足といった人・組織課題も抱えていました。

採用・育成・定着に関するノウハウが少ないため、具体的な改善方法が分からず、人材領域に精通した外部人材の意見を求めていた中で、『マチリク』と連携した取り組みが生まれました。

人・組織課題解決に挑戦する 2泊3日 合宿型プログラム@気仙沼

人・組織の課題解決を目指すアサヤ株式会社様に『マチリク』が提案したのは、人・組織課題解決に挑戦する2泊3日の合宿型プログラムです。合宿には、地方企業の課題解決に本気で取り組みたいと考えるリクルートの社員も有志で参加し、協働で組織課題に関する議論やグループワークを実施。最終的に各グループで「組織課題の解決プラン」を作成して社長に直接プレゼンをする機会を設け、経営視点での組織課題解決に挑みました。

経営側も社員側も合宿を通じて、意識と行動が大きく変化

協働合宿から1年がたち、人・組織にどのような変化の兆しが現れているのでしょうか。アサヤ株式会社代表取締役社長の廣野 一誠氏にお話をお伺いしました。

アサヤ株式会社代表取締役社長の廣野 一誠氏

アサヤ株式会社代表取締役社長の廣野 一誠氏

― 協働合宿を経て、人・組織課題の解決に向けて新たに取り組み始めたことはありますか?

研修を通して強く実感したのは、弊社の経営理念の起点は「社員」であるということです。会社にとって人材は資本であり財産でもある。採用活動は、その大切な財産と出会うための重要な機会であることを改めて認識し、抜本的な見直しを行いました。

それまでは私が通常業務の傍らで採用業務を行っていましたが、専任の採用担当を配置し、採用プロセスも変更。一次面接は現場責任者に担当してもらい、現場の意見を尊重した採用を行うようにしています。「自分たちで育てるので、採用して欲しい」という声が上がることもあり、現場社員の中でも採用・育成の意識が高まっているのを感じています。また、経営理念や人材に対する考え方を伝えるメッセージを採用コンテンツで積極的に発信することで、入社後のミスマッチを防ぎ、定着率の改善にもつながっています。

入社後の人材育成も変わり、他部署の上司や採用担当と面談を行う「ナナメ面談」を導入し、継続的なフォローを行うようにしました。また、営業部門ではこれまで若手社員がお客様を担当するのは入社数年たってからでしたが、合宿後はできるだけ早い段階で担当を持つことで仕事にやりがいを感じやすい育成フローに変更。上司や先輩から育ててもらいながら経験を積み、次は自分が育てていく側に成長していく、そんな良い循環が生まれる組織へと変化しています。

― 研修に参加された役員や社員の方々の行動に変化はありましたか?

役員たちは「会社を良くするために」という視座で真剣に会社の課題や解決策を考えたことをきっかけに、「人を育てる」という意識が芽生えたようで、部下への仕事の任せ方にも変化が見られます。さらに、役員会議が毎週開かれるようになり、これまでは私が一方通行で話すことが多かったのですが、今では役員側からも積極的に意見が出るようになっています。

私自身が研修後から定期的に拠点回りをするようになったことで、社員とのコミュニケーションが増えましたし、会社全体としても意見やアイデアを発信しやすい風土が生まれているのを感じています。研修に参加した役員や管理職が自ら新入社員を集めて社内勉強会を実現した事例も耳にしています。

― 今回の協働合宿を行って良かったと思われる点はどんなことですか?

ともに合宿を行ったリクルートの社員の皆さんの熱量に触発されて、アサヤの社員には大きな変化が起こりました。地方中小企業の課題解決に本気で取り組みたいと考える社員の方々が自ら希望して来てくれたこと、皆さんが弊社の未来に向けて熱意を持って取り組んでくださったことは、何よりも効果があったと思います。上から教えるような研修ではなく、弊社の社員が自ら考えて言葉を発することも大事な機会でした。リクルートの社員の皆さんの真剣さが伝播して、弊社側の真剣度もどんどん高まり、皆が自分ごととして考えられる時間になったと思います。今、会社を引っ張っている60代の役員の引退を見据えて、次世代の役員候補となるリーダー層の育成に取り組みながら、引き続き良い組織を目指して頑張っていきます。

リクルートでは、今回、人・組織課題の解決に向けた変化が芽吹いたアサヤ株式会社様のように、地方企業が抱える課題や、さらには日本が抱える地方創生の課題の解決に向けて積極的に取り組みを続けてまいります。

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