両立支援

「ライフイベントを経てもずっと働き続けたい」-転職フェアで出会う多様な働き方

リクルートキャリアでは「ずっと働き続けたい」「ライフイベントを経てもキャリアをあきらめたくない」と思う女性をメインターゲットに、理想の働き方に出合えるイベント「私の転職フェア」を2017年1月14日に東京国際フォーラムで開催しました。

2回目の開催となる今回のイベントには56社の企業が出展しました。さらに専任アドバイザーによるキャリア相談コーナーや企業からのメッセージコーナー、 プロの写真家が無料で撮影する履歴書写真撮影コーナーが設けられ、会場には予想来場者を大きく上回る1,724名が来場しました。

会場には出展企業から転職を検討する女性に向けた手書きのメッセージが掲げられ、熱心に見入る来場者の姿が印象的でした

会場には出展企業から転職を検討する女性に向けた手書きのメッセージが掲げられ、熱心に見入る来場者の姿が印象的でした。

また、会場内で開催された企業の女性社員が語るミニセミナーでは、 転職をした女性社員が育児などのライフイベントと仕事をどのように両立しているか、といった事例が話されました。

制度設計を通じてより働きやすい環境を整える星野リゾート

「ワーキングマザーに聞く、家庭と仕事の両立」というテーマで講演をおこなった 星野リゾートの鈴木氏は自社従業員に占める女性の比率が50%を超えている事を挙げ、 さまざまな社員がライフイベントと仕事を両立していくためには組織として公平でフラットな制度を整えていく事が重要だ、 と話しました。

星野リゾートの鈴木氏

星野リゾートでは「フラットな組織文化」を重視しており、立候補制度や社内公募の運用、 自分が興味ある講座を自由に受けられる社内ビジネススクールなど、 学習の機会やキャリアチェンジの機会を活かして自律的にキャリア築く組織風土になっています。

鈴木氏は星野リゾートに転職して育休前後でキャリアチェンジを果たした4名のワーキングマザーの事例とともに 「サービス業界における労働環境のイメージの悪さを変えていきたい」と話します。

取り組みの1つとして、育児中でも仕事が両立しやすいよう2016年12月から新たに時短正社員制度を導入。 これは総合して週に30時間働ければ正社員として賞与や退職金も適用できる制度となっており、 現在働いているスタッフに適用するのと合わせて、この枠組みで新たな採用も行っていくそうです。 従来、週30時間ではパートや派遣社員に雇用形態を切り替えざるを得ないと思っていた社員や、同僚が残業して働いている中、 早く帰らざるを得ない、といった心理的な引け目を会社として制度を整えることによって払拭しようと意図しているといいます。

「「感情労働」と言われるホテル経営において、 質の高いサービスを提供する上できめ細かさや女性ならではの感性も重要ですし、企業競争力に直結しています。 今までのように8時間フルタイムで働けないとだめというと、その事で働く機会を失ってしまうのは、 双方にとってデメリットになってしまうと思っています。働く時間に限りがあることで意図せずして雇用形態を切り替える方や 『正社員としては働けない』『入れないだろう』と諦めている人たちも私たちは採用していきたいと思っています。」(鈴木氏)

鈴木氏の話にメモを取りながら熱心に耳を傾ける来場者

鈴木氏の話にメモを取りながら熱心に耳を傾ける来場者

トヨタ自動車で管理職として育児と仕事を両立する森谷氏のキャリアの考え方

次に登壇したトヨタ自動車の森谷氏は「女性管理職の先輩に聞く、仕事のやりがい」というテーマで、 自身が育児をしながらどのようなキャリアを歩んできたか、 またどのように考えてキャリアを選択してきたか、という点について話しました。

トヨタ自動車の森谷氏

森谷氏は1年半ほど前に金融業界から異業種のトヨタ自動車へ転職し、 現在は管理職としてキャリア採用活動全般に携わっています。 自身もプライベートでは小学生と保育園児の母として、育児との両立を実践しています。 管理職になる前後で良かったことは、「働き方も大きく変わらないこと」「得られる情報量が増えたこと」 「子育ての経験が活きること」、といいます。

「管理職のイメージとして、責任範囲が広がるので両立は一層 難しくなるのではないか、と思いがちでしたが、意外とそうでもないかな、 と思っています。 メンバーとのコミュニケーションはメールや電話でできますし 深い話も昼間の在社時間に実施すれば十分な意思疎通が可能です そういった意味で、責任の範囲は変わりましたが、働き方に大きな変化が なかったことはよかったと思います 逆に、メンバーと効率的にコミュニケーションをとろうと心がける事で 生産性向上のアイデアも生まれてきています。」(森谷氏)

また、管理職としてステージがあがり、メンバー時代は得られなかった情報が入ってくるようになり、意思決定の背景などを直接確認できるので、仕事の粒度も上がり、メンバーへも的確な指示を出せるようになった、といいます。メンバーには木を見て森を見ず、の仕事にならないよう、 仕事の目的や事業への影響度を常に意識した仕事をしてもらいたいので、チーム運営上とても助かっている、といいます。

そして、部下のマネジメントをする上で、子育ての経験が大いに活きている、と話します。

「子どもは難しい言葉でも行動に移してくれないので、平易な言葉で話しま す。褒めれば褒めるほどキラキラした表情になります。平日わが子と過ごす 時間が少ないと、週末一緒にいる間は、子どもの話に耳を傾け、寄り添い、 一緒に笑います。このような点は、部下の成長を促すマネジメントと似てい る側面があり、子供の成長を見守る母親の仕事と共通点が多いように思いま す。」(森谷氏)

セミナーの最後に森谷氏は育児をしながら今後のキャリアを考える女性に対して、メッセージを送りました。

「将来のキャリアは、正直考えてもどうにもならないことの方が多いような気がします。 私は、大学卒業後、東京の会社に就職し、営業、人事、広報の経験をし、結婚して、出産し、会社が変わり、 今は家族で愛知に転居し、それなりに楽しめています。予期していたことは何もなくて、 必死に目の前のことに取り組んでいたら、良い仲間に恵まれていて、ひとつヤマを越えるとまたひとつヤマが表れて。 立ち止まって自分の歩んできた道を振り返ってみると、仕事の価値観や大切にしたい軸が何となくできていました。 キャリアは、パートナーやライフイベントによって変わることも多いので、変化を楽しむ気持ちで。 岐路に立ったら、その時々の自分の心の声に傾けて選択をしていけばよいのではないでしょうか。 肩肘張らず、向こう3,4年くらいをイメージするぐらいで良いのでは、ということをお伝えしたいです。」(森谷氏)

◆参考情報

星野リゾート

トヨタ自動車

 

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