【フランスの働くを考える】Vol.5 フランスのワーキングママンが安心して働き続けられる理由
共働き 、 キャリア 、 ジェンダー平等 、 ワーク・ライフ・バランス 、 法律・制度
2023年10月24日 転載元:リクルート ワークス研究所
90%以上の女性が働く社会
仕事を通じて知り合った友人のサビーヌは大企業の管理職で、いわゆるキャリアウーマンだ。より良い条件を求めて転職を繰り返すジョブホッパーでもある。いつもエレガントな彼女は1歳、3歳、5歳の3人の男の子のママンでもある。フランスでは、ワーキングママンの存在はごく普通で、子育てを理由に働くことを諦め、キャリアアップを断念することはない。
そもそも、フランス女性の就業率は85.5%(※1)と高く、正規・非正規を合わせると90%以上になる。3歳以上の子供を持つ母親に絞っても83.9%(※2)と高くほぼ変わらない。妊娠を理由にした解雇は法律で禁止されているし、妊娠中、産休中、育休中の解雇も同様である。職場復帰時には、以前と同じポストが保証されているため、安心して休暇を取ることができる。
フランスにはワーキングママンが活躍できる社会的土壌が存在する。それは、少子化対策をはじめとする多角的できめ細かい家族政策が大きく関係している。産まなければならないというプレッシャーをなくし、子供を産みたい、育てたいと思える社会環境の構築を目指す政策だ。
本コラムでは、各種制度の概略に加えて、フランスが政策を成功に導いてきた背景、根底にあるフランス社会のあり方も紹介したい。フランスと日本では文化や国民性などの違いがあるが、日本の状況改善の参考になれば幸いである。