急に深刻な病気を患ったとき、人は、病気や治療、仕事やお金、家庭といったさまざまな問題について対処を迫られる。このとき、患者を支えるのが両立支援団体だ。彼らはどのようなやり方で患者に伴走するのか。そして、従業員と企業にはどんな態度が求められるのか。仕事と治療の両立支援ネット-ブリッジ 代表理事の服部 文氏にお話を伺った。
- 目指すのは病気になった人も安心して働ける社会の実現
- 仕事や職業だけでなく患者の人生を広く捉えた支援を実施
- 病気になっても働ける職場は従業員にとって報酬となる
目指すのは病気になった人も安心して働ける社会の実現
仕事と治療の両立支援ネット-ブリッジ(以下「ブリッジ」)は、名古屋に拠点を置き、がんや難病といった身体的な疾患を患った人の就労支援などに取り組む組織だ。目指しているのは、病気になった人も安心して働ける社会を実現することだと、代表理事の服部文氏は語る。
「私は30代で体調を崩してエンジニアを辞めた後、キャリアコンサルタントの勉強をして、当時あった基金訓練(雇用保険を受給できない人向けの無料職業訓練)の支援を行いました。そこでさまざまな背景をもつ人と出会い、単に仕事を見つけるだけでなく、どう生きるか幅広く考えるなかで仕事を選び取れるような支援をしたいと思うようになったのが、現在の仕事を始めることとなった原点です。そして2012年、第2期がん対策推進基本計画でがん患者の就労支援策が打ち出された際に、ブリッジを立ち上げました」
患者の支援は、「がん診療連携拠点病院等」に設置された相談センターから依頼されて始まることが多い。また、病院に置かれたブリッジのパンフレットを見た患者から連絡を受けることもある。
「患者さんの状況は千差万別。がんが最も多いのですが、その他の難病や若年性認知症などを患った方もいらっしゃいます。私たちは医療機関から医療情報の提供を受けつつ、個人面談やワークショップを通じて患者さんを支えています」