両立支援

あんしん介護 さくらさくらグループのケース -採用面での人気が飛躍的に高まった週32時間勤務。三重県の介護事業者が重視する考え方とは?

企業事例介護

2017年03月29日

大都市圏への人口流出や高齢化に伴う労働力人口の減少など、地方都市圏では地域経済を維持発展させるため、育児と仕事の両立がしやすい環境整備がより一層求められています。スタッフサービスでは派遣事業を通じて地方都市圏の事業者に短時間勤務の仕事を提案することにより、無理なく始められる仕事を作っています。

三重県で訪問介護施設を運営するさくらさくらグループも短時間勤務制度に 積極的に取り組む企業。週40時間の勤務時間を、介護事業者の常勤基準に併せた32時間に 減らすことで、それまで求人を出しても集まらなかった人材が大勢集まったといいます。

「介護事業者と他の求人、たとえば、病院と比べると給与面も含め病院の方が人気があります。 そのような前提の中でも人を採用するには何ができるだろうかと考えた結果、 労働時間を少なくするという働く人の都合を最大限尊重した仕組みを思いつきました。 週32時間勤務であることを謳うようにしたら、僕たちの仕事を選んでくれる人が増えました。」

そう話すのはさくらさくらグループを運営する千賀氏。どこよりも働きやすい環境を作り、 地域により多くの雇用を担保する事、それがひいては自社事業の持続的な成長と 地域の活性化に繋がると話します。

さくらさくらグループを運営する千賀氏

人材不足に悩み続けるより労働時間の短縮を。

さくらさくらグループも設立当初の1年間は朝8時半~17時まで週40時間の 勤務時間としていました。しかし従業員が日々の労働に徐々に疲弊していき、 子育て中のスタッフの早退などに対しても周囲が不満を抱く雰囲気が流れ、 職場での不公平感が強まっていったといいます。こうした課題を解決しようと 介護事業者の常勤基準である週32時間勤務へと切り替えたところ、働く社員の満足度が高まり、 子育て中の女性からの応募が増え、採用につながったと言います。

さらに週32時間勤務だとしても、従業員の中には「どうしても休まなければならない」 といったケースは発生すると言います。このようなケースを想定して、 有給休暇を1時間ずつ取得できるようにしました。それに伴い、 突発的な休みがいつ発生しても困らないようこれまでの仕事量に対しては 人員を増やす事で対応したそうです。

「ギリギリの人員で回すのではなく、派遣社員の方にきていただくなどで、 必ず全ての事業所に余剰人員を入れています。なので、当日の朝『有給を取りたい』 と言われても困らないんですよね。人員を多めに確保しておけばフルで働きたい人、 32時間で働きたい人、あとは自分の働きたいときに働きたい人... そういう全ての人たちが働けるようになります。 従業員が好きな時に働いて好きに有給を取れる。 必要最低限以上の人を雇用する事はもちろん人件費が掛かります。 ちょっと思い切りがいりましたが、人手不足でずっと悩んでいるよりは思い切って改革してよかったなと。」(千賀氏)

新たに働き始めることでもたらされる楽しさとは

スタッフサービスから派遣されているHさんは10年間の専業主婦経験の後、 第二子が幼稚園に入るタイミングにさくらさくらグループで働き始めたスタッフ。 現在は週4日13:30まで働いています。10年間、専業主婦をしていた事から 再度働き始めるまでは不安で仕方がなかったそうです。 しかし、いざ働いてみると生活にリズムができて現在は働くことが楽しいと話します。

「最初の一歩はすごく勇気がいりますけど、やってみてよかったです。 育児ももちろん楽しいのですが、やはり育児だけだとそれなりのストレスがあります。 お仕事をすることで、その部分で上手にバランスが取れますね。毎日が楽しいといえばそれまでですが、 以前は『子供の帰りだけを待って』という状態だったのが、 お仕事をすることによって生活にだいぶメリハリが付くようになりました。」(Hさん)

さくらさくらグループスタッフ

同じくさくらさくらグループで働くMさんは高校生と小学生の母。 これまでは実家の農業を手伝っていたものの、祖父の介護が終わった事をきっかけにママ友の紹介で スタッフサービスに登録したといいます。これまでとは異なる仕事をする中、 子供の成長に加え、自分自身の成長にも充実感を覚えたと言います。

「これまでは実家の農業を手伝っており人と触れ合う機会の少ない仕事がメインでしたから、 介護という業界で『自分に人と触れ合う仕事ができるのかな』という不安は大きかったです。 不安が大きかった分、今は『こういう時はこう関わり合ったらいいのか』というのが毎日勉強で。 それを経験するのが楽しいと言うか、自分自身が成長していっているな、という実感を覚えます。」(Mさん)

育児と仕事の両立だけではなく個人の楽しみも

以前は働く事が目的だった社会から、現在は目的が「いかに自分の幸せを追求するか」という事に変わり、 働く事は手段でしかなくなってきている、と千賀氏は言います。 このような価値観の変化の中、地域の経済を維持するためには「育児と仕事の両立」はもちろん大事なものの、 加えて自分の時間も含めた「共立」が大事だと話します。

「思いっきり働きたい人もいればちょっと休みたい人もいる。それで『良し』と思っています。 幸せは人によって違います。うちで働いている育児中のスタッフで言えば、仕事も育児も大事なんですけど、 自分の楽しみの時間も取るべきだと思っています。自分が幸せだと子供も幸せなわけで、 家庭が幸せだと会社にも幸せを持ってきてくれます。僕たちのような障害者の方と接する仕事も、 幸せな気持ちで対応して頂けると良いサイクルが生まれます。 幸せに感じてもらえる会社を作ろうと思えば人件費はもちろん掛かります。 ただその分都会に比べれば家賃も土地代も安いですしね。良い職場を作んなきゃ、 ここでは人がどんどん都会に出ていっちゃいます。うちはそんなに人がいるわけじゃないですけど、 働いてくれる人に働きやすいと思ってもらうことで三重県の雇用を支える一助になれればと思っています。」(千賀氏)

さくらさくらスクール亀山

◆参考情報

あんしん介護株式会社 さくらさくらグループ

スタッフサービスグループ

スタッフサービス・メディカル

 

ピックアップ特集

この記事をシェアする

シェアする

この記事のURLとタイトルをコピーする

コピーする